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農林水産省

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チャレンジャー 第35回

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福岡県農業総合試験場 農産部ラーメン小麦開発グループ

とんこつラーメンは福岡県産ラーメン用小麦「ラー麦」で

福岡県筑紫野市

研究員とサポートの職員の皆さん、後列右端が福岡県農業総合試験場農産部長の濱地勇次さん
小麦の試験株が植えられているほ場。研究員とサポートの職員の皆さん。後列右端が福岡県農業総合試験場農産部長の濱地勇次さん


ラー麦が生まれたほ場
ラー麦が生まれたほ場。ここで試験株が栽培されていた


ラー麦
ラー麦。ラーメン用に向く小麦で、早生、多収、病気にも強いという特性も持つ

とんこつ用は細くストレートな麺
とんこつ用は細くストレートな麺。ラー麦で作った麺は、粘弾性が高く、茹で伸びしにくいのが特徴

小麦粉中のタンパク質含有率を調べる実験
小麦粉中のタンパク質含有率を調べる実験
とんこつで有名な福岡のラーメン
北海道に次いで全国第2位の小麦生産量を誇る福岡。その小麦のほとんどがうどん用だ。

ところがうどん用の国産小麦では、これ以上の市場拡大が期待できないというのが実情。そこで新たな小麦需要の開拓先として、目をつけたのがラーメン用小麦だった。

「福岡は久留米ラーメンや博多ラーメンといった、とんこつラーメンで全国的に有名です。しかし麺を作る小麦のほとんどが輸入に頼っています。いままではラーメンに向く小麦の品種は福岡にはありませんでした。だったらこの地で栽培できるとんこつラーメン用小麦を作ってやろう、ということになったのです」と、福岡県農業総合試験場農産部長の濱地勇次さんはラーメン用小麦、ラー麦(ちくしW2号)開発のいきさつを話す。

合言葉は 「福岡産小麦でラーメンを!」
ラーメン用小麦の品種開発は平成16年から20年までの、福岡県農政部(当時)の重点施策となり、地元のマスコミにも注目されて華々しいスタートを切る。

しかし与えられた期間はわずか5年間。通常小麦の品種改良が完成するには10年が要される。ビール用大麦の育種で積み重ねた、バイオテクノロジーの技術実績があり、成功するもくろみはあったというが、それでもこの限られた期間は研究員たちにとってかなりのプレッシャーとなった。

「朝夕と畑に行き、日々変化する麦の状態を観察し、手をかけて育てました。失敗は許されませんから注意深く、考えうることはすべて考え、成功を信じて前に進みました」(同試験場古庄雅彦さん)と気の抜けない日が続いた。

実際に2000種類にも及ぶ試験株からの選抜が行われた。
「ラーメン用の小麦はタンパク質含有率が高いことが条件となります。12%が目標。試験株の中にはタンパク質の飛び抜けて高いものがいくつかあったのですが、粉にして分析するとそれ以外の成分が悪くて、落胆したこともありましたね」(同試験場馬場孝秀さん)

ラー麦誕生には製粉業界も協力
品種改良もさることながら、ラーメンにしたときに、おいしいという評価でなくては意味がない。

そこで発足したのが「ラーメン用小麦品種開発協議会」。ラーメン業界のニーズを熟知している、県内の製粉会社などの協力を得て、ラーメンに適した小麦の評価と選抜を開始した。何回もの食味試験を重ねた末、やっと「とんこつラーメンにした時に特徴がよく出る品種」、というお墨付きをもらうことができた。それがこのラー麦である。

地元のラーメン業者や製麺会社等の関係業界も一体となって普及を進めており、昨年からすでに福岡の「一蘭」「筑豊ラーメン山小屋」「博多一風堂」など一部の店舗で、ラー麦を使ったラーメンが販売され、好評を得ている。

「福岡県内では年間推定で、約1億2000万食のラーメンが消費されている。その半分を県内産ラー麦で賄うことが将来の目標です」と濱地さんは目を輝かせた。

地図

ラーメン用小麦の食味試験
ラーメン用小麦の食味試験。
食感、茹で伸びなどの評価を重視

Photo:Koji Kinoshita


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