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農林水産省

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チャレンジャー 第34回

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株式会社みらい

植物工場で農業分野の未来を切り開きたい

千葉県松戸市

嶋村さん(右)とスタッフ
嶋村さん(右)とスタッフ。社名「みらい」には植物工場を未来に資する事業に育てたいなど嶋村さんの多くの思いが託されている。あえてひらがなにしたのは、ひらがなも植物工場も日本発のものという意味合いが込められている


ケーキ屋さんのような店構え、ショーウインドーに並ぶ野菜
ケーキ屋さんのような店構え、ショーウインドーに並ぶ野菜。リピーターも多く近所の主婦が買いにくる。レタスは柔らかく甘い食感、ルッコラは香り高いがエグミはあまりなかった


レタス、ルッコラ、ハーブ類など7~8種類
立ち上げた当時は20種類ほどあった野菜も、今は消費者のニーズに合わせレタス、ルッコラ、ハーブ類など7~8種類に絞って栽培している

店構え
街中に植物工場を作るのは嶋村さんにとって、夢でありコンセプトでもあった。輸送コストの圧縮、時間の短縮で新鮮な野菜がいつでも提供できると、消費者へのメリットも大きい

店舗と事務所の裏にある野菜工場
店舗と事務所の裏にある野菜工場。(株)みらい独自のノウハウを生かした培養液による水耕栽培。地元のレストランにも卸している
街中に出現した植物工場
果たしてこんな市街地に植物工場などあるのだろうか?

地図を頼りに訪れた「グリーンフレーバー五香店」は、3階建てのマンションの1階にあった。工場と事務所、店舗で約44坪ほどの広さ、以前は熱帯魚店だったという。

ここは完全人工光型の植物工場の設計、栽培システム、栽培ソフトなどの技術開発を行う「株式会社みらい」の植物工場と店舗を一体にしたモデル施設でもある。

また(株)みらいで開発されたシステムは、南極昭和基地にも導入され、隊員たちに新鮮な野菜を供給している。

「南極の植物工場は千葉大学と共同で研究してプロジェクトを進めました。狭い場所でも多種類の葉物が作れ、野菜の供給ができるということもありますが、基地内で出るCO2の一部を回収して野菜に供給するという発想もありました。植物は光合成のときにCO2を取り込んで酸素を出しますから。またパソコンで工場の遠隔操作や、トラブルのときにはデータをもらえば対処の仕方を伝えられます」(嶋村茂治社長)。

消費者に喜んでもらいたい
さて、今でこそ植物工場は認識されてきてはいるが、嶋村さんが起業したほんの5年前には、ほとんど知られていなかった。「植物工場の実用化は無理。事業として成り立たない、評価に値しない」という厳しい声が大半。

それでも無農薬で安全、天候に関係なく栽培ができると、絶対に成功するという信念が嶋村さんにはあった。植物工場で栽培した野菜の試食販売も百貨店やスーパーで自ら行い、消費者が何に興味を持っているか、不安を感じているかを肌で感じることができたという。
「あるとき試食に野菜嫌いのお子さんが来ました。その子がパクっと食べてごくりと飲み込んだのですね。エグミや苦みを取り除くように栽培をしていますが、野菜嫌いのお子さんがおいしいと言ってくれたのはうれしかった。自信にもつながりました」

植物工場というと仕組みのほうに目が行ってしまう。しかし一番重要なのは、消費者に喜んでもらえるかに尽きると嶋村さんは語る。

現在では毎日のように問い合わせがあり、対応に追われる。

「植物工場にはまだ課題がたくさんあります。まずコストの削減。簡便に使えるようにする技術開発。今後は果菜類や根菜類も研究対象になると思います。技術が確立できたら、海外にも広げたいですね」と嶋村さんは語る。

新しい形の農業として、これからの発展が楽しみな分野である。

地図

店頭にあるデモ機
店頭にあるデモ機。下段は蛍光灯、上段の紫色はLEDの光。LEDを使った栽培実験も行われ、植物工場ももうじき蛍光灯からLEDに切り替わる予定


株式会社みらい http://www.2004-mirai.co.jp/
Photo:Keiko Urata

チャレンジャーズでは、農林水産分野で先進的、かつユニークな活動を行っている人々をご紹介します。