ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)5月号 > aff(あふ)バックナンバー > 10年9月号目次 > チャレンジャーズ 第41回
![]() 後ろのログハウスはモクモクファームの原点。22年前の創業当初はここでハムを作り、ウインナーの手作り体験教室も開いていた ![]() 稲穂が倒れたため手刈りが必要となった水田の稲刈りを手伝った援農隊。「やったー」と大人も子どもも達成感に笑顔がこぼれる ![]() 年間50万人の来場者を誇るモクモクファーム。ひとりでも多くの来場者に農業を分かってもらうべく努力しているという ![]() モクモクファームの貸し農園「農学舎」。基本的に対象は50歳以上、初心者には野菜作りの基礎を学ぶ「畑学校」も開催 ![]() ブルーベリー農園では、ブルーベリーの種類や、摘みごろの実の見極め方を教えてもらってから収穫体験を開始
![]() 小さなのんびり学習牧場では家畜の知識が学べ、実際に牛の乳しぼりやヤギ、ヒツジに餌を食べさせる体験が出来る |
今でも生きる創業時の教訓
農産物の生産、加工、流通を自社で賄い、農業法人の手本としても知られる「伊賀の里モクモク手づくりファーム(以下モクモクファーム)」。東京ドーム4個分がすっぽり入る自然豊かな敷地の中には、本社と畜産物や農産物の加工工房、手造り体験教室や家畜動物の学習牧場、宿泊施設、レストラン、ショップなどが点在。体験型農業公園として年間50万人が訪れる。 モクモクファームは1987年に、養豚農家が集まりスタートを切った。この地域の養豚農家は規模が小さく、畜産物をハムなどに加工し付加価値をつけることで生き残りを図ろうとしたのだ。 ところが現実は甘くなかった。「おいしく高品質のハムを作れば必ず売れるはず」が、さっぱり売れずじまい。製品が売れるようになったのは、消費者向けの「ウインナーの手作り体験教室」を通してだった。 「消費者は生産者との間にある垣根を取り除きたかった。交流の場を持って、モクモクの製品が消費者に理解されたからこそ売れだしたのです。この教訓は現在でも一貫して、モクモクファームの取り組みに生かされています」とモクモクファーム代表取締役専務吉田修さん。 肌で感じ取る食農学習を
いまモクモクファームが力を入れているのが食農学習だ。本当の農業の姿が教育を通し子どもたちに伝わっているのか、という疑問がそもそもの始まりだった。小学校の先生でさえ、乳牛は一年中搾乳ができると思っている。一般の農家はコンバインに乗って稲刈りをしているのに、子どもにはいまだに鎌で稲を刈らせ、稲刈り体験としている。 「このままでいいのか」と始めたのがフランスの「教育ファーム」をモデルとした食農学習だ。食農学習では綿密に組まれたカリキュラムのもと、小学生に家畜の世話や農作業の体験を泊り込みでさせる。子どもたちは農業の楽しさや大切さを肌で感じ取る。交流の場を通し理解を深める、という創業時の教訓はここでも生かされているのだ。 「我々生産者も消費者に積極的に働きかけ、『食』が生み出されるプロセスをたくさんの人と分かち合いたいと考えたのです」 食農学習を始めるにあたっては内部でも議論があった。「それでも」と始めたが、今では予約が取りにくいほどの人気を集めている。 「日本の農業を守るためには、消費者に農業のことを理解してもらうことが不可欠です」と吉田さんは続ける。 食農学習は、次世代を担う子どもたちにとって原体験となり、農業に関心のある大人に育っていくに違いない。また大人たちに向けても貸し農園や援農隊などの農業体験の場を提供し、農業への理解を深める提案をしている。 「農業とリンクした福祉活動にも挑戦したい」と吉田さん。 農業分野に常に新風を吹き入れるモクモクファームに、今後も注目したい。 ![]() |