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農林水産省

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特集 生物多様性(3)

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山からの発信

多様な生きものを育む森林をめざして


群馬県みなかみ町西部、新潟県との県境に広がる国有林「赤谷の森」を舞台に、幅広い関係者の協働による生物多様性復元に向けた取り組み「赤谷プロジェクト」が進められています。
その中核団体のひとつである林野庁関東森林管理局の森林施業調整官に、赤谷プロジェクトの取り組みについて話を聞きました。

多様な生きものを育む森林をめざして


イヌワシ

赤谷の森

イラスト
地域協働の森づくり
利根川の上流域に広がる赤谷の森には、ブナ、トチノキ、ミズナラなどの天然林、スギ、カラマツを主体に植林された人工林、かつて薪炭林だったコナラの林が広がっています。

そんな赤谷の森には、希少種であるイヌワシやクマタカのほかツキノワグマなど、さまざまな生きものが生息しています。

この赤谷の森で、生物多様性の復元と持続的な地域づくりを進めているのは、地域住民で組織する赤谷プロジェクト地域協議会、財団法人日本自然保護協会、林野庁関東森林管理局の3団体です。

かつてこの森には、スキー場やダムの建設が計画されましたが、水源への影響が懸念されるとともに、イヌワシ等の生息が確認されたことから、これらの計画は中止されました。

一方で、赤谷の森の一部を緑の回廊として設定する中で、平成15年に3者による赤谷の森の今後についての議論がはじまり、平成16年に赤谷プロジェクトがスタートしました。

以来さまざまな調査、モニタリングを行い、その評価、検証結果を反映させて活動を広げていきました。今回、関東森林管理局の山本道裕調整官に森林保全について話を聞きました

「赤谷の森では戦後、大規模に植林された人工林を今後どう管理していくのかが課題でした。

人工林は樹種も樹齢も同じです。多様な生きものの住処(すみか)という点では、いろいろな樹種や樹齢の樹木があり、低木や草本も生育する森林にしていくことが望ましい。一方で、人工林は再生可能な資源であり、森林整備を進めながらそこから生産される木材等を積極的に活用することで地域の活性化にもつながります。」

人工林をいかに多様な森林にするか
赤谷プロジェクトでは、人工林でも、多様な生きものが生息・生育できるような条件づくりに取り組んできました。

一般的な人工林は50~55年で伐採するところを、赤谷の森では、80年以上の高齢級にまで育て、その間、間伐を繰り返します。

「間伐を繰り返しているうちに、※林床に光が届き低木や草本などの下層植生が発達します。また、植林木以外の樹種にも好影響を与え、林床が豊かになります。植生が豊かな森林によってさまざまな生きものが育まれるのです」

赤谷に本来あるべき自然植生を将来の赤谷の森の姿と位置付け、人工林内に積極的に広葉樹などの進入を促し、多様な樹種からなる森林づくりを行っています。

このほか、猛禽類の生息環境の維持・改善、湿地など特別な環境で生息している生きものの保全のためのモニタリングを行い、地域の重要な水源でもある赤谷の森の渓流環境の復元などにも取り組んでいます。

※林床
森林内にある地表面のこと。樹木の稚樹や下草が育つことで、豊かな森林生態系を維持するための重要な場となる


赤谷プロジェクト

緑の回廊