ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)5月号 > aff(あふ)バックナンバー > 10年8月号目次 > 連載10 こぐれひでこ の いただきもの絵日記
文・イラスト こぐれひでこ
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イラストレーター&エッセイスト。『こぐれひでこのおいしい画帳』(東京書籍)、『こぐれひでこのごはん日記』春夏篇・秋冬篇(早川書房)、『私んちにくる?』(扶桑社)、『こぐれの家にようこそ』(早川書房)ほか、著書は30冊を超える。現在は、女性向けの人気情報サイト『カフェグローブ』で、ごはんをテーマにした『こぐれひでこの毎日ごはん』を、また遊び心をテーマにした情報サイト『あそびすと』でも連載中。 |
私たちは長野県の山の中に小さな家を持っている。おもいがけない安値でその家を入手したのは六年前のこと。五十代も半ばを過ぎて、東京の蒸し暑い夏に体が悲鳴をあげ始めた頃のことだった。 お金持ちの方々が夏の間、涼しい高原の別荘で過ごすという暮らしぶりは、小説や映画の中で知ってはいたが、まさか自分にそんな可能性が訪れようとは思わなかった。残念ながらお金持ちの別荘とは違い、小さな掘っ立て小屋の家なのだが、夏の涼しさだけはピカイチ。 「今年の夏こそあの家で避暑をする」毎年同じ宣言をしているけれど、最も長く滞在したのは一週間。それもたったの二回だけである。無産階級である我々にとって、長期間の避暑生活を送るというのは夢のまたその夢なのである。 縁もゆかりもなかった土地に山小屋を入手した直後、すぐ近くに、長らくつきあいが途絶えていた従姉妹が常住していることが判明し、交流が復活。我が山小屋に灯りがついているのを目にすると、春には山菜、夏にはトウモロコシ、秋にはキノコを持ってきてくれる。 夜中に到着した翌日、従姉妹から「今朝もいだトウモロコシをおいといたから食べて」という電話。玄関前には十本のトウモロコシがあった。 うちの夫はトウモロコシが大好き。「早く加熱しておかないと鮮度が落ちるよ!」と、夫がすぐさま準備にかかった。元々働き者の夫なのだが、トウモロコシのこととなると拍車がかかる。 我が家のやり方は、薄皮を二枚程度残した状態まで皮をむいてラップを巻き、レンジにかける。一本なら五分くらい、二本なら九分くらい、三本なら十二分くらいが適当か。加熱が終わったら、あら熱が取れるまでラップを巻いたまま、しばらく待つ。熱々状態の時にラップをはずすと粒がしわしわになってしまうので要注意だ。そんな調理法を知ったのは二十年以上も前のこと。ゴルフに熱中していた夫が夏になるといつもトウモロコシを買って帰宅。その農家の人から教えてもらった調理法なのである。 それまで我が家では皮もヒゲもきれいに取り除いてレンジにかけていたのだが、皮付きで加熱した方が瑞々しさを保つし、なんといっても香りがいい。 残ったトウモロコシは粒々だけを削いで冷凍保存をする。コーンスープを作るとき、コーン入りのサラダを作るとき、コーン入りのパンケーキを作るとき、保存したトウモロコシが大活躍するのは当然である。 トウモロコシはおいしい。姿がいい。色も素敵。香りもいい。今度また、従姉妹が持ってきてくれたら、久しぶりに炭火焼きしようかな。期待は膨らむばかりだ。 |