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農林水産省

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チャレンジャーズ 第43回

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南富良野エゾカツカレー推進協議会

エゾシカを食べる食文化の確立を

北海道空知郡南富良野町

南富良野エゾカツカレー推進協議会

南富良野エゾカツカレー推進協議会

幾寅駅(映画の幌舞駅舎)前に集合。後列左が商工会の鶴谷大輔さん。
参加店はかなやま湖ログホテルラーチ/イトウや(イトウは魚へんに鬼)/かなやま湖保養センター/道の駅南ふらの さっちゃん/道の駅南ふらの ごはん家ラーチ/旨いもん屋 旬香/食菜茶房 リゾートイン/居酒屋 あぶり屋/旅籠や・れすとらん なんぷてい/手打ちそば処 おち庵の計10店舗

町自慢の食肉処理工場。野生のシカは滑車で吊り上げられ清潔なまま処理される

会長の川村さんの店「なんぷてい」の厨房

共通ルールにのっとった南富良野エゾカツカレーの提供スタイル

(上)町自慢の食肉処理工場。野生のシカは滑車で吊り上げられ清潔なまま処理される。(中・下)会長の川村さんの店「なんぷてい」の厨房と共通ルールにのっとった提供スタイル
食肉処理工場の開設がご当地カレーの契機
北海道のほぼ中心に位置し、東西に貫流する空知川に沿って6つの集落から形成されている南富良野町。アウトドアスポーツが満喫できる自然豊かな環境である。人口は約2800人。この小さな町が今、野生のエゾシカ肉を使った名物メニューで沸き上がっていると聞いて訪ねてみた。

待ち合わせたのは町役場がある根室本線「幾寅(いくとら)駅」前。なんとこの駅は今から10年前に映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地となった場所。俳優の高倉健さんが駅長役をつとめた架空の「幌舞駅」の駅舎やホームがそのまま使われていて、(もちろん正式な幾寅駅の看板もある)その他のセットも撮影当時のまま。昭和レトロな風情漂う場所である。

さっそく「南富良野エゾカツカレー」が誕生したいきさつを、立ち上げ役のひとり、南富良野町商工会の鶴谷大輔さんに伺った。

「農産物が豊富な北海道にはカレーネットワークという組織があるくらいご当地カレーによる町おこしが盛んです。わが町でも3年ほど前からその構想が持ち上がっていました。道内で出荷量トップを誇るにんじんと、近隣で被害甚大なエゾシカを使った料理が候補に挙がったのですが、ちょうど時を同じくして町内にエゾシカの解体処理工場ができることになり、それをチャンスとエゾシカをメイン食材にすることが決まりました」

あえて薄いカツを使って誰でも食べられる味に
「メイン食材はエゾシカ肉。それも初めての人でも食べやすいカツカレーに決定! そこまではスムーズでしたが、大変なのは町の賛同者を集めることでした」と語るのは、現在推進協議会会長を務める「旅籠や・れすとらん なんぷてい」のご主人、川村勝彦氏だ。

エゾシカ肉はいまだ北海道の人にとっても馴染みがない食材。実は臭みがなくて美味しい肉であることを、お客さんに理解してもらえるかはまったく未知数だ。そこで商工会のメンバーが町内の飲食店、全15店舗を1軒ずつ説明に回り「運営計画はこちらが何とかするから協力して」とお願いしたという。資金繰りが厳しく必死であったそうだ。結果、7社10店舗の参加が決定。これはほぼ「町ぐるみ」といってよい数字だろう。

平成19年11月、推進協議会設立。「南富良野エゾカツカレー」の共通ルールは、(1)地元の工場で処理されたシカ肉を使うこと、(2)シカ肉はたたいて薄くのばし肉厚5程度にすること、(3)地元の野菜直売所の野菜を使うこと、(4)エゾシカの角のスプーン立てを使うこと、(5)価格は950円(税込み)以下とする……など計8か条に決定。完璧な地産地消である。その後10回ほどの試食会を催し、翌年5月、町内正式デビュー。

「こんなに小さな町でも実はほとんど交流のない飲食店同士もあるものです。それがカレーというひとつの目標に向かって頑張れたことがいちばんの成果だと思う。最初は静観の構えだった町民も少しずつエゾシカの味に馴染んでくれました」と川村さんは語る。

デビュー後は北海道カレーサミットや札幌オータムフェスタなどの催しにも積極的に参加。今年7月の「新・ご当地グルメグランプリ2010in丘の町美瑛」では味部門とコストパフォーマンス部門で1位を獲得。同時期に販売数は2万3000食を達成した。

いまや国民食とも言われるカレーを使って、エゾシカ肉の美味しさをアピール。小さな町が町おこししながら北海道に新しい食文化を発信している。

地図

Photo:Toshimitsu Sato


チャレンジャーズでは、農林水産分野で先進的、かつユニークな活動を行っている人々をご紹介します。