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特集 野菜をめぐる新しい動き 伝統野菜の実力(3)

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生産の現場から

下仁田ねぎ生産者
群馬県下仁田町・榊原盛一(さかきばら もりいち)さん

下仁田ねぎは強度の伝統と誇り。手間ひまを惜しまず、愛情を注ぐ。
榊原盛一さんと畑
下仁田ねぎ
下仁田ねぎは江戸の徳川将軍に毎年献上されていたことから別名「殿様ねぎ」とも呼ばれる。太い姿が特徴で、煮ると柔らかくなり、まろやかな甘みがでる。鍋物には欠かせないねぎ
「下仁田ねぎの生産量は、うちが町で一番。あっちにもこっちにもねぎ畑があるんだよ。下仁田ねぎ一筋!」

 下仁田ねぎ作りにかかわって40年にもなるという榊原さん。笑顔が絶えない気さくな人柄とは裏腹に、下仁田ねぎに関しては頑固なまでのこだわりよう。夫婦二人三脚で、より美味しいねぎを作るための方法を独自に切り開いてきました。

 種をまいて仮植するまで7カ月。3カ月後に定植。種をまいてから約14カ月でようやく収穫。手間はかかりますが、別の畑に植えかえる回数を増やすことで土の養分を十分に吸収させ、太くて旨味の強いねぎに育つといいます。

 榊原さんのこだわりはこれだけではありません。土に米ぬかをまいて甘みを強くするのは独自に考案したものだし、除草剤はまかないと決めているので、雑草はひたすら手で取らなければいけません。手間も時間もかかるけど、ねぎ作りは楽しくてしょうがない、といった様子。

「下仁田ねぎは生では辛みが強くて食べられないけど、火を通すと甘いのなんの」

 そのとおり。榊原さんの愛情をたっぷり受けて、甘く育った下仁田ねぎは絶品でした。

亀戸大根生産者
東京都江戸川区・木村重佳(きむら しげよし)さん

効率よく収穫できないけれど、それが本来の野菜の姿だと思う。
木村重佳さん
亀戸大根
出荷前の亀戸大根。見た目のキレイなものと、小ぶりなものや形のいびつなものを分けて納めている
 江戸時代から現在の江東区亀戸で栽培されていた、亀戸大根。現在は生産者がわずかで、市場ではなかなかお目にかかれない江戸野菜のひとつ。その数少ない生産者のひとりである木村重佳さんを訪ねました。

「伝統野菜は一斉収穫できないので手間はかかります。収穫時期は1本1本違うし、それが勘で分かるというものではないから、抜いてみるまで分からない。でも、それが野菜の本来の姿だと思います」

 種を買い、独学ではじめた亀戸大根栽培。農業改良普及センターにもデータがほとんどないので、1年目の収穫は全滅に近い状態だったといいます。なかなか手強い相手ですが、「F1種※のように画一化されていない野菜だからこそのおもしろみがある」と木村さん。野菜にも個性を!「だってそうでしょう、多様性がなきゃ、生物としておもしろくないですから」。

※ F1種とは、系統の異なる親同士を交配してできた雑種第一代のこと。スーパーで一般的に売られている野菜はこれにあたる。