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MAFF TOPICS(4)

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affラボ特別編 「家庭の米でパンを焼く技術」の開発


今回の旭川市の「JAたいせつ」や各地のイベントで好評を博し発売前から話題を呼んでいるライスブレッドクッカー「GOPAN(ゴパン)」。この「GOPAN」の開発者である三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社家電事業部製造統括部の滝口隆久さんに製品を作ることになった経緯や商品化までの道のりをお伺いしました。

滝口隆久さん

GOPANの開発者、三洋電機
コンシューマエレクトロニクス(株)の滝口隆久さん

米を切削する高回転数のミル用モーターと、生地をこねる低回転数のこね用モーターを1本の軸を使い実現

米を切削する高回転数のミル用モーターと、生地をこねる低回転数のこね用モーターを1本の軸を使い実現
開発当初は苦難の連続
三洋電機は2003年に家電業界で初めて、米粉でパンを焼くベーカリーの商品化に成功しています。

「米粉に目をつけたのは、日本人の食生活の変化による米離れや、日本の農業の現状を認識したことにあります。米の消費が減少する一方で、パンの需要は増えています。そこで米粉を使ったパンを家庭で焼けないだろうかと考えたのです」

しかし米粉用ホームベーカリーの販売を進めるうちに、材料の米粉が入手しにくい、値段が高い、などの問題が浮かび上がってきたのです。これがきっかけとなり、いつでも家庭にある「米」を使ったべーカリーの開発が、次の目標になりました。

「GOPAN」の商品化には5年の歳月がかかっています。そのうち最初の3年間は、米をパンに適した米粉にする、という難題に費やされました。

刃物メーカーとも協力し、米の切削用に金属やセラミックなどの材料からいろいろな形状の刃を作り、日々実験が繰り返されました。ところが米は硬く、思うように細かい粉にはなりません。

「細かい粉になってもなかなかパンにはなりません。ある日、粉砕した米の粉でパンが焼けたのです。みんなで勇んで試食したのですが、口の中に広がるのはジャリっとした感触。このときに米の粉砕に使ったのはセラミックの刃で、米を切削しているうちに、セラミックが削られてその粉が混じったらしいのです。すでに実験はやり尽くした状態でしたので、もう完全に諦めるしかないのか、とさすがに弱気になりました」

目からウロコのひと言で大きく前進
そんな滝口さんたちに救世主が現れました。同社の炊飯器部門の技術者です。

「米自体は硬いけれど、水に浸すとふやけてある程度柔らかくなります。米粉にしてから水を入れてこねるのだから、最初から水と米を入れ柔らかくなったところで切削したらどうですか」

米を熟知する技術者のひと言が、米粉状にすることにこだわっていた滝口さんたちに発想の転換を促したのです。

滝口さんたちはこの方法を「米ペースト製法」と名付け、早速開発に取り組みました。この方法を採用し焼き上げたパンは満足の行くものだったそうです。

改めて商品化に向かいスタートが切られました。

次の課題はモーターにありました。パンを作る過程には、ペーストにする工程、こねる工程があります。ペーストにするためには毎分6300回転もの高回転で米を切削します。こねるときの回転は毎分400回転。職人さんが生地を叩いてこねるように、力強い独特の練り方ができる回転が必要とされます。

また家庭用のコンパクトな商品にするためには、このふたつの動きを1本の軸を使い実現させる必要がありました。

試行錯誤の末、1本の軸の下に米を切削するための羽を、上にこねるための羽を取り付け、高回転と力強い低速回転を必要に応じ切り替えながら行う、という技術を開発。ようやく「GOPAN」が完成したのです。

「『GOPAN』で作るパンは、10kg3000円のお米だと1斤を148円で作れます。材料費としても安いですし、なにより家庭に普通にあるお米で手軽に作ることができるのが利点。炊飯器のように毎日使われる道具になればと思います。

私たちとしては、主食であるお米をおいしく食べていただきたい。また『GOPAN』が少しでもお米の消費拡大や食料自給率の向上に貢献できたらと考えています」