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農林水産省

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特集1 おもち(3)

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もち米生産農家が減る中で

もち米を作り続けるわけ


全国有数の米どころであり、切りもちや米菓の大手メーカーが集中する新潟県に、もち米の生産者を訪ねました。


もち米を作り続けるわけ

小野塚清一さん

「こがねもちでついたもちは最高です」と笑顔で語る小野塚清一さん

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自給用のもち米作りが減った理由
 新潟県南魚沼市一帯は、全国的なブランド米として有名な「魚沼産コシヒカリ」の産地。ここでコシヒカリを栽培するかたわら、地域の人たちのために、もち米を作り続けている、つむぎ野農園の小野塚清一さんにお話を聞きました。新潟県のもち米といえば「こがねもち」が有名です。小野塚さんは80アールほどのほ場でこがねもちを栽培しています。

「昔は、農家のどこのうちでも1アールや2アールはもち米を作っていました。自分のうちでもちにしたり、赤飯にしたりして、行事があれば、子どもや親戚に配ったりしていました。

 ところが機械化が進むと、逆に小さな田んぼでもち米を作り続けるのは効率が悪いわけです。

 この一帯はコシヒカリ90%以上の作付け地帯。コシヒカリももち米も同じ機械を使うので、コンバインや籾すり機、乾燥機を収穫後にいちいち掃除しなければなりません。コシヒカリとこがねもちが混ざってしまってはいけませんからね。自給用のわずかなもち米を作るのに、いちいち大変な機械の掃除はしていられない。だんだん自らもち米を作る農家が減り、代わりに私が請け負っていくうちに作付け面積が増えてしまったんですよ」

それでも正月は自家製のもちで祝いたい
 もち米はいもち病にかかりやすく、刈り取りが遅くなると「胴割れ」になるほか、雨の多い年は「穂発芽」といって、稲を刈り取る前に穂から発芽してしまうなど、うるち米より気を使う米だといいます。

 それでも小野塚さんがもち米作りをやめないのは、やはり欲しいという人がいるからです。

「正月や行事のときに自分のうちでもちをつく。この地域にはまだそういう伝統文化が残っているので、市販の切りもちを使うことはないんですね」

 魚沼地方で生産されたもち米は、ほとんど地域内消費だそうです。

「もち米は早生種の部類に属するため、コシヒカリと同じ日に田植えをしても1週間以上早く刈り取れます。先にもち米を刈り取って、その時間差を利用して、すべての機械を丹念に掃除し、コシヒカリの収穫に備えます。

 みな、もち米の栽培に手間がかかることを知っているから、毎年きちんと作っていることを認めてくれているし、正月のために待ち望んでくれているのです」

 伝統的な食文化が息づく地域とのつながりが、小野塚さんのもち米作りを支えていました。


ふうれん特産館を経営しているもち米農家のみなさん

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杵つきのブランドもち「雪の里」

杵つきのブランドもち「雪の里」には白もちのほか、よもぎもち、豆もち、玄米もちがある

レストランでは「もち入りかき揚げ」が乗ったそばやうどん、丼が食べられる

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独自の新製法で作る名物の「ソフト大福」は、定番の紅白や塩豆のほか、メロンやチーズなど18種類

独自の新製法で作る名物の「ソフト大福」は、定番の紅白や塩豆のほか、メロンやチーズなど18種類
最北のもち米大産地・名寄
 北海道名寄市は、日本最北にして有数のもち米の一大産地です。ここで収穫されたもち米は伊勢名物「赤福」の原料にも使われています。

 その生産量のうち約6割を風連町で生産しています。風連町にある道の駅「もち米の里☆なよろ」には、風連産の上質な「はくちょうもち」や「風の子もち」を昔ながらのせいろで蒸して、杵でつきあげた切りもちをはじめ、数々のもちの特産品が並んでいます。これらの商品を製造しているのが、4戸のもち米農家が経営している「株式会社もちの里ふうれん特産館」です。本社は道の駅「もち米の里☆なよろ」に隣接しており、道の駅内に店舗とレストランを構えています。

 道の駅の人気商品「ソフト大福」のもちに使われているもち米も「はくちょうもち」と「風の子もち」。道内の店舗で販売されているだけでなく、急速冷凍されて全国に発送されています。

 また、レストラン「風の寄り道」にも、一年中食べられる「もち入りかき揚げ」や「釜雑煮」などのもち料理があります。

  ここに並ぶもち料理やもち製品には、もちをもっと身近な食材として感じてもらい、もち米も気軽に料理に使ってほしいという、もち米農家の気持ちが込められているのです。

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もち米ってどんな米?
 もち米は日本だけでなく、朝鮮半島、中国、フィリピン、タイ、ラオス、インドネシア、インド、ベトナム、ミャンマーなどで栽培されています。

 もち米と私たちが日ごろ主食としているうるち米との違いは粘り気です。米にはでんぷんが含まれていますが、でんぷんの成分はアミロースとアミロペクチンです。アミロペクチンは水と一緒に加熱すると粘り気が出る性質があるため、アミロペクチンが多く含まれていれば粘り気のある米になり、逆にアミロースのほうが多ければ粘り気のない米になります。

 うるち米ともち米の違いのキーポイントも、このアミロペクチンです。うるち米のでんぷんはアミロペクチンが80%ほどなのに対して、もち米のでんぷんはほぼ100%がアミロペクチン。もち米の粘り気はアミロペクチンのなせるワザなのです。

 この粘りのためにほかの消化酵素がなかなか入り込めず、もち米のでんぷんは分解に時間がかかります。そのため、もちやおこわは「腹持ちがいい」というわけです。

 もち米は蒸したものをついてもちにするほか、炊いて赤飯やおこわにします。また、みりんや酒の原料とするほか、白玉粉や道明寺粉、寒梅粉などの粉にして和菓子の原料として使われています。

都道府県別もち米の収穫量(平成21年度)
産地 収穫量(t) 10g当たり収穫量(kg) 作付面積(ha)
佐賀県 37,600 565 6,650
北海道 29,300 365 8,040
新潟県 27,900 539 5,170
熊本県 19,800 555 3,570
岩手県 19,200 533 3,610
その他 158,400 - 30,260
全国計 292,200 510 57,300

※社団法人米穀安定供給確保支援機構資料より
  うるち米の胚乳は半透明

うるち米の胚乳は半透明

もち米の胚乳は白く不透明

もち米の胚乳は白く不透明