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農林水産省

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お宝!日本の「郷土」食 6 [愛知県知多半島]

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昔ながらの道具で醸す

醸造半島・知多の熟成豆みそと純米酒


純米吟醸「豊醸」720ml 1890円 豆みそ「里の味」 500g 700円

純米吟醸「豊醸」720ml 1890円 豆みそ「里の味」 500g 700円

甑は一見すると大きな桶。直径3m近くある

甑は一見すると大きな桶。直径3m近くある

鈴鹿の山が雪をかぶると、冷たい風「鈴鹿下ろし」が吹き下ろす。伊勢湾をはさんだ常滑でも温度が一気に下がるため、温暖な知多半島でも酒造りができる。北蔵の前で澤田研一さんと郁子さん

鈴鹿の山が雪をかぶると、冷たい風「鈴鹿下ろし」が吹き下ろす。伊勢湾をはさんだ常滑でも温度が一気に下がるため、温暖な知多半島でも酒造りができる。北蔵の前で澤田研一さんと郁子さん

澤田酒造(株)
愛知県常滑市古場町4-10
TEL.0569-35-4003
http://www.hakurou.com/

南蔵商店(株)
愛知県知多郡武豊町里中58
TEL.0569-73-0046
http://www.minamigura.com/

文・写真 山本洋子
 中部国際空港セントレアに近い知多半島は、海運の便が良く江戸時代から醸造業が盛ん。最盛期には200以上の酒蔵に、酢、たまり醤油、みそ蔵と醸造蔵が勢揃い。数こそ激減したものの、伝統製法にこだわる蔵が今も残る。

 焼き物で有名な常滑市にある「白老」澤田酒造は1848年創業。昔ながらの和釜(わがま)、甑(こしき)、麹蓋(こうじぶた)を使い酒造りに励む。通称「北蔵」と呼ばれるのは「昔、本家の北側に蔵があったから。本家は廃業しましたが」と蔵元の澤田研一さん。「お酒は地元の食と楽しんでこそ」がモットー。ご当地名物は数あれど「熟成した純米酒に一番合うのは豆みそ」と熱く語るのは妻の郁子さん。

 豆みそとは麦や米を使わず、大豆と塩だけで仕込む中京圏のみそ。カカオのような香ばしい風味でうまみが濃い。一押しは国産原料を木桶で熟成させた隣町・武豊町「南蔵」の3年もの。「そのままでお酒にあうんです。煮込む料理が向くので、みそおでんや大根の抜き菜のみそ炊きなど、なんでもこのみそ(笑)」

 
南蔵と北蔵、古き道具に味わいが宿る
「南蔵の名は本家の南に蔵を建てたから」と笑うのは南蔵商店当主、青木弥右ェ門さん。最盛期は蔵の数が多く、差別化のために屋号が必要でそれがそのまま店名に。

 蔵には100年前の木桶が並ぶ。その桶でみそとたまり醤油を仕込むが、どちらも原料は大豆と塩。最近は味の評判に加え、小麦アレルギーの人にもいいと、国内外から注文が増えた。

「南蔵」の豆みそが木桶仕込みなら「北蔵」では米を蒸すのに木製の甑を使う。高温の蒸気にさらされる甑は耐久性が求められ、技術的にも難しく、桶作りとは材料の木から組立方まで異なり値段も高い。甑の注文は減り、跡継ぎは不在。甑職人は絶滅寸前という。

「北蔵」が甑を8年前に新調した時の職人・石川喜一さんは当時95才。体力仕事は難しい年齢だが、喜一さんは車で40分の道のりを自転車で颯爽と現れ、陣頭指揮を取りテキパキとやりのけたという(残念ながら4年前に他界)。「喜一さんの甑は高温で米を蒸しても、ほんのり温かい。断熱性が高く、余分な水分を吸うため外硬内軟の理想の蒸し米ができる」と研一さん。

 豆みそしかり、酒しかり、木の桶、木の甑が理にかない、おいしさを醸し出す。醸造、発酵は不思議で面白い。研一さんが続ける「知多半島は伊勢湾から魚介類が上がり、料理を盛る常滑焼きがあり、発酵食品すべてが揃う。まさにおいしい半島なんです!」



常滑屋の定番、みそ煮込み

澤田酒造は元焼き物工場を改装した「常滑屋」も営業。平日はカフェとギャラリー。金曜夜だけ居酒屋に変身。写真は定番のみそ煮込み
  南蔵五代目社長の青木さん

南蔵五代目社長の青木さん
  豆みそ

豆みそは、麹と塩水、まき塩を入れて踏み固める作業を繰り返した後、重石をのせる。蒸し暑い夏と乾いた冬の寒さを2回越すことで、うまみと風味が増す