このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

MAFF TOPICS(4)

  • 印刷

affラボ 食品高圧加工とは

圧力で食品を加工する注目の技術

affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新研究成果を紹介します。


高い圧力をかけることで素材の色、香り、栄養素を損なうことなく食品が加工でき、さらに微生物も不活性化することができる食品高圧加工。世界で初めて実用化されたこの技術は今後の食品加工の方法のひとつとして世界の注目を集めています。

食品高圧加工装置
食品高圧加工装置。耐高圧蓋を開けビニール袋に密封した食品を入れ高圧力をかける。中は水が満たされている(写真協力:株式会社東洋高圧)

高圧処理ジャム

高圧処理ジャム
世界初の高圧食品として開発、商品化された高圧処理ジャム。2010年2月現在も販売されている(写真協力:株式会社明治屋)
高圧力で分子に物理的変化を

焼く、炒める、炙るという文字に込められているように、人は太古から食品の加工には火の熱を利用してきました。

いま世界が注目している技術、食品高圧加工は非常に高い圧力を利用して、食品の加工を行います。

高圧力を加えることで、食品を構成する分子は密に詰め込まれます。分子は物理的な変化を起こし、タンパク質や澱粉は加熱した状態と非常によく似た現象を示します。

しかも熱とは異なり、食材の色や香りはほとんど変化することがなく、ビタミンCなど通常加熱すると失われてしまう栄養素も、保たれたまま加工することが可能なのです。また、熱では不可能ですが、微生物に均一にダメージを与え、増殖しないように不活性化することもできます。

食品加工に用いる圧力は通常2000から6000気圧、最大では7000気圧になります。世界で一番深いといわれるマリアナ海溝が海底約1万mで1000気圧ですので、想像を絶する高圧力であるということが分かります。


欧米では積極的に食品加工に導入する動き

さて高圧力を用いた食品の処理や加工は、1987年に京都大学の林力丸博士により提言され一気に日本での研究が加速されました。

1990年世界最初の高圧加工食品として商品化されたのはジャムでした。実はその後も多数開発は行われましたが、商品化されたものの数は多くはありません。

「高圧加工装置導入には多額の設備投資が必要で、大半が中小企業の食品産業では負担が大きく、普及が進まなかったのです」と(独)農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所の山本和貴さん。

しかし食品高圧加工の研究開発はいまなお着々と進んでいます。日本でも数社ではありますが米飯類やハムの製造、カキの殻むきなどに実用化されています。

ところがここ数年、欧米、韓国、中国でこの技術が注目を集めています。たとえばスペインやアメリカではソーセージやハムの製造に、高圧加工を導入して売り上げを伸ばしています。食品添加物を入れる代わりに高圧力をかけて腐敗菌を不活性化するのです。肉本来の味がすると消費者の評判も上々。また韓国では高圧処理無菌米飯が商品化され、テレビのCM効果も相まって、高圧食品加工という言葉も浸透し始めています。中国での廉価な高圧食品加工装置実用化も見逃がせません。

食品高圧加工は高い可能性を秘めた研究分野。日本が牽引しているこの技術を用いた商品が、将来数多くお店に並ぶことが期待できそうです。

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所
http://nfri.naro.affrc.go.jp/

越後のごはん よもぎもち 八種穀物ごはん

高圧処理により、米の中心まで水が浸透。レンジで再加熱すると炊きたて以上にモチモチとした食感が味わえる

高圧処理により微生物を不活性化したよもぎを使用したよもぎ餅

上手に炊くのが難しい玄米も高圧処理を施すことでやわらかく炊ける(写真協力:越後製菓株式会社)