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農林水産省

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特集2 食材まるかじり(2)

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全国お雑煮ガイド


土地の気候風土や風習によって受け継がれたスタイル。近代の文化、産業の影響を受けた進化系まで、全国のさまざまなお雑煮の姿をご紹介します。

奥村彪生先生
奥村彪生先生

日本で唯一の伝承料理研究家。
「日本人は何を食べてきたか」、縄文時代から現代に至る日本食の文化を、外来食文化の影響と絡めて総合的に研究。今回は先生が昭和60年ごろから開始した聞き取り調査を元に、ご自身で再現したり、実際に訪ねた土地のお雑煮の画像や情報、お雑煮文化の資料などを提供していただきました。


くじら雑煮

  くるみ雑煮

  男鹿雑煮

青森県・八戸市
くじら雑煮

八戸市は日本を代表する捕鯨基地があったところ。脂ののった皮くじら(くじらの皮の呼称)を使うのが特徴。大根、にんじん、ごぼうを入れたすまし汁に焼いた角もちを入れる。くじらを使う雑煮は同様の捕鯨基地のあった長崎県や山口県の港町にもある。

  岩手県・宮古市
くるみ雑煮

あわびやいくらなど三陸沖から取れる海の幸をたっぷりのせた贅沢なお雑煮。しょう油仕立てのすまし汁に大根、にんじん、ごぼうなどを入れる。もちは焼いた角もち、甘いくるみだれ(醤油仕立て)につけて食べる。


  秋田県・男鹿市
男鹿雑煮

ハタハタ漁で有名な土地だが、お雑煮のだしはフグか焼アジでとることが多い。具はごぼうや長ねぎ、すまし汁に焼いた角もちを入れワカメなどの海草をトッピングする。しょう油の代わりにしょっつる(ハタハタの塩辛から取った調味料)を使うところもある。

焼きはぜ雑煮

  こづゆ雑煮

  関東雑煮
宮城県・仙台市
焼きはぜ雑煮

焼きはぜでとっただしで凍豆腐、ずいき、凍ごぼう、大根、にんじんを煮、焼いた角もちと焼きはぜ、せり、いくらなどをトッピングしたもの。お椀から飛び出すほど大きなはぜを使うのは、ハレのご馳走のしるし。

  福島県・会津若松市
こづゆ雑煮

貝柱でだしをとる郷土料理の「こづゆ」を雑煮に仕立てる。さいの目に切った凍豆腐や野菜、しいたけなどをたっぷりと煮込み、焼いた角もちを入れたもの。

  埼玉県・上尾市
関東雑煮

かつおと昆布のだしに鶏肉を加えたコクのある汁に大根やにんじんを加えたもの。ぎんなん、なると、三つ葉で飾る。鶏肉は「福を取り入れる」、野菜を輪切りにするのは「すべて丸くおさまるように」の縁起かつぎ。鶏肉は関東、信越、東北、愛知県でも多い。

はばのり雑煮

  福井雑煮

  名古屋雑煮

千葉県・安房郡
はばのり雑煮

海辺の土地らしく、「はばを効かせる」に掛け、房総の冬の特産品「はばのり」をトッピングするのが特徴。大根や里いも、焼いた角もちを入れたシンプルなお雑煮に、あぶって緑色になったはばのりを手でもんでふりかける。さらに花かつおを入れることもある。

  福井県
福井雑煮

かつおや昆布でだしをとった味噌仕立ての汁で、煮た丸もちとかぶ、かぶの葉を煮たシンプルなお雑煮。上に黒砂糖をのせる地域もある。かぶは「株を上げる」の縁起かつぎという説も。みそは赤みそ、白みそのどちらも使われる。
  愛知県・名古屋市
名古屋雑煮

かつおだしの汁で、角もちを柔らかく煮、餅菜(小松菜に似た青菜)と花かつおをのせる。黒砂糖をのせることもある。日本一シンプルな雑煮ともいわれる。家によってみそとしょう油仕立ての2種類がある。角もちをゆでるのは東海地方におよぶ。

きな粉雑煮

  くじら雑煮

  焼きあなご雑煮

奈良県・大和地方
きな粉雑煮

かつおだしで大根、にんじん、里いも、豆腐などを煮て焼いた丸もちを加える。もちはお椀のふたに入れたきな粉(砂糖を加える)につけて食べるのが特徴(京都方面でも見られる)。汁はみそ味、しょうゆ味の2通り。三が日は当主がお雑煮を作るという風習もある。

  兵庫県・神戸市
くじら雑煮

神戸市は大阪や京都、奈良に比べて新しく開発された町なので、お雑煮文化は東西の風習が混在しているところ。長田地区に見られるこの雑煮は、具はくじら肉の赤身と青菜。この地域には南氷洋の捕鯨船団の乗組員が住んでいたためらしい。
  兵庫県・神戸市
焼きあなご雑煮

こんぶとかつおのだしに、具は大根、里いも、かまぼこ、三つ葉など。名物の焼きあなごのほか鶏肉や焼き豆腐を入れることもある。もちは丸もちを煮て使う。白みそ仕立てやすまし汁にすることが多い。

牡蠣雑煮

  小豆汁

  具雑煮

広島県・広島市
牡蠣雑煮

すまし汁に輪切りの野菜、牡蠣と塩ブリを入れた贅沢なお雑煮。牡蠣は「かき取る」に掛ける。丸もちはやわらかく煮る。瀬戸内海沿岸は魚介類が豊富なため、具の種類はいろいろ混在している。焼きあなごやふぐなどを使うところも見られる。


  島根県・出雲市
小豆汁

柔らかく煮た小豆汁の中に、丸もちを入れた珍しいお雑煮。見た目はぜんざいのようだが、昔は塩味だったそう。丸もちの上に砂糖をのせて食べたそうだ。今はおしるこ風に甘く仕上げてある。この地方には磯の香りがする「のり雑煮」や黒豆をのせた雑煮もある。
  長崎県
具雑煮

かつおとこんぶのすまし汁に、具材をたくさん入れて華やかに見せるのが長崎風。鶏肉団子、ブリ、海老、大根、にんじん、里芋、凍り豆腐、かまぼこ、青菜などのほか、干しなまこやくわいなどを入れることもある。だしは焼きあご(とびうお)を使うこともある。

もっとあります!お雑煮情報
  • 北海道/元は雑煮食文化のない地域ですが、現在ではしょう油のすまし汁に角もち。鶏肉と野菜を入れたお雑煮が食べられています。鮭やいくらを使った越後風もあります。
  • 新潟県/鮭の名産地なので、たっぷり煮込んだ野菜と一緒に塩鮭、いくらを使います。
  • 長野県/海のない信州。ハレのお雑煮にははるばる富山湾から届いた塩ブリを使うそうです。
  • 大阪府/三が日は女性が台所に立ってはいけない。お雑煮は男性が作るという風習が残っています。
  • 和歌山県/丸もちの他に、あずき入りのもちを混ぜて使い、そのもちに当たると「福が来る」と喜ばれる風習があります。
  • 沖縄/もちを食べる雑煮食文化はありません。お正月には豚のもつを使った中身汁や白みそ仕立ての濃厚な汁物、イナムドゥチなどをいただきます。


取材協力/奥村彪生
参考文献/お雑煮100選(文化庁編著 女子栄養大学出版室)