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農林水産省

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駅弁紀行 第19回

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ヨネスケ

函館本線

小樽駅「おたるいくら弁当」


イクラ好きのためのイクラだけのゴージャスな駅弁
おたるいくら弁当

おたるいくら弁当
イクラ好き垂涎の逸品。1,260円。
このほか「かにめし弁当」や「かきめし弁当」など
直球勝負の駅弁も魅力だ。
製造元:株式会社小樽駅構内立売商会 Tel.0134-23-5281

【おしながき】
酢飯
イクラ
甘酢ショウガ

ヨネスケ

ヨネスケ(桂 米助)
かつら・よねすけ/落語家。千葉県市原市出身。桂米丸氏に弟子入り、1967年デビュー、1981年真打ちに昇進。その人情味あふれるキャラクターで幅広い年齢層に親しまれる。日本テレビの「突撃! 隣の晩ごはん」では、全国津々浦々の家庭にいきなり訪問。アポなしながら最終的に歓迎されてしまうのは、やはりその人柄によるものであろう。また、こうした取材移動から、日本中の駅弁・空弁を食べ尽くし紹介するブログ「ヨネスケの駅弁! 空弁! 食べて答弁!!」を公開、大評判となっている。
http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/
運河に面してレンガ造りの倉庫が建ち並び、ノスタルジックな雰囲気が味わえる小樽。女性が訪れたい観光地として、常に上位にランキングされる町である。

その小樽で今「スイーツ戦争」が勃発しているらしい。新進気鋭のパティシエが腕をふるうデザート専門店やおしゃれなカフェが、目に見えて増えているのだ。若い女性たちはスイーツ目当てに町中を歩き回り、年配の女性たちは石原裕次郎記念館で、裕ちゃんを偲んで目を潤ませながらじっと佇む。それが小樽の現状らしい。

が、しかし、私にとって小樽は、スイーツの町や裕次郎の町であるより、やはり新鮮な魚介類が食べられる港町であり続けてくれるほうがうれしい。

甘さが売りの「スイーツ駅弁」なるものが登場し、「やはりここはひとつ、食べておかねばなるまい」というのは、ちょっと辛い。

駅弁売場にはまだその手の弁当はなく、並べられているのは海の幸をふんだんに使った駅弁ばかり。

パッケージに惹かれて手に取ったのが「おたるいくら弁当」。なにしろ一面ピッカピカのイクラしか写っていないのだ。

蓋を開けるとパッケージの写真どおり「これでもか!」かつ「これだけだ!」という圧倒的な主張をもって、イクラが敷き詰められている。イクラ好きにはたまらない駅弁である。イクラを使った弁当はほかにもあるし、空弁にもある。だが、ここまでイクラを豪勢に使った、イクラだけの駅弁は見たことがない。

口に含めばプチプチとした、あの独特な食感が楽しめる。鮮度のよさを物語るしっかりとした歯触りの皮を噛みしめると、しつこさのないイクラの味が口いっぱいに広がった。酢飯も酢がやさしくて、実に美味。

突然ですが、イクラがロシア語だって、知ってました? ロシア語で「魚卵」の意味である。タラコもキャビアもすべて「イクラ」ということになる。それでは紛らわしいじゃないかと思っていたら、サケの卵は「赤いイクラ」、キャビアは「黒いイクラ」と呼び分けているのだとか。

日本でイクラといえば、サケ・マスの熟した卵を一粒ずつバラバラにしたものを指す。あくまでも熟した卵だそうだ。未熟な卵は「すじこ」として利用されている。どちらもそれぞれに味わいはあるが、私としてはプチプチ感が際立つ、イクラに軍配を上げるかな。
(語り下ろし)