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連載4 こぐれひでこ の いただきもの絵日記

カブ


カブ
文・イラストこぐれひでこ


こぐれひでこ
profile
イラストレーター&エッセイスト。『こぐれひでこのおいしい画帳』(東京書籍)、『こぐれひでこのごはん日記』春夏篇・秋冬篇(早川書房)、『私んちにくる?』(扶桑社)、『こぐれの家にようこそ』(早川書房)ほか、著書は30冊を超える。現在は、女性向けの人気情報サイト『カフェグローブ』で、ごはんをテーマにした『こぐれひでこの毎日ごはん』を、また遊び心をテーマにした情報サイト『あそびすと』でも連載中。
実家から送られてきた荷物の中にカブが入っていた。農産物直販所で購入したものらしく、紫色のテープが巻かれている。乳白色のころんとした丸い根、そこからすらりと伸びている薄緑色の茎、緑色の葉、なんと美しい形なのだろう。

塩を振ってしばらく置くと、ぬるっとした食感が生まれ、醤油をかけて食べるもよし、ドレッシングをあえて食べるもよし。茎や葉は菜めしにすると絶品だ。

鶏の挽肉と作るそぼろ煮も好き。とろけるほど柔らかなカブにうま味たっぷりのだし汁がしみこんで、その優しいおいしさが体の奥深くまで浸透していく。

油揚げと一緒に味噌汁の具にするのも好き。だし汁で煮たカブとそら豆をミキサーにかけたすり流し汁もおいしい。

牛肉のかたまりと野菜を煮込んだフランスの家庭料理ポ・ト・フ。この料理に不可欠な野菜のひとつがカブ。意外なことにフランス料理に於いてもカブは料理の重要な一翼を担う野菜なのである。

控えめな性格のカブは、どんな具合に調理されようと脇役に徹し、目立ちすぎずに柔らかなおいしさを表現する。

しかし2年前、カブのイメージを大きく打ち破る料理に出会ってしまったのである。それは山形県庄内地方にあるイタリア料理店でのできごと。

その店で堪能した13種類の料理はどれも、地元産の海山里の食材を駆使した、今まで味わったことのないタイプのイタリア料理。歯切れがよくて爽やかで、才気あふれるシェフの創り出す味は驚きの連続であった。

新しい料理が登場するたびに、ヘエエ、ホオ〜、と歓声を上げ続けていたのだが、ことに「このような調理法があったのか!」と驚いてしまったのが豚肉と一緒に登場したカブ。

なんと、焼いてあったのである。味付けは塩とオリーブオイルとハーブだけ。食べてみると、焦げた部分、フンワリと火が通っている部分、そして半生状態の中心部、それぞれが微妙に違う食感をしていて、カブはいつもの脇役という殻を脱ぎ捨て、準主役という目立つ役に躍り出ていたのである。カブにこのような力強い味わいがあったとは……。心の底から驚かされたのである。

真似してみたのはもちろんのこと。
カブ(皮のまま)を一口サイズに切り、魚焼きグリルに並べて約5分、焦げ目がつくまで焼く。皿に並べ、塩とオリーブオイルとオレガノを振りかけて食べてみると、アラおいしい! 以来我が家には「焼きカブ」という一品が定着している。

大陸から伝来し、奈良時代から日本で栽培されていたという日本人と関わりの深いカブだが、まだまだ隠れた味わいを内包している野菜なのかもしれない。

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