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MAFF TOPICS(3)

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affラボ 高齢化社会を迎え「健康で長生き」はみんなの課題

乳酸菌H61株の老化抑制作用の実証


(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所は乳酸菌を利用した老化予防製品開発のために
老化抑制作用を実証する研究を行いました。マウスに乳酸菌H61株を与えたところ
老化による皮膚の潰瘍の防止、骨密度の低下を抑制する効果があることが証明されました。

乳酸菌H61株を用いたヨーグルト

乳酸菌H61株を用いたヨーグルト。乳酸菌H61株は菌が生きてない死菌体でも老化抑制作用があり、ヨーグルト以外の製品化も可能


乳酸菌H61株を混ぜた配合飼料を与えたマウスと、配合飼料のみを与えたマウスの比較

乳酸菌H61株を混ぜた配合飼料を与えたマウスと、配合飼料のみを与えたマウスを5カ月後に比べると、前者には脱毛、潰瘍、目の周辺のただれなどが見られず骨密度も高いことが証明された。写真右には老化による腫瘍が見られるが、H61株を摂取したマウスには潰瘍は見られない
長寿と乳酸菌
現在、日本の65歳以上の高齢者は人口の約2割強を占め、その割合は増加する傾向にあります。

それにともない老化による疾病の予防や、免疫力の強化、見た目の若々しさなど、健康を維持しつつ長生きすることに関心を持つ人が多くなってきました。

(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所は、乳酸菌に老化抑制作用が期待できると注目しその作用を明らかにしました。

乳酸菌と老化抑制の関係に関心がもたれたのは、1907年にロシア人の学者イリア・メチニコフの「不老長寿論」という本で「発酵乳(ヨーグルト)を日常的に食べているブルガリアのある地方の人は長寿が多い」という説が発表されてからです。

この説が出てから乳酸菌は代表的なプロバイオティクス(宿主の健康維持に有益な働きをする消化官内の微生物)として、さまざまな研究が進められました。

「寿命延長と乳酸菌の研究では、過去にもマウスを使った報告がありました。しかし寿命が延びていても、マウスが老化しているのか否かは調べられませんでした。私たちの研究では『健康で長生き』を目指していますので、老化の進行にともなうさまざまな病態に対する乳酸菌の影響を見てみようと思いました」(同研究所 木元広実さん)

老化抑制作用を示した乳酸菌H61株
実験に使われたのは、通常のマウスに比べて早期に老化症状を示し短寿命の老化促進モデルマウス(以下SAM)。与えられた乳酸菌は畜産試験場(当時)で約半世紀前に、市販のチーズスターター(乳の発酵をスタートさせるもの)からの分離に成功した乳酸菌H61株。研究結果を製品化につなげることも視野に入れ、免疫機能を活発化する作用を持ち、安全性も高く、また、この乳酸菌を利用した発酵乳は味も良いということから乳酸菌H61株が選ばれました。

「SAMには老化の進行により老化※アミロイド症、老年性骨粗鬆症、学習・記憶障害などを発症するものがあります。老年性骨粗鬆症を発症するSAMに乳酸菌H61株を食べさせ、骨密度とマウスの肌状態を調べました。その結果マウスには、老化による脱毛や骨密度の減少、潰瘍の発生が抑制されたことが確認されました」

この実験で注目したいのは、乳酸菌H61株をマウスの老化が始まった時期から与えたにもかかわらず、老化抑制作用があったということです。人に例えると中年以降から乳酸菌H61株を食べ始めても、効果が期待できるかもしれないのです。

これからの課題はこの作用が人にも有効かの検証。現在、人の肌への影響を調査中です。乳酸菌H61株を使用した製品は、飲むヨーグルト「WaKaSa」がJAみずほ(茨城県)から販売されています。また今後はサプリメントなどの製品化も期待できるようです。

※アミロイド症
アミロイドと呼ばれるたんぱく質の一種が細胞外に沈着し、臓器機能障害をおこす疾病