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農林水産省

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特集 生物多様性(2)

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里からの発信

生きものを育てる稲作農家の挑戦


琵琶湖の湖畔から山里へと広がる滋賀県高島市。
ここに田んぼで育まれる生きものを大切にするために、「たかしま生きもの田んぼ」プロジェクトを立ち上げ、環境保全型の農業に転換した人たちがいます。
その母体であるたかしま有機農法研究会を訪ねました。
滋賀県高島市に「たかしま生きもの田んぼ」プロジェクトを立ち上げ、環境保全型の農業に転換した人たちがいる
Illust:Yuriko Asou

「たかしま有機農法研究会」の梅村会長

水田に魚道を設置したことで、フナやナマズが産卵のために田んぼに帰ってくるようになった。大きなナマズを手にする梅村さん

亀かえるスロープ

カメやカエルが水路からはい上がり、日光浴をしたり、元の住処に戻れるように作られた「亀かえるスロープ」

たかしま有機農法研究会の田んぼに集まるチュウサギ

たかしま有機農法研究会の田んぼにはエサとなる生きものが多いのだろう。チュウサギが集まってくる

生きもの調査

水路や田んぼ、ビオトープで「生きもの調査」をする地元の小学生たち

写真提供:株式会社アミタ持続可能経済研究所
自慢できる生きものがいっぱい
たかしま有機農法研究会が拠点を置く滋賀県高島市は、日本海側とを隔てる山脈を背後に控えた琵琶湖の北西岸にあります。

訪ねるために乗った湖西線の車窓には、どこまでも水田が続くのどかな田園風景が広がっていました。多品種の水稲を栽培する米どころです。

「高島の田んぼには多様な生きものが生息しています。ナゴヤダルマガエルは、沖縄を除く国内では最も絶滅が危惧されるカエルです。そのカエルがこの周辺の田んぼにはたくさん生息しているし、健全な里山環境が維持されていなければ、なかなか生息できないニホンイシガメや環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種になっているハッタミミズやチュウサギも、ここには多数生息しています」

と話してくれたのは、たかしま有機農法研究会の会長である梅村元成さんです。

「このような稀少な生きものたちが暮らす田んぼの環境を壊してはいけないと強く思いました」

環境への負荷の少ない農業へ
そこで梅村さんは、平成11年から農薬や化学肥料を使わない米づくりに取り組み始めました。そして平成18年、生態系に配慮した農業を行ってきた農家7名が集まり、生きものたちと共生できる米づくりを目指して、たかしま有機農法研究会が発足しました。

無農薬・無化学肥料での栽培は安定供給や安定収入という意味でリスクの高いものでした。しかし、技術研修や勉強会を重ねた結果、農薬や化学肥料の使用を厳しく制限した米を、安定的に生産できるようになりました。

田んぼにはナゴヤダルマガエルも増え、フナやナマズが産卵のためにやってきます。そんな豊かな田んぼの米は「たかしま生きもの田んぼ米」として、直販を中心に消費者に届けられています。

滋賀県高島市

水辺の生きものが生息できるビオトープ

  水辺の生きものが生息できるビオトープ

水辺の生きものが生息できるビオトープ

  休耕田を利用して、水辺の生きものが生息できるビオトープを作った。ここは地域の小学生の体験学習の場でもある
梅村元成さんと次男の泰彦さん
  「たかしま生きもの田んぼ米」の生きものマークが張られた米袋

梅村元成さん(左)と次男の泰彦さん(右)。泰彦さんの名刺には「農村環境を創造する農法で未来に繋ぐ」と書いてあった
 
「たかしま生きもの田んぼ米」の生きものマーク(上)が張られた米袋