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農林水産省

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特集 野菜をめぐる新しい動き 伝統野菜の実力(2)

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販売の現場から

マルダイ大塚好雄商店
大塚好雄(おおつか よしお)さん


伝統野菜を通じて地域と触れ合う。八百屋としてこんなうれしいことはない。
大塚好雄さんと店
江戸東京野菜が並んだ店頭
一見すると普通の八百屋さんだが、店頭の一角には旬の新鮮な江戸東京野菜が並べられている
 江戸の伝統野菜をたくさん揃える珍しい八百屋さんが品川にあります。今の季節なら滝野川ごぼうに小松菜、練馬大根……。その時期の旬の江戸東京野菜たちが、にぎやかに店頭に並んでいます。

「江戸東京野菜は頭に地名がつくものが多いんです。滝野川ごぼうとか亀戸大根とか。自分の住んでいる地域の名前がついていると、その野菜に対する思いが強くなりますよね」と語るのは店主の大塚好雄さん。

 地元品川の名前がつけられた「品川カブ」に話が及ぶと、大塚さんの目はさらに輝きます。東海道の第一宿場町「品川宿」だったこのあたりは、今でこそ農地ゼロですが、江戸時代には品川カブが作られていたといいます。

 品川ではすでに廃れてしまっていたカブが、小平市の農家で栽培されていることを大塚さんが知ったのが2007年のこと。翌年から種を譲り受け、品川区の小学校や区民農園で栽培してもらうよう無料で種を配布したり、栽培指導をしたりと、品川カブの普及活動を積極的に行ってきました。最近では、品川カブの存在は地域にすっかり定着。地元商店と協力し、カブ入り餃子やケーキなどの商品化も進めています。

 品川カブをはじめとした江戸東京野菜復興への取り組みは、いまや大塚さんのライフワーク。店の近くにある品川区立台場小学校では、大塚さんの指導のもと、子どもたちが屋上の菜園で品川カブを育て、給食で食べるという取り組みが毎年行われています。

「子どもたちと種をまき、収穫したカブを給食で一緒に食べて。八百屋をやっていてこんなにうれしいことはない」と大塚さん。伝統野菜への取り組みを、地域の活性化につなげたいと熱い思いを語ってくれました。

台場小学校校長の松本先生と 台場小学校で育てた品川カブ 左:台場小学校校長の松本先生と、学校屋上の菜園で。「今年はだいぶ小ぶりだね」
右:台場小学校で育てた品川カブ。普段私たちが見ているような丸いカブとは異なり、長さ20~30cmにもなる