このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

MAFF TOPICS(4)

  • 印刷

affラボ 国産小麦・大麦の研究

高品質へと品種改良が進む

affラボでは、暮らしに役立つ農林水産分野の最新研究成果を紹介します。


小麦はうどん、パン、中華麺など、大麦はビール、麦ごはんや麦茶と 私たちの食生活に密接に関わっている農作物です。 しかし、自給率は小麦14%、大麦、はだか麦9%(平成19年度)と低く自給率向上の観点からも、国産麦の普及が望まれています。 現在、品質が高く、用途や日本の気候条件などに適した 品種開発をすべく、研究が進んでいます。

品種改良し収穫した小麦で実際にパンを作り弾性を確認する
品種改良し収穫した小麦で実際にパンを作り弾性を確認する。膨らんだパンが冷えても縮まないのは、グルテンが骨組みの役割を果たしているため

極低ポリフェノール六条大麦
従来の品種
炊飯後24時間保温した麦ごはん。下は従来の品種、上は極低ポリフェノール六条大麦。色の違いはあきらか

春まき小麦の「春よ恋」
春まき小麦の「春よ恋」。国産麦としてはタンパク含量が高く、強力粉的性質をもつ

ASWに打ち勝て
うどん用原料として現在もっとも使われている小麦は、ASW(オーストラリア・スタンダード・ホワイト)。もちもちとした食感やクリーミーホワイトのめん色から需要を伸ばしたオーストラリア産麦です。一方、国産のうどん用麦は、輸入麦に比べて食感や色が劣りASWを超える品種開発が望まれていました。
もちもちした歯ごたえを出すにはどうしたらよいか。鍵はデンプンの性質でした。デンプンはアミロースとアミロペクチンという2種類の物質からできています。アミロースの割合が減りアミロペクチンの割合が増えるともちもち感が出てくるのです。近年、このデンプンの組成を左右する遺伝子が特定され、輸入麦に負けない食感をもつ高品質な品種が育成されています。たとえば「きたほなみ」という品種は、ASWに匹敵する品質に加え、従来品種よりも高収量で、うどん用の主力品種として北海道で広く栽培されることが見込まれています。「きたほなみ」並みの特性をもち、暖かい地方でも栽培できる小麦の品種改良が今後の課題となっています。

注目のパン用品種
身近な食品のひとつであるパンですが、原料の小麦のほとんどを輸入に頼っているのが現状です。このため、自給率の向上を視野に入れ、品質の良いパン用小麦の育種が進められています。うどんの食感にはデンプンが重要でしたが、パンの食感にはグルテンというタンパク質が大きく影響します。近年、グルテンを構成する分子のパンとの最適な組み合わせが明らかになり、生地が強く製パン性に優れた品種の開発が進んでいます。

現在、国産のパン用小麦の中で、製パン性がよく、多収で耐病性にも優れると評判なのは、「春よ恋」という北海道産の小麦です。

また、北海道初の超強力小麦品種の「ゆめちから」も注目されています。この品種はブレンド性に優れている超強力小麦なので、うどん用の中力小麦と混ぜることで、中力小麦をパンや中華麺に利用することができます。多収で病気に強い特性もあります。

健康志向で需要増加の大麦
大麦の品種開発の研究も進んでいます。最近の画期的な成果のひとつは、炊飯後も変色しない極低ポリフェノールの大麦です。変色の原因となるのは、プロアントシアニジンというポリフェノールの一種です。このプロアントシアニジンを作らない遺伝子を導入し、炊飯後もほとんど色が変わらない品種「とちのいぶき」「白妙二条」「キラリモチ」「関東皮88号」が開発されました。

もうひとつは、食物繊維の一種βグルカンの含有量が、従来の2倍以上もある大麦「関東裸91号」の品種開発です。機能性を高めた大麦の品種開発は、さらなる需要を生み出す可能性が期待できます。