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特集 麦(5)

国産小麦の新たな動き

地産地消、安定供給を目指して


パン用、中華麺用の小麦は外国産がほとんどでしたが、近年パン用、中華麺用の小麦の品種改良が進み、良質な品種が栽培され始めています。わが国の小麦生産高1位を誇る北海道。北海道でパン用の国産小麦の栽培に注力している生産者を訪ねました。
いわみざわ小麦生産集団キタノカオリグループ

わが国における小麦の消費量は年間1人当たり約32kgです。年間1人当たりの消費量はお米のおよそ半分ですが、自給率を見るとお米が100%なのに対して、小麦はわずか約14%です。5分の1にもなりません。

国産小麦については倒れにくく、収量が見込める「農林61号」という品種が、長期間にわたって、わが国の小麦作付面積と生産量の首位を占めていました。農林61号に限らず国産の小麦品種の多くが、タンパク質の含有量が中程度であることから、主に日本麺用に使われてきました。日本麺用小麦の需要に対して、国産シェアはすでに約7割。

一方、パン用や中華麺用の小麦はほとんどを外国産小麦に依存しており、国産小麦の生産が課題になっています。

北海道小麦には、9月頃に種をまき7月下旬〜8月上旬頃に収穫する「秋まき小麦」と、4〜5月頃に種をまき8月中旬頃に収穫する「春まき小麦」があり、それぞれ適した品種があります。春まき小麦は国産小麦の中ではパン作りにとても向いています。しかし、秋まき小麦に比較して生育期間が短いため収量が少なく、収穫期が降雨期にあたるため、作柄や品質が安定しにくいという欠点もあります。パン用の品種では、春まき小麦に比べて収量が多い秋まき小麦も開発され、各地域の特産として普及し始めています。

日本一の「キタノカオリ」の産地から
今回訪ねたのは、北海道岩見沢市でパン用の秋まき小麦「キタノカオリ」を栽培している「いわみざわ小麦生産集団キタノカオリグループ」です。熱心な生産者に声をかけ、グループ設立に奔走したのはJAいわみざわ米穀課考査役の西飯弘行さんでした。「製パン適性や耐病性の高いキタノカオリを地域の特産にしたいという思いに応え、地元の生産者が一丸となって取り組んだおかげで、毎年安定した収量を上げています」とは西飯さんの談。

北海道で生産されている秋まき小麦の約89%が、日本麺に適した「ホクシン」で、「キタノカオリ」は「きたほなみ」についで3番目の作付面積ですが、「キタノカオリ」が平成15年に北海道の奨励品種に指定され、翌16年に栽培が本格化されるようになってからは、秋まきパン用品種として大きな期待が寄せられるようになりました。
JA岩見沢の西飯弘行さん

キタノカオリグループ設立に奔走したJA岩見沢の西飯弘行さん

九州も小麦の大産地 国内における小麦生産量1位は北海道だが、九州も小麦の生産量の多い地域だ。福岡県は北海道に次いで2位、佐賀県は3位と続く。 福岡県糸島郡で営農している小金丸満さんは、平成19年度全国麦作共励会表彰の農林水産大臣賞を受賞した農家だ。地域の条件に合わせた作付け体系を作り上げ、高性能の農業機械を導入して、パン用小麦「ミナミノカオリ」の生産量アップに貢献している。また、とんこつラーメン向きの小麦「ちくしW2号」の生産も始めた。「麦は個人ではなく産地で評価が決まる。全体のレベルアップが必要」と、地域の取り組みとして収量の向上、品質の改善に積極的に取り組んでいる。

収穫 育成 播種

平成11年度以降に開発された小麦の主な育成品種

●北海道
麺用小麦/きたほなみ・きたもえ
パン用小麦/キタノカオリ・ゆめちから
パン用春播き小麦/春よ恋・はるきらり
●東北
麺用小麦/ネバリゴシ(青森・岩手・秋田・山形)・あおばの恋(宮城)
パン用小麦/ゆきちから(岩手・宮城・福島)
●北信越
麺用小麦/ユメセイキ(長野)
パン・中華麺用小麦/ユメアサヒ(長野)
●関東・東海
麺用小麦/きぬの波(群馬・茨城・埼玉)・あやひかり(埼玉・三重)・イワイノダイチ(栃木・愛知・岐阜・静岡)
パン用小麦/ニシノカオリ(三重)・ユメシホウ
醤油・中華麺用小麦/タマイズミ(栃木・岐阜・三重)
●近畿・中国・四国
麺用小麦/ふくさやか(滋賀・山口)・ふくほのか(兵庫)
パン用小麦/ニシノカオリ(京都・山口)・ミナミノカオリ(広島)
●九州
パン用小麦/ニシノカオリ(佐賀・熊本・大分)・ミナミノカオリ(福岡・大分・熊本・長崎)
中華麺用小麦/ちくしW2号(福岡)

photo:Syuichi Kasahara



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