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駅弁紀行 第16回

ヨネスケ

JR九州・西日本

博多駅「熊本やつしろ清流球磨川 鮎屋三代」


九州新幹線開業に合わせ、1年の歳月をかけて完成。不動の人気を誇る駅弁。
球磨川/写真提供:豊永和明
熊本やつしろ清流球磨川 鮎屋三代

熊本やつしろ清流球磨川 鮎屋三代
地元では「鮎屋」の通称で知られる鮎問屋・頼藤商店の三代目が考案した逸品。1,100円
製造元:頼藤商店
Tel.0965‐33‐1145

【おしながき】
アユの炊き込みご飯
アユの甘露煮
シイタケの煮付け
出し巻き卵
レンコン
菜の花のお浸し
梅干し
ショウガの酢漬け

ヨネスケ
ヨネスケ(桂 米助)
かつら・よねすけ/落語家。千葉県市原市出身。桂米丸氏に弟子入り、1967年デビュー、1981年真打ちに昇進。その人情味あふれるキャラクターで幅広い年齢層に親しまれる。日本テレビの「突撃! 隣の晩ごはん」では、全国津々浦々の家庭にいきなり訪問。アポなしながら最終的に歓迎されてしまうのは、やはりその人柄によるものであろう。また、こうした取材移動から、日本中の駅弁・空弁を食べ尽くし紹介するブログ「ヨネスケの駅弁! 空弁! 食べて答弁!!」を公開、大評判となっている。
http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/
昨年の秋のことである。「博多・天神落語まつり」に出演するために、福岡空港から博多駅へ向かった。博多駅は福岡を代表するターミナル駅にして九州最大の駅。利用客数も多く、駅構内の駅弁屋もえらく充実している。

そこで見つけたのが、九州駅弁ランキング3年連続1位という輝かしい経歴をもつ「鮎屋三代」。駅弁名の横に「熊本やつしろ清流球磨川」と書いてある。

そうなのだ。この駅弁は福岡県の駅弁ではなく、熊本県を代表する駅弁なのだ。熊本は八代市にある老舗鮎問屋の名物駅弁である。

清流球磨川とは、八代海(不知火海)に流れ込む熊本県最大の川である。最上川、富士川と並ぶ日本三大急流のひとつで、夏には涼を呼ぶライン下りが人気だ。

また球磨川はアユ釣りのメッカとしても知られている。球磨川のアユは大きくて美味しいことで有名で、特に「尺アユ」と呼ばれる30cm級の巨アユは、太公望の垂涎の的らしい。実際にこの駅弁の表の掛け紙には、体長34cm、体重400gの実物大の尺アユの魚拓が印刷されている。

掛け紙には魚拓だけでなく、創業の歴史から創業者の覚書などが、ぎっしりと書かれている。それによれば、球磨川のアユは天皇陛下にも献上されたことがあるそうだ。

そんなこんなを読みつつ、弁当のふたを開ける。15〜18cmはあろうかと思われる大きな飴色のアユがドーンと横たわっている。食材なのに「横たわる」というのも変だが、そう言いたくなるほど大きくてインパクトがあったのだ。

アユを使った駅弁は、姿寿司が有名だが、甘露煮は珍しい。炊き込みご飯からかぐわしい香りが立ち上ってきた。天然アユからとった出汁で炊き込んであるという。炊き加減も絶妙だ。「いい仕事をしてますねえ」とつぶやきながら、アユの甘露煮に箸を伸ばす。

ほろっと身がほぐれた。頭から骨まで丸ごと食べられる柔らかさ。しつこい甘さでもなく、それでいてコクがあり、めちゃめちゃ美味。酒の肴にももってこいである。3年連続九州人気駅弁第1位というのも十分納得できる味であった。

博多駅だけでなく、新八代駅や八代駅でも購入できるようなので、ぜひご賞味あれ。(語り下ろし)


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