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特集 野菜をめぐる新しい動き 伝統野菜の実力(1)

伝統野菜は個性派ぞろい。


伝統野菜の復活をめざす動きが、 全国各地で盛り上がっています。
伝統野菜とは、 その土地で古くから作られてきたもので、 採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの。地域の食文化とも密接していました。
野菜の揃いが悪い、手間がかかる、という理由から、大量生産が求められる時代にあって生産が減少していましたが、地産地消が叫ばれる今、その伝統野菜に再び注目が集まってきています。
聖護院大根
圧倒的な存在感。
聖護院大根
重さ3〜4kgにもなるという大型の丸い大根で、京都の代表的な伝統野菜。文政年間に尾張の国からやってきた長大根が採種を重ねるうちに大きな丸型になったと伝えられている。身は甘くて柔らかく、おでんなどの煮物に最適。京都の冬には欠かせない食材である。

練馬大根
ちょっと長すぎ?
練馬大根
徳川五代将軍の綱吉が尾張から種を取り寄せ、現在の東京都練馬区で栽培を命じたという江戸東京野菜。繊維が多く、水分は少ないため沢庵に適している。形状にはいくつかあるが、「細長尻」では長さが1mにも及び、抜きづらい。一時生産が途絶えていたが、現在は練馬区から委託を受けた農家により1万数千本が収穫されている。

亀戸大根
きめ細かな肌、スタイルも抜群!
亀戸大根
江戸時代から現在の東京都江東区亀戸で栽培されていた江戸東京野菜のひとつ。白くてきめ細かな肌から、「お多福大根」と呼ばれ重宝されていた。先がクサビ型に尖っているのが特徴で、スッとした姿が美しい。茎は白く、葉は柔らかで食べやすく美味しい。ビタミンCも普通の大根より豊富。

源助大根
ずんぐり体形が愛らしい。
源助大根
愛知県の宮重系統と、練馬系打木在来種の自然交雑によってできた加賀野菜のひとつ。ずんぐりとした円筒形が特徴で、やわらかい肉質と白くてキレイな肌が特徴。煮崩れしにくいので煮物には最適とされる。旬の時期が短い、稀少な野菜。

糸巻き大根 糸巻き大根
ベストドレッサー賞。
糸巻き大根
宮崎県の西米良で古くから栽培されている伝統野菜。色は赤紫と白の2種類があり、いずれも糸を巻き付けたような筋が入っていて、外見が美しい。ひときわ甘みの強い大根で、食感はカブに近く非常に柔らか。形や色にばらつきがあり、1本1本に個性が感じられる。

伝統野菜ってどんな野菜?
 古くから作られてきた伝統野菜は、今日まで命を育み、命をつないできた野菜で、その産地の人や風土、食文化を育ててきました。スーパーで並んでいる野菜と比べると生産効率は断然悪いし、揃いが悪いので流通にはあまり適していません。また、旬の時期しか生産できない季節限定野菜。今は冬でもナスやトマトの夏野菜がスーパーに並んでいますが、そういうことが伝統野菜にはできません。このように並べると、「伝統野菜って何がいいの?」と思われる方もいるでしょう。しかし、前述したことを逆に考えてみてください。揃いが悪いのは、「個性がある」とも捉えられるし、季節限定野菜というのも、「旬が感じられる野菜」と捉えることができるでしょう。伝統野菜には今の野菜にはない強い香りや、えぐみ、苦み、甘みや旨味といった多様な味が備わり、日本人の繊細な味覚を育ててきたといっても過言ではないのです。

財団法人東京都農林水産振興財団勤務・食育アドバイザー
大竹道茂さん
平成元年より江戸東京野菜の復活に取り組む。江戸東京・伝統野菜研究会代表、英国国立ウェールズ大学大学院環境プログラム講師、フード・マイレージディレクター、江戸東京野菜普及推進連絡協議会顧問。著書・監修本に、「江戸東京野菜 (物語篇)」、「江戸東京野菜(図鑑篇)」(いずれも農文協)がある。

農林水産省ホームページでの伝統野菜に関するアンケートに寄せられた情報についてもご紹介させていただきました。
ご協力ありがとうございました。

photo:Atsushi Soumi



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