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農林水産省

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チャレンジャー 第36回

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神奈川県立相原高校 畜産部あいはら豚の中華まん商品開発グループ

食品廃棄物を有効リサイクルする高校生たちの試み

神奈川県相模原市

「あいはら豚の肉まん」を商品開発した畜産部部員と顧問の登健太先生
「あいはら豚の肉まん」を商品開発した畜産部部員と顧問の登健太先生。当日は全員揃うことができなかったが、3年生が卒業して現在は17人の部員たちが活動している


肉まんは月に2回、学校で土曜・日曜日のいずれか開催される畜産物の販売会で売られる
肉まんは月に2回、学校で土曜・日曜日のいずれか開催される畜産物の販売会で売られる。1袋480円、1個120円。地元の評判はかなり良く、山梨県から買い求めに来る人もいる


苦労して育てた野菜も入った肉まん
苦労して育てた野菜も入った肉まん。収穫のために朝の6時に登校、あるいはライトをつけ夜遅くまで作業を行った。特ににんじんはねじれていたり、小さかったりで収穫しながら悲しくなったという

生まれて3カ月ほどの子豚たち
生まれて3カ月ほどの子豚たち、110~120kgに成長すると出荷される

出産を控えた親豚
出産を控えた親豚
新たな食のリサイクルループを
「飽食の時代」といわれて久しい日本。毎年、大量の食品廃棄物が発生している。
神奈川県立相原高校畜産部は、食品廃棄物から作った飼料で豚を育て、その食肉を使った中華まんを開発商品化した。

もともと同校では、食肉には向かないとされる、老齢繁殖牛を利用したレトルト食品「相原牛カレー」や、地元小学校の給食の残りなどから作った発酵飼料を鶏に与え、産んだ卵を給食食材として提供するといった食のリサイクルループの構築に関して実績を積んでいる。

今回の中華まん開発のきっかけとなったのは、「相原牛カレー」の商品化のときに連携した食品会社新宿中村屋の担当者との会話からだった。

「工場から大量に出る食品廃棄物は、産業廃棄物になり処分にはコストがかさむ。焼却すると環境に負荷を与える。相原高校で飼っている豚の飼料にならないだろうか」

しかし食品廃棄物を豚にそのまま与えても、栄養バランスが悪く保存にも難点がある。思いあぐねているときに、食品廃棄物を発酵飼料に加工している会社から、豚の成長段階に応じ栄養バランスを調整した餌が作れるという申し出があった。

順風とはいかなかった肉まん開発
昨年の6月、食品廃棄物を利用した発酵飼料の給餌が始まった。同時に、部員たちは肉まんに入れる野菜の無農薬栽培もスタート。

「おいしい豚肉、無農薬で育てた野菜。徹底的にこだわってやりたかった」(顧問の登健太教諭)

ところが豚たちの思わぬ反応に、部員も先生も困惑することになる。

発酵飼料の餌に見向きもしなかったのだ。やっと12頭の豚が餌箱に向かって突進し、ガツガツと食べる姿に安心しているといっせいに後ろを振り返りドーっと吐き出してしまう。これにはさすがに先生も生徒も焦ったそうだ。空腹に耐えきれなくなり、豚があきらめて発酵飼料を食べだすのをひたすら待った。
野菜作りも暗くなるまでの除草作業や、満足できる作物が収穫できずに苦戦続きだった。

肉まんの開発にもかなりの時間を要した。納得する味を追求し、調理と製造を担当する新宿中村屋とも話し合い、何回もの試食が繰り返された。最終的には自分たちの作った野菜の甘み、豚肉の味が最大限に生かされるように、塩味ベースで香り付けにほんの少し醤油を加えたものに落ち着いた。

商品化した肉まんが届けられ、箱を開けた瞬間、自分たちにも商品開発ができると感動し、辛かったことも蘇ってきて感慨が深かったと生徒たちは口々に語る。

「生徒一人ひとりが、食品廃棄物が大量に出ているという現状と、無駄にせずに再利用できないかと考えてくれるきっかけになれば、得るものは大きかったと思います。今後は食品廃棄物を肥料として、野菜を作ることも目標。リサイクルの可能性を模索していきたいと思います」

地図

部活動や研究の成果で取材を受けることも多い。部室の壁には記事の切り抜きがびっしりと貼ってある
部活動や研究の成果で取材を受けることも多い。部室の壁には記事の切り抜きがびっしりと貼ってある

Photo:Atsushi Soumi


チャレンジャーズでは、農林水産分野で先進的、かつユニークな活動を行っている人々をご紹介します。