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農林水産省

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特集1 米粉の可能性(3)

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パンや麺も作れるようになりました

製粉技術のめざましい進歩


米粉パン、米粉麺、米粉スイーツなど、米粉を使った加工品が続々と登場した背景には、製粉技術のめざましい進歩があります。

米粉の可能性

小麦粉に代わる粉を目指して
もともと米は硬く、粉砕しにくい作物なので、無理やり粉砕すると細かくはなりますが、米のでんぷん粒に傷がついてしまいます。でんぷん粒の損傷が激しいと、吸水性が高くなり粉が水分をたくさん含んでしまうため、団子のような生地にしかなりません。含まれた水分が気泡を潰してしまって、ふっくらした生地ができないのです。

そのため、小麦粉の代わりに使用できる粉にするには、小麦粉に近い微細な粒を作ることと、でんぷん粒の損傷の少ない粉を作るという2つの課題がありました。

近年、各機械メーカー、製粉会社の研究開発と技術革新によって、製粉ダメージが少なく、微細な粉の製造が可能となり、パンやケーキ、麺など、さまざまな用途に使い分けられる上質な米粉が生産されるようになったのです。

さまざまな粉砕装置
主な粉砕装置には、次のようなものがあります。

気流式粉砕装置

気流式粉砕装置
ファンが高速回転する気流粉砕機に大量の空気とともに米を送りこむことで、内壁への衝突や粒子同士の摩擦によって粉砕する

  胴搗(どうづき)式粉砕装置

胴搗(どうづき)式粉砕装置
石臼に原料米を入れて、杵によって搗いて循環しながら粉砕する
ピン式粉砕装置

ピン式粉砕装置
角ピン状の突起物十数本がついた板を高速回転させ製粉する

  ロール式粉砕装置

ロール式粉砕装置
互いに逆方向に回転する2本のロールの間に原料を通して圧縮させ、粉砕する

写真協力:(社)米穀安定確保支援機構/イラスト協力:日の本穀粉株式会社


説明をしてくれた常務取締役の藤井義文さん

説明をしてくれた常務取締役の藤井義文さん

きらゆき

昨年4月に新設された第二工場の設備

昨年4月に新設された第二工場の設備
製粉技術の一例
地元のお米を最大限活かしたい 新潟県胎内市・新潟製粉株式会社
新潟製粉株式会社は、平成10年7月に第三セクターとして設立された米粉専門の製粉会社です。

同社では、新潟県の食品研究センター(当時の食品研究所)が開発した「2段階製粉法」「酵素処理製粉法」の2種類の製粉技術を利用して米粉を生産しています。この製粉技術は当初、ふるい落とされたクズ米の新しい用途を広げる目的で研究が進められ、今では同社によって米粉用米の製粉に利用されています。

「2段階製粉法」はロール機で一度、米を潰して粉砕した後、気流粉砕するという、2段階に分けて粉砕する方法です。一方「酵素処理製粉法」は、でんぷん損傷を避けるために、ペクチナーゼという酵素であらかじめでんぷんの細胞組織を分解し、気流粉砕する方法です。用途の異なる2種類の米粉が製造されていますが、いずれもでんぷんの損傷が少なく、小麦粉レベルの微細な米粉になります。

新潟製粉の地元胎内市(旧・黒川村)では、需給調整が進むなか奨励されている転作作物の作付は気候風土の条件が合わず、生産者が苦戦していたとき、すでに工場を持っていた同社が地元の生産者に働きかけたことがきっかけで、米粉用米の生産が始まりました。平成17年当初、10ヘクタール程度だった作付面積も5年を経た平成22年は830ヘクタールにまで拡大しました。

常務取締役藤井義文さんは「消費者の皆さんが買い求めやすい価格帯にするために、原料米の低コスト生産やさらなる技術革新によってコストの軽減などに努めていきたい」と話してくれました。


米粉を使った取り組み事例
米粉製品の普及を目指して、各地でさまざまな取り組みが展開されています。
その中のいくつかを紹介しましょう。

「田んぼのパン」

「田んぼのパン」

「田んぼのパン」
青森県/とわだぴあ(国道4号線沿い)
十和田市の道の駅「とわだぴあ」では平成15年から米粉のパンとケーキを販売しています。「米農家なのだから、米で作った加工品はできないだろうか。生産から加工、販売まで責任をもって手がけ、安心を届けたい」。生産者・古舘留美子さんが試行錯誤の末にレシピを完成させ、その思いを形にしたのが「田んぼのパン」です。数年後には生産も加工もできる生産者として取り組みが評価され、その後、開発した米粉ロールケーキも大ヒット商品となりました。

「立山町産米粉100%の米粉パン」

「立山町産米粉100%の米粉パン」

「立山町産米粉100%の米粉パン」
富山県/米っ粉倶楽部
平成22年、立山町地産地消加工施設・米粉パン加工部門に、女性を中心としたグループ「米っ粉倶楽部」が設立され、地域で栽培した米の製粉からパンの製造まで一貫して行っています。米粉100%のパン(ただし小麦グルテンを使用)の種類は10種類以上。役場や町内のイベントなどで販売しているほか、町内の小学校に給食用の米粉コッペパンを提供しています。また、「米粉シフォンケーキ」もイベント時や注文に応じて販売しており、しっとりした食感が好評です。

「ごぼうシート」

「ごぼうシート」

「ごぼうシート」
兵庫県/有限会社創和
「ごぼうシート」は、ていねいにゆで上げた国産ごぼうに米粉などを加え、調理しやすく食べやすいよう薄くシート状に仕上げて冷凍にした、ユニークなライスペーパーです。シートに練り込まれたごぼうの割合は約50%。ごぼうの風味が生きています。解凍してすぐに使え、肉や魚を巻いたり、重ねたり、包んだりと使い方も多様なうえ、揚げる、蒸す、焼くなどさまざまな調理が可能。近年は病院や介護の関係者からも問い合わせが増えているそうです。

「高校生のコメロンパン」

「高校生のコメロンパン」

「高校生のコメロンパン」
熊本県/株式会社阿蘇デリシャス・熊本県立鹿本農業高校
熊本県立鹿本農業高校食品加工部の生徒たちが「熊本産米粉」と「鹿本名産のメロン」を加工して何か作れないかと試行錯誤を重ね、株式会社阿蘇デリシャスと共同開発したのが米粉のメロンパン「コメロンパン」です。同食品加工部では米の消費拡大を図るため、米粉パンの開発に取り組んでおり、コンビニエンスストア・エブリワンとの共同開発で「らいすカレーパン」「あんてぃーくパン」「ひごまる米粉ピザ」の商品化も実現させています。