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お宝!日本の「郷土」食 9 [秋田県横手市]

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夏田冬蔵杜氏に教わる 酒粕味噌豆腐


熟成した酒粕に、わさびか和辛子を入れて混ぜるだけ

熟成した酒粕に、わさびか和辛子を入れて混ぜるだけ。滋味深い味の超簡単な酒のつまみ

秋田名物ハタハタの麹漬け

秋田名物ハタハタの麹漬け。麹の甘酸っぱさと魚のうまみが発酵で複雑にからまる

10年ものの奈良漬け(手前)、酒粕+味噌の漬け床で漬けたカリフラワーとセロリ

10年ものの奈良漬け(手前)、酒粕+味噌の漬け床で漬けたカリフラワーとセロリ

賄い時は大テーブルを蔵人で囲む

賄い時は大テーブルを蔵人で囲む

いぶりがっこの酒粕あえ

いぶりがっこの酒粕あえ。細切りにしたがっこをわさびまたは和辛子を加えた酒粕であえる

ご飯は蔵人が育てたあきたこまち

ご飯は蔵人が育てたあきたこまち

森谷杜氏

森谷杜氏。手が白いのは麹のおかげ?

文・写真 山本洋子
半径5km以内の米と水
秋田の酒蔵・浅舞酒造の杜氏、森谷康市さんは、夏は田んぼで米作り、冬は蔵で酒造りに励むことから自身を「夏田冬蔵(なつだふゆぞう)」と名乗ります。酒の味もさることながら、自ら腕をふるう酒粕料理が評判です。

造る日本酒は、醸造用アルコールや糖類を加えない純米酒のみ。しかも蔵から半径5kmの田んぼの米だけ。「目で見える、手で触れる米だけで酒造り」が信条。同級生の蔵元、柿﨑秀衛さんに誘われ、蔵入りして30年。自身が農家だけに米はムダにしたくない、そんな思いから80%精米の純米酒に力を注ぎます。これは1升瓶2000円と安価。味もうまいとあって大人気。

蔵の賄いはご飯に味噌汁、漬物、デザートの餅まで、酒同様、半径5kmの材料が中心です。中でも「国宝もの!」と杜氏がいうのは、お母さんが漬けた10年ものの黒い奈良漬。シャリッとした食感に黒糖のような甘みがじんわり。「酒粕の甘みだけだから自然でしょ」。瓜がおいしく10年持つ。これぞ酒粕の底力!

酒粕で酒の肴を
「酒粕はうまいし、栄養もたっぷり。もっと料理に使ってほしいな。カスじゃもったいないから蔵じゃ酒香寿という字を当ててます」。その”酒香寿”で酒肴が簡単にできると力説。酒粕と味噌を1対1で合わせた漬け床で漬ける酒粕味噌豆腐は、クリームチーズのようにまろやかな食感、味噌がほどよくしみこんでなるほど美味!

「熟成した酒粕はわさびをちょっとつけると、それだけで気の利いたつまみになるんし」。まろやかなコクにピリッと辛みが効いておつな味。「うまい酒からできた酒粕だからうまい!(笑)」

杜氏おすすめは、いぶりがっこを酒粕とわさびであえる技。漬物の塩気がマイルドに変化。「甘さとコクが加わるから何でもうまくなる。わさびの代わりに和辛子でもいい」。

おひつのご飯は、蔵人が育てたあきたこまち。味噌汁の味噌も手前味噌。麹で漬けたハタハタやたくあんなど、蔵の賄いはどれもどこかに米が関わっています。

「疲れて家戻って、料理がまずかったら悲しくなるべ。昔の人は知恵者だったな。甘酒や麹、酒を使うと複雑な味がからむんだす。焼いても、蒸しても、柔らかくなる、味にふくらみがでる」。

農業と酒造りで一番感じるのは、人の微力さだと。

「天候の恩恵を受けたと思えば、その逆もある。ある年うまくいっても次の年は保証がない。神頼みしたくなることばかり。人のできることなんてほんのわずか、だから精一杯やるんだす」

人智を尽くして米を育て、酒を醸し、副産物の酒香寿からうまいおかずと肴を作る。「つかれも吹っ飛ぶおいしい食卓」の源は田んぼにあり。

夏田冬蔵の名の通り、全てのおいしさは夏の田から始まります。季節を経る毎、様々に形と味を変化。時間を重ねてうまさの幅を広げ、深みを増して食卓に。たった5km四方の土地で出来るものだけなのに、その味わいは無限に広い宇宙のごとく。

森谷杜氏に教わった酒粕味噌豆腐レシピ


酒粕味噌豆腐

1.味噌と酒粕を1対1で合わせてよく混ぜ、密閉容器に入れる。
2.木綿豆腐を漬かりやすい大きさに切り、キッチンペーパーで包み、重石を載せ水気を切る。1に漬け、冷蔵庫で2週間おく。
3.取り出して紙をはがし、食べやすく切って皿に盛り、好みでとんぶりをのせる。
















天の戸 浅舞酒造
秋田県横手市平鹿町浅舞字浅舞388
電話.0182-24-1030
http://www.amanoto.co.jp/