このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

特集 生物多様性(5)

動き出したさまざまな取り組み


生物多様性の保全活動。
そういうと、とても大それたことのように聞こえます。
けれど、私たちは身近なことから、生きものたちとのつながりを感じることができるはずです。

「生きものマーク」を知っていますか?
生きものの生息環境の保全に配慮をしながら生産された農産物などに、保全対象となる生きものの名前などを冠したオリジナルマークを付ける動きがあります。それが「生きものマーク」です。

まだまだ数は多くありませんが、3ページで紹介した「たかしま生きもの田んぼ米」のように、このマークが付いたブランド農産物は、生物多様性に配慮して作られた証しです。消費者はマークの付いた農産物を購入することで、間接的に生きものの保全活動に参加することができます。「生きものマーク」は、生物多様性の保全を目指した生産者と、それを支援する消費者をつなぐマークなのです。

全国生きものマークの例

たじりふゆみずたんぼ米
宮城県大崎市
たじりふゆみずたんぼ米
冬期8万羽もの真雁(マガン)がシベリアから飛来する宮城県の蕪栗沼(かぶくりぬま)。密集により生育環境の悪化が心配されたので、冬の田んぼに水を張り野鳥の休息地としました。その結果、野鳥の糞を分解する微生物、小動物が増加して循環型ミニ生態系が出来上がりました。その田んぼで、無農薬無化学肥料で作られたのがこのお米です。
伸萌ふゆみずたんぼ生産組合/株式会社たじり穂波公社
TEL:0229-38-1021
http://www.honamikousya.com/


かしまだいシナイモツゴ郷の米
宮城県大崎市
かしまだいシナイモツゴ郷の米
絶滅の恐れがある市指定の天然記念物シナイモツゴ。水環境のバロメーターでもあります。シナイモツゴの保護とその生息地であるため池の保全活動、ため池の水源を利用した減農薬・減化学肥料での米栽培の取り組みをNPO法人が認証。じっくりと丁寧に安全・安心なお米をつくり続けたい! との地域の想いが込められたラベルを貼付し、産地より直接販売されています。
NPO法人シナイモツゴ郷の会/
かしまだいシナイモツゴ郷の米つくり手の会事務局
TEL:0229-56-5746
http://satonomai.jp


湖がよろこぶ野菜たち
茨城県霞ヶ浦流域
湖がよろこぶ野菜たち
生活排水流入による富栄養化や外来魚の侵入による水質悪化と漁業の衰退が深刻な状況となった霞ヶ浦。そこで湖で捕獲した外来種アメリカナマズ、ハクレン等を魚粉加工し、野菜栽培の肥料として活用することにしました。この肥料で作られた農作物をシリーズでブランド化、販売しています。
NPO法人アサザ基金
TEL:029-871-7166
http://kasumigaura.net/asaza/gyaku/kanPWEB/


魚のゆりかご水田米
滋賀県野洲市・東近江市・米原市
魚のゆりかご水田米
琵琶湖辺に広がる田んぼ。日ごと生育する苗がほどなく迎える梅雨、琵琶湖から遡上するのはたくさんの湖魚たち。農家が魚たちのためにつくった魚道を通じて田んぼに入り産卵する。一帯はやがて、その稚魚たちを育む「ゆりかご」となり、田んぼですくすく育った稚魚たちは、琵琶湖へと巣立っていく。『魚のゆりかご水田米』は、こうした魚にやさしい田んぼでつくられたお米です。
滋賀県農政水産部農村振興課
TEL:077-528-3962
http://www.pref.shiga.jp/g/noson/


朱鷺と暮らす郷づくり
新潟県佐渡市
朱鷺と暮らす郷づくり
野生復帰を目指すトキがシンボル。佐渡市では、人にも、トキの餌となる小さな生きものにも安全・安心なお米作りを目指し、無農薬・減農薬栽培に、さらに「生きものを育む農法」という条件を付加した認証制度を始めました。トキを育む水田で栽培されたお米はこのラベルを貼って販売されています。
JA佐渡/佐渡市農林水産課生物多様性推進室
TEL:0259-63-5117
http://www.city.sado.niigata.jp/eco/info/rice/index.shtml


阿蘇草原再生シール
熊本県阿蘇地域
阿蘇草原再生シール
世界最大級のカルデラを擁する阿蘇地域では、古来より野焼きや採草を行うことで広大な草原が人為的に維持されてきましたが、近年は管理が困難となり、放棄された草原の生態系の変化が心配されていました。近隣農家は草原から野草を採草して堆肥を作り、それを使って野菜を生産・販売しています。
阿蘇草原再生シール生産者の会事務局
(阿蘇自然環境事務所内)
TEL:0967-34-0254
http://www.aso-sougen.com/producer/index.html


コウノトリと共生した米づくり
兵庫県豊岡市
コウノトリと共生した米づくり
豊岡では、一度絶滅した「コウノトリ」をかつての生息地の人里に帰す世界的にも例を見ないプロジェクトを進めています。農薬に頼らない、コウノトリ育む農法により、さまざまな生き物を水田などで育むための取り組みを展開。「コウノトリの舞」はコウノトリが運んでくれた安全・安心な農産物と農産加工品の豊岡市認定ブランドです。
JAたじま米穀課 TEL:0796-24-2205
豊岡市農林水産課 TEL:0796-23-1127
http://www.city.toyooka.lg.jp/


日本の森+企業
日本の森+企業
紙のむこうに森を視る
森林は地球の温暖化を緩和し、洪水や土砂崩れを防ぎ、多様な生物を育みます。いま日本の森では、採算に合わないという理由で思うように間伐が進みません。「森の町内会」活動では、サポーター企業が紙1kgあたり15円の間伐促進費を付加した「間伐に寄与する紙」を購入・使用すると、間伐促進費の全額が間伐と間伐材の有効利用に充てられます。「間伐に寄与する紙」を使った印刷物には「森の町内会」ロゴマークを表示できます。
環境NPOオフィス町内会(東京事務局)
TEL:03-5156-0408
http://www.mori-cho.org/index.html



注意して見てみよう!資源と生態系の保護を認証するマーク

マリン・エコラベル・ジャパン

マリン・エコラベル・ジャパン
水産資源と生態系の保護に積極的に取組んでいる漁業を認証し、その製品に付けられるのが水産エコラベルです。消費者はこのラベルの付いた水産物を選ぶことで、しっかりと水産資源を管理しながら漁業に従事している漁業者を支援することができます。
FSC森林認証マーク
FSC森林認証マーク
環境、社会、経済の観点から厳しく管理された森林で生産された木材や木材製品などにつけられた認証マークです。消費者はこのマークのついた製品を選ぶことで、環境保全などについて適切に管理された森林経営を支援することができます。


NPO法人や各分野の企業も参画

NPO法人生物多様性農業支援センター

NPO法人生物多様性農業支援センター
http://basc.jp/
ここ数年の間に、生物多様性の保全を目指して、多くのNPO法人や企業が積極的な取り組みを始めています。
たとえばNPO法人でいえば、生物多様性農業支援センター。同法人は「田んぼの生きもの調査プロジェクト」という活動から発展したNPO法人です。お米の生産者と消費者が一緒になり、全国各地で、田んぼにどんな生きものがいるか、またどのように増減するかなどの調査を実施しています。そうした活動のなかで生産者に対しては田んぼを守り、生きものを守る農法を意識してもらい、また消費者には田んぼと生きものの大切さや、消費者自らが食を守る意義を意識してもらっています。生産者と市民、関連団体、行政などが幅広く協働していくネットワークの核となり、人と生きものにやさしい農業と活動の輪を広げています。
また、たくさんの企業が生物多様性保全の取り組みに参画し始めました。例えば、林業関連の企業が社有林での動物モニタリングや希少種の保護に取り組んでいるほか、業種を問わず大手企業が、が、グループの生物多様性に関する基本方針や行動指針、ガイドラインなどを策定し、企業戦略と合致した生物多様性の保全活動を模索しています。


生物多様性をより深く理解するために
「COP10」の日本開催を受けて、生物多様性に関する書籍が数多く出版されています。この機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。
『〈生物多様性〉入門 』 鷲谷いづみ/著

『〈生物多様性〉入門 』 鷲谷いづみ/著
岩波書店 630円
保存生態学の第一人者である著者が、生物たちが長い歳月をかけて作り上げてきた自然の仕組みが、人間の活動によって大きく変化しつつある現状を踏まえ、生物多様性の本質や保全対策などを分かりやすく解説しています。

『いのちのつながりよく分かる生物多様性』香坂玲/著

『いのちのつながりよく分かる生物多様性』香坂玲/著
中日新聞社開発局 1,500円
日本をはじめ世界各国での取り組みや観光、ビジネスとの関連など、生物多様性について写真、図表を多用しながらさまざまなアプローチの仕方で解説している入門書。著者はCOP10支援実行委員会アドバイザー。

『生物多様性とは何か』井田徹治/著

『生物多様性とは何か』井田徹治/著
岩波書店 756円
クロマグロの大量消費の問題から生物多様性条約までを俯瞰(ふかん)し、生物多様性保全のための新たな仕組みがレポートされています。

『日本らしい自然と多様性―身近な環境から考える』 根本正之/著
『日本らしい自然と多様性—身近な環境から考える』 根本正之/著
岩波書店 819円
田んぼのあぜや川の土手に生息している在来植物、外来植物を取り上げながら、日本の自然界で生物多様性を保つには何が必要かということを、各地の実践例も交えながら解説。