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農林水産省

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特集 麦(3)

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外国産小麦の輸入と検査

生活に欠かせない小麦を安定供給


現在日本で1年間に消費される小麦は約635万tに及びますが、そのうち約86%が輸入でまかなわれています。カナダから輸入する小麦の船が入港するというので、その様子を取材しました。
クレーン

荷揚げ時間になると、巨大なクレーンのアームのような吸い上げ機が船のハッチ内に降ろされる

クレーンにて作業風景
クレーンにて作業風景

密閉式のベルトコンベア
小麦はサイロまで頑丈な密閉式のベルトコンベアで、これまたものすごいスピードで運ばれて行く

密閉式のベルトコンベア
密閉式のベルトコンベア

農産物検査室では粒の均一性や同一の品種かどうかをチェックしている
農産物検査室では粒の均一性や同一の品種かどうかをチェックしている

農産物検査室
農産物検査室
農産物検査室
船

国内産の小麦は民間流通によって取引されていますが、外国産小麦はそのほとんどを政府が国家貿易によって輸入し、安定的な供給を確保しています。

輸入業務は政府が委託した輸入業者が行い、政府が注文した量と品質の小麦を、主にアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入しています。この3カ国は小麦の生育条件に適した乾燥地帯で、日本のニーズに合った上質な小麦が栽培されており、政府はその品質や安全性を確認したうえで需要量に見合った量を輸入します。買い入れた外国産小麦は政府が製粉会社に売り渡しているのです。

いく度かの異物除去と検査を経て
政府が委託している小麦の保管サイロがある東京・大井埠頭に足を運びました。
この日、埠頭にはカナダから航行して来た2万5000tの船が横付けされていました。積載されていた小麦はカナダ産のウエスタン・レッド・スプリング。この品種は主に強力粉に製粉される品種です。

船のハッチ内に積載されている小麦は、吸い上げ機と輸送用密閉式チェーンコンベアが組み合わされたニューマチックアンローダーという機械で、次々にサイロに送られていきます。2基の吸い上げ口が付いたニューマチックアンローダーが吸い上げる能力は1時間に700~800t。ものすごい勢いで小麦がコンベア内を移動していきます。

穀物類の搬送でもっとも怖いのが空気中の粉塵が燃焼し、燃焼が伝播していく粉塵(ふんじん)爆発です。粉塵爆発の予防と環境への配慮から、ニューマチックアンローダーには粉塵をたてないように粉塵吸引装置が設置されています。

吸い上げられた小麦は計量されながらサイロの貯蔵タンクの中に落とされていくのですが、数カ所にマグネットや鉄の網などのセパレーターが設けられており、ゴミや小石、鉄粉などの異物が取り除かれます。重量測定などの作業はすべてコンピュータ制御されています。異物が取り除かれた小麦は正確に計量され、タンクに貯蔵されていくのです。

貯蔵タンクの横にある検査室では、小麦の水分、規格などの品質について、農産物検査が行われます。残留農薬やカビ毒については、産地のエレベーター(貯蔵施設)に貯蔵される際と船積みする際に検査されており、さらに農産物検査の後、厚生労働省によって最終的な安全性の検査が行われています。これらすべての検査に合格すると、小麦は貯蔵タンクのある建物内で通関され、製粉工場へ運ばれていくのです。

なお、これらの検査で万が一問題があった場合には、輸出された国へ返送、または廃棄処分されることになります。

地図

輸入小麦の検査体制


【小麦小話3】

マグネットセパレーター
鉄をも砕く? 小麦の硬さ
荷揚げされた小麦が貯蔵タンクに入れられる際、「マグネットセパレーター」と呼ばれる装置で鉄粉がより分けられている。なぜ農産物に鉄粉が混じるのだろうか。
それは、小麦の粒の硬さに秘密があるという。小麦の粒は非常に硬いのだそうだ。刈り入れや輸入先で船積みされるときに、劣化している鉄板などに勢いよくぶつかって、鉄を削り取った可能性があると知らされた。小麦がそんなに硬いとは驚きだ。
そのため小麦を貯蔵する行程でも製粉する工程でも、鉄粉をはじめとする異物を取り除くため、何度も何度も篩(ふるい)にかけられるのである。

photo:Syuichi Kasahara