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農林水産省

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駅弁紀行 第10回

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ヨネスケ

JR紀勢本線

紀伊田辺駅「紀州てまり弁当」


紀州手まりの伝統美を伝える真っ白い容器が愛らしい釜飯風の駅弁。
紀州てまり弁当

紀州てまり弁当
かつては「あしべ」という駅弁屋が作っていた名物駅弁。
今は「味三昧」が受け継いでいる。850円
製造元:味三昧 Tel.0739-25-3082
※味三昧の駅弁では、紀州備長炭であぶり焼きにした地鶏を、炊き込みご飯の上に乗せた「弁鶏(べんけい)」(850円)も人気。

【おしながき】
鶏のだし飯
鶏の照り焼き
うなぎの蒲焼
ゴボウ巻き
タケノコの煮物
シイタケの煮物
かまぼこ
酢生姜
チェリー

ヨネスケ
ヨネスケ(桂 米助)
かつら・よねすけ/落語家。千葉県市原市出身。桂米丸氏に弟子入り、1967年デビュー、1981年真打ちに昇進。その人情味あふれるキャラクターで幅広い年齢層に親しまれる。日本テレビの「突撃! 隣の晩ごはん」では、全国津々浦々の家庭にいきなり訪問。アポなしながら最終的に歓迎されてしまうのは、やはりその人柄によるものであろう。また、こうした取材移動から、日本中の駅弁・空弁を食べ尽くし紹介するブログ「ヨネスケの駅弁! 空弁! 食べて答弁!!」を公開、大評判となっている。
http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/
テレビロケで和歌山県田辺市に行った。田辺市のある紀南地方は日本一の梅の産地として知られている。特に「古城梅」「南高梅」は有名で、私もよく取り寄せる。しかし、和歌山県の駅弁は食べたことがない。この地方ならではの駅弁を食べたいものだと思い、紀伊田辺駅まで行ってみた。そこで、ご当地らしい名前のついた「紀州てまり弁当」を購入。

和歌山県は江戸時代、御三家の紀州徳川家の領地、紀州藩であった。で、なぜ「てまり弁当」が紀州らしいかって?

『まりと殿様』という童謡があるでしょうが。「てんてんてんまり、てんてまり」で始まるあの歌である。二番の歌詞に「表の行列なんじゃいな、紀州の殿様お国入り」とある。それで紀州と手まりが結び付くわけです。和歌山城の天守閣前の広場には『まりと殿様』の歌碑もあるのだ。

弁当箱らしからぬ立方体の箱に、手まりの写真と大名行列の絵が描かれている。開けてみると、手まりを模した丸い真っ白なプラスチックのお弁当箱が登場。

ふたに細長い穴が開いている。一瞬「?」と思う。ああ、そうか。よくある二次利用を狙った造り、手まり型の貯金箱としても使えるようになっているのである。

ふたを開けると、ご飯の上に鶏そぼろ、その上にうなぎの蒲焼き、ゴボウ巻き、鶏の照り焼き、タケノコやシイタケの煮物、田辺名産のかまぼこ、チェリーが乗っていて一見釜飯風。

ご飯は鶏ガラスープのだし飯で、中にはニンジン、糸こんにゃくなどが炊き込まれており、非常に美味しい。鶏の照り焼きも、焼かれた鶏肉の香ばしさが立ち、それでいて柔らかく、こちらも旨い。

一つひとつの食材が丁寧な味付けで、だし飯ともよく合い、作り手の気持ちが伝わってくるような駅弁である。

しかし、「容器はてまり型になっているので、箱から出さないで蓋を取り、このままお召し上がりください」と書いてあったのに、出して食べてしまった。道理で食べづらかったわけだ。失敗、失敗。

容器は可愛いし、おかずも美味なので、皆さん、食べるときは箱から出さないで、味わいながら食べてください。(語り下ろし)