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農林水産省

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affインタビュー 第36回

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田部井淳子 さん

世界最高峰であるエベレストに女性で世界初の登頂に成功し、その後、やはり女性で世界初の7大陸最高峰登頂者となった登山家、田部井淳子さんにお話しを聞きました。

小皿に醤油をさすとき、残るほどたくさん注いでいませんか。使い切る、食べ切る習慣を身につけておきたいですね。
田部井淳子
田部井淳子
たべい・じゅんこ/昭和14年、福島県三春町に生まれる。昭和女子大学卒業後、社会人の山岳会に入会、昭和50年、世界の女性で初めてエベレスト登頂。平成4年7大陸の最高峰を登頂(世界女性初)。現在58カ国の最高峰・最高地点を登頂。山岳環境保護団体「日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト(略称HAT-J)」代表。平成21年春から日本トレッキング協会会長。

テント内でくつろぐ田部井さん
2006年ヒマラヤのマナスル登山時、テント内でくつろぐ田部井さん

テント内でくつろぐ田部井さん
2009年インドのジャガツスク5,332mにて

田部井淳子さん登山歴60周年記念講演
田部井さんが山と出会って60年ということを記念して、5月22日(土曜日)出身の福島県で『田部井淳子さん登山歴60周年記念講演』が行われる。女性のための登山入門書『田部井淳子の はじめる! 山ガール』NHK出版より4月19日発売予定。1,200円(税込み)
田部井淳子さんがエベレスト日本女子登山隊の登攀(とうはん)隊長として、世界最高峰を制覇したのは、今から35年前、35歳のときだった。以来、数々の輝かしい登山歴を残してきた田部井さんだが、小柄で愛らしい笑顔を見せる彼女の、どこに過酷な登攀を続けられるパワーが潜んでいるのか。まず登山時の食のお話から始まった。

「粉末の味噌や醤油など、フリーズドライ食品を含む携行食は、宇宙開発の進歩とともに品数も増えて、おいしくなりましたね。
そういうものがなかった時代には、自分たちで干して乾燥させた野菜を持って行くなど、工夫をしていました。

軽量コンパクトが原則なので、ティーバッグも1個1個包みをはずして、バラにしてまとめておく。そして最大限有効利用します。お茶を飲んだあとはティーバッグでお皿をぬぐったりもします。キャベツの芯もスープに入れるなどして、使い切ることを重視していますよ」

「遠征に行くときなど、かなりの食料を用意しなくてはならないので、賞味期限切れの商品をずいぶん安くゆずっていただきましたよ。賞味期限切れの商品でも、十分食べられるんだもの」

発酵食品が大好きな野菜中心の和食党
今でも年に5~6回は海外の山に登っているという田部井さん。健康の秘訣は何なのだろう。

「元気で長生きするためには食生活が大切です。だから、気を使っていますよ。

三食すべて自分で作ります。朝は必ずリンゴ、ニンジン、レモン、ショウガを皮ごとジューサーにかけて、生ジュースを飲む。そして発酵食品は欠かさない。毎日納豆とお豆腐は食べます。塩分控えめで野菜中心の食生活。完全に和食党。パンだって、米粉のパンだもの」と笑う。

「私は太陽の光に当たったものが好きなの。干し柿や干し芋は大好きだし、登山のときにも重宝しています。魚なら干物。お日様のエネルギーをいっぱい浴びたものを食べると元気が出る」

味噌も醤油も、地元である福島県在住の友達が送ってくれた手作りのものだそうだ。

食べ残しを見るのイヤですよね?
「親から野菜は芯の部分に力があると言われて育ったから、キャベツでも白菜でも、芯まですべて食べていますよ。ブロッコリーの茎を捨てている若い女性を見て、驚いてしまいました。ブロッコリーの茎だって、細かく刻んで餃子の具に混ぜたり、使いようはいろいろあるでしょ。

食べものを残すのはイヤですね。お刺身を食べるのに、小皿に醤油をたくさん注ぐ人がいるでしょ。結局、残った醤油は捨てられて、水を汚すことになる。

私は子どもたちにも、使い切れる分だけ注ぎなさいと言ってきました。食後は小皿にも何もない状態にすることが、自然の恵みへの感謝の印。

だから、外食、とくにパーティーへのお呼ばれが嫌いで、ほとんど出席しません。残されたものを見るのも、そのあとどうなるかを考えるのもイヤだもの。

ただ山の会のパーティーには行きますよ。食べものは残さない、捨てないというのは登山のメンバーにとって当たり前だから。それでも、料理人の方にあらかじめ、皆さんに行きわたる量だけ、残りものが出ないように、こだわって作ったということをひと言、言ってもらうようにしています」

食を提供する側もされる側も、残りものを出さないために言葉をかけ合う。これは妙案だと思った。