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農林水産省

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MAFF TOPICS(4)

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affラボ 水産資源の有効活用を促進

カタクチイワシと傷イカの加工利用を進める取り組み


世界的に魚の需要が伸び、水産物の乱獲による資源の枯渇が懸念されています。
このような状況のなか、いままで積極的に利用されてこなかった水産物に付加価値を付け、有効に活用する技術の開発が各方面で進められています。

ヘッドカッターとフィレーマシンが連結された機械

ヘッドカッターとフィレーマシンが連結された機械は、サンマほどの大きさの魚では実用化されていた。しかし小型魚では機械処理は難しく、従来頭を落としてから人の手でフィレーマシンに並べていた

カタクチイワシ処理機で頭と内臓が除去され、開きとなったカタクチイワシ

カタクチイワシ処理機で頭と内臓が除去され、開きとなったカタクチイワシ

写真提供:東洋水産機械株式会社
REPORT1:カタクチイワシ
カタクチイワシはさば類やサンマと並び、日本周辺で多く漁獲される魚です。ところが食用は漁獲量全体の約26%。残りの大半は冷凍され餌料用に使われています。

食用利用が進まない理由は鮮度が落ちやすく、魚体が小さいため頭や内臓の除去に時間がかかること、漁獲後の一次処理の機械化が遅れていることなどがあります。

味も良く漁獲量も多いカタクチイワシの食用利用を促進するために、(独)水産総合研究センターは、カタクチイワシ用の魚体処理機械と、頭と内臓を除去しなくても生臭みや苦味が少ないすり身を製造する技術「丸ごとすり身」を開発しました。

魚体処理機械は、魚体が小さすぎて開発が難しいといわれていた、頭を切り落とすヘッドカッターと、内臓を除去し魚をおろすフィレーマシンが連結、一連の作業を人の手を介さずにできるようになりました。

「丸ごとすり身」の技術は一尾を全部使うこと、従来餌料用だった冷凍物の食用利用を可能にすることを目的に技術開発が進められました。魚を低温下で粉砕し、それをアルカリ水に溶かし石臼で挽いたのち、遠心分離の方法で脱水する作業をごく短時間で行います。水に溶けだした生臭みや苦味の成分は、脱水により肉本体には残りません。大量に獲れるカタクチイワシの有効利用を進める技術として、注目されています。

独立行政法人水産総合研究センター 中央水産研究所
http://nrifs.fra.affrc.go.jp/

開発された技術を利用し商品化された、原材料にスルメイカを使ったねり製品

開発された技術を利用し商品化された、原材料にスルメイカを使ったねり製品。ただしこうした技術の使用は現在、長崎県内の企業に限定されている

水揚げのときに傷ついたスルメイカ

水揚げのときに傷ついたスルメイカ
REPORT2:傷イカ
スルメイカは水揚げするときに網で擦れたり、イカ同士が互いに噛み合ったりして、傷の付いてしまったものがたくさん漁獲されます。

傷のついたスルメイカは商品価値が著しく低下するため、付加価値を付けて有効利用する方法が求められていました。

長崎県総合水産試験場では、全国で初めてスルメイカのねり製品化技術の開発に成功しました。

実はスルメイカは「単独でねり製品を作るのは不可能」、と長い間言われてきました。

なぜならスルメイカの肉には、たんぱく質を分解する酵素の一種が含まれており、ねり製品への製造過程でこの酵素が活性化し、固まりにくくしてしまうからです。

さまざまな試験を行い模索した結果、食品添加物として使われる有機酸塩類の一種に、この酵素の作用を抑制する効果があることが明らかになりました。

また、この有機酸塩類の一種には、スルメイカのすり身を冷凍保存したときに起こる、品質劣化を防ぐ効果もあることが分かりました。

すでに、長崎県内の加工業者や漁協が、この開発された技術を使って、スルメイカのねり製品などを生産、販売しています。

スルメイカはねり製品以外の食品の素材としても利用が可能であり、近い将来には、新たな長崎県の特産品となりそうです。

長崎県水産総合試験場
http://www.marinelabo.nagasaki.nagasaki.jp/