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農林水産省

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戸別所得補償モデル対策 食料自給率の向上のために!

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稲発酵粗飼料(WCS)でおいしい牛肉を生産


稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ、以下WCS)とは、稲の実と茎葉を同時に収穫し発酵させた牛の飼料です。
WCSの利用は、水田の有効活用や食料自給率向上に貢献する、と関心を集めています。

「信州蓼科牛」には肉質、発育状況を見ながら、オーダーメイドの飼料が与えられる
「信州蓼科牛」には肉質、発育状況を見ながら、オーダーメイドの飼料が与えられる


ほどよいサシの入った肉

ほどよいサシの入った肉。良質な脂肪と肉本来の風味があり、口当たりもよい

稲発酵粗飼料(WCS)は水稲を出穂期以降に収穫

稲発酵粗飼料(WCS)は水稲を出穂期以降に収穫、ロール状に梱包し、さらにラップ材でラッピングする。稲に付着している乳酸菌により発酵させ牛の餌とする

写真提供:信州ハム(株)
コシヒカリを活用したWCSで育った肉牛は味が好評
長野県東部に位置する立科(たてしな)町は県内有数の肉牛の生産地として知られています。

JA佐久浅間から出荷される肉牛のうち60~70%は地元の信州ハム(株)に卸され、同社から「信州蓼科牛」として全国に販売されています。同社に出荷される頭数は月約80頭。肉質本位で考えられた飼料で育てられるので色、味、風味に優れた特徴を持つそうです。

この畜産農家のうち12戸が「信州蓼科牛」にさらなる付加価値をつけるため、稲作農家48戸と密接に連携し、コシヒカリを活用したWCSを牛の飼料として与える取り組みを行っています。

消費者を対象に実施された試食調査では、WCSを与えて育てた牛の方が与えずに育てた牛の肉に比べ「柔らかい」「脂がさっぱりしている」「ジューシーである」「赤身の味わいがよい」との評価が得られたそうです。

WCSは畜産・稲作農家双方にメリット
畜産農家がWCSを採用したのは、食用コシヒカリの稲わらを与える場合に比べ、収穫時期が調整でき、労力が分散できるからでした。

平成13年、畜産農家がWCS用稲の試験栽培と、肉牛への給与試験を行いました。その結果、牛も喜んで食べ、WCSを活用した肉牛生産が始まりました。

立科町の水田は重粘土質で、水稲以外の作物の栽培が難しい地域です。このため稲作農家もWCS用稲栽培に積極的に取り組み、栽培面積は順調に拡大していったそうです。

また、WCS用稲として、飼料用品種ではなくあえて食用コシヒカリを栽培しています。これは、この地区の米が良食味と評価されており、飼料用品種が混種してしまうのを防ぐためです。

「肉牛には、発育段階、給与時期、期間、量などを考慮し、WCSとほかの飼料を組み合わせて与えています。国産飼料の活用は多少コストがかかっても、目に見える安全安心が消費者にアピールできると考えます。自給率も向上し地産地消にもつながります。稲作農家の作付けがないと、われわれ畜産農家は供給を受けられません。戸別所得補償におけるWCS用稲への支援は双方にとっても有用です」(JA佐久浅間 しらかば肉牛部会会長山浦節男さん)

WCS用稲の生産拡大に加え、稲作農家と畜産農家の連携が進められることで、今後WCSで育ったおいしい牛肉がどこでも手軽に購入できる日も近いかもしれません。