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MAFF TOPICS(5)

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affラボ ブタゲノム塩基配列の概要解読が完了

安全でおいしい豚肉を将来の食卓に


先ごろブタゲノム塩基配列の98%の解読が完了しました。さらに詳しく、どの塩基配列にどんな遺伝情報があるのかを解明する研究が現在進んでいます。これらの研究により、近い将来、安全でさらにおいしく良質な豚肉の生産が可能になりそうです。

ゲノムの塩基配列
ゲノムを構成するDNAは細胞の中の染色体に含まれ、A、T、G、Cの4つの塩基の並びでできています

一品増やしたいときに便利。和食以外にビーフシチューなどの洋風の商品も出ている
ボーノブラウンの肉(上)。通常の肉(下)に比べて霜降りの割合が2倍となっている

商品パッケージに表示されているロゴマーク
ボーノブラウン。ボーノはイタリア語でおいしい、ブラウンは褐色の毛色からこの名前が付けられた。育種はデュロック種という豚を元にして行われた。またブタゲノム塩基配列の解読もデュロック種のゲノムで行われている
食肉用家畜、ブタのゲノム解読
生物が持つ遺伝子全体の情報のことをゲノムといいます。ゲノムはデオキシリボ核酸(DNA)という物質からできています。DNAなら聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4つの「塩基」でできており、これらが長く連なった形(配列)で細胞の中の染色体に含まれています。遺伝情報はこのA、T、G、Cの並び方(塩基配列)で表されています。ですから、ゲノムの塩基配列を知ることは遺伝情報を明らかにするためにとても重要なのです。

家畜では、これまでに、ウシやニワトリにおいて全ゲノムの塩基配列が解明されていますが、ブタについては明らかになっていませんでした。そうした中、主要な食肉用家畜であるブタについてもゲノム解読の必要性が検討され、2003年に世界12カ国の大学、研究機関が集まりそれぞれが協力して共同研究に取り組むことになりました。

日本からは(独)農業生物資源研究所と(社)農林水産先端技術産業振興センター・農林水産先端技術研究所が参加。今回のブタ全ゲノム解読の一端を担っています。

「ブタゲノム98%は解読されましたが、それは塩基配列が判明しただけです。次の段階として現在は、もっと高精度に調べることで、どの染色体上にどんな遺伝情報があるか、その役割は何なのかといった詳細を明らかにする研究を進めています」((独)農業生物資源研究所 家畜ゲノム研究ユニット長 粟田崇さん)

ゲノム解読のもたらす豚育種の可能性
さて、ゲノム解読を行うために、長くつながっているDNAの塩基配列を読みやすいサイズに断片化して染色体ごとに分析する技術が開発されました。その過程で得られたゲノム情報を活用して、岐阜県畜産試験場養豚研究部との共同研究で、新たな種豚「ボーノブラウン」を開発するという成果もあげました。

一般的な豚肉の霜降り割合は3.1%ですが、ボーノブラウンは6.0%。白く細かなサシが肉全体に行き渡って入っています。この育種が始まったきっかけは、クレームが付き返品されるほど脂身の入った豚の存在でした。

「一般的な豚と比べると異常のある豚ですが、遺伝的な特徴があるのではないかと調査を行いました。ゲノム情報を利用して解析した結果、霜降りに関係する遺伝領域を染色体の中から2カ所見つけることができました。これをデュロック種の一般的な豚と交配を重ねボーノブラウンを完成させました」

今後、ブタゲノム塩基配列がさらに高精度で解読されれば、病気に強く育てやすい、大きく育つ、おいしい肉質であるなどの優れた特徴を持つ豚の品種改良が加速されることが期待できます。