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特集1 国産ナチュラルチーズの魅力(3)

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ナチュラルチーズの横顔

おいしいチーズのAtoZ


世界中には1000種類を超えるナチュラルチーズがあります。
それぞれに形や味が異なり、また原材料にしても、牛の乳だけでなく羊や山羊の乳などで作られるものもあります。
ここで、ナチュラルチーズの基本的なお話をしておきましょう。
国産ナチュラルチーズの魅力


ナチュラルチーズの種類
ナチュラルチーズは、日本の伝統食であるみそや漬け物と同様に、バクテリアやカビなどの微生物の働きを利用した発酵食品です。ナチュラルチーズの名称が地名に由来するものが多いことも、日本の発酵食品と似ています。「カマンベール」「ゴーダ」「ブリー」といったチーズ名は「信州みそ」や「奈良漬け」のように生産地名からつけられています。

ナチュラルチーズには硬さによる分類や熟成による分類など、いくつかの分類方法がありますが、ここでは製法や原料による分類をご紹介しましょう。

※代表的なチーズとして、もともとどこの国のチーズか、名前の由来となった地域がある国名をともに記載しました。

白カビタイプ

白カビタイプ

チーズの表面に白カビの胞子をスプレーして熟成させるタイプ。未熟のうちは中心に白っぽい芯が残りますが、熟成が進むにつれて柔らかくなり、クリーム色に変わります。トロリとした濃厚な風味が魅力です。食べごろは製造日から2~4週間。
代表的なチーズ:フランスのカマンベール、ブリー、ヌーシャテルなど

  ウォッシュタイプ

ウォッシュタイプ

固めた乳の表面にたんぱく質を分解する力の強い菌を植えて熟成させ、途中で塩水やお酒などで表面を洗うためこの名がつきました。ややクセのある強い香りとコクのある風味が、チーズ愛好家には人気です。
代表的なチーズ:フランスのリヴァロ、マンステール、イタリアのタレッジオなど

  フレッシュタイプ

フレッシュタイプ

生乳を酸や酵素によって固め、水切りしただけのチーズで、熟成させず作りたての味を楽しむタイプ。比較的水分が多く柔らかいのが特徴で、さわやかな酸味と牛乳本来の濃厚な味わいがあります。
代表的なチーズ:アメリカやデンマークのクリームチーズ、フランスのフロマージュブラン、イタリアのモッツァレラ、リコッタ、マスカルポーネ、各国で作られているカッテージチーズなど

青カビタイプ

青カビタイプ

固めた乳の内部に青カビを植え付けて熟成させるタイプ。別名「ブルーチーズ」。青カビは固まり始めた乳の隙間をぬって繁殖するため、美しい大理石のような模様となります。刺激的な香りとピリッとしたシャープな味が特徴。食べごろは製造日から6カ月~1年。
代表的なチーズ:フランスのロックフォール、イタリアのゴルゴンゾーラ、イギリスのスティルトンが世界三大ブルーチーズとして有名

  シェーブルタイプ

シェーブルタイプ

山羊の乳から作るチーズの総称。フランスが本場ですが、熟成させないものや微生物で熟成させるものなどさまざまです。表面についている黒い粉末は木炭の粉。酸味を中和させるためにまぶすといわれています。
代表的なチーズ:フランスのヴァランセ、クロタン、サントモールなど

  セミハードタイプ・ハードタイプ

セミハードタイプ・ハードタイプ

セミハードタイプは生乳を固めたあとプレス機で強く圧搾して水分を除き、乳酸菌の力でゆっくり熟成させる比較的固いチーズ。中型から大型のものが多く、テーブルチーズとして楽しむほか、プロセスチーズの原料にもなります。食べごろは製造日から3~6カ月。
代表的なチーズ:オランダのゴーダ、イタリアのフォンティーヌなど

セミハードタイプよりさらに水分値を低くしたのがハードタイプ。長い年月をかけて熟成したものが多く、ずっしりと重量感があります。セミハードタイプ同様、中型から大型のものが多く、テーブルチーズとして楽しむほか、プロセスチーズの原料にもなります。食べごろは製造日から6カ月~1年。
代表的なチーズ:イギリスのチェダー、イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノ、スイスのラクレット、フランスのミモレットなど



ナチュラルチーズとプロセスチーズ
チーズには「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」という2つの種類があります。

ナチュラルチーズは「乳に乳酸菌や凝乳酵素を加えて固めたもの、またはそれを熟成させたもの」、プロセスチーズは「1種類、または2種類以上のナチュラルチーズを加熱して溶かし、乳化・成型したもの」と定義されています。

ナチュラルチーズは乳酸菌や酵母が生きているので、熟成とともに風味が変わりますが、プロセスチーズは加熱することによって、乳酸菌や酵素の働きが止まるので、風味が一定し、保存性も高くなります。

プロセスチーズはナチュラルチーズより長期保存が効くことから日本人の食習慣になじみ、かつてチーズといえばプロセスチーズが主流でしたが、海外からさまざまな種類のナチュラルチーズが輸入され、親しまれるようになるにつれ、国産ナチュラルチーズも注目されるようになりました。

冷蔵庫で上手に保存
ナチュラルチーズにとって乾燥と水分、温度差は大敵です。乾燥すると固くなったり、変色したり、風味が悪くなり、水分はカビ発生の原因となります。チーズを保存する最適温度は5℃前後といわれています。

フレッシュタイプが残った場合は、密閉して冷蔵庫で保存し、早めに食べ切りましょう。ほかのタイプは冷蔵庫で保存しても少しずつ熟成が進みます。白カビ・青カビ・ウォッシュタイプも密閉容器に入れ、冷蔵庫へ。密閉容器に水で濡らしたパセリやレタスの葉を一緒に入れておくと乾燥を防げます。セミハード・ハードタイプは切り口をぴっちりとラップで包んで冷蔵庫へ。固くなってしまった場合はおろし器で粉状にして料理に使うとよいでしょう。

ナチュラルチーズの栄養価
牛乳は栄養豊富な食品として知られていますが、その牛乳を原料にしたチーズには牛乳の栄養がぎゅっと濃縮されています。もし60gのベビーチーズを1個食べると、牛乳600ccを飲むのとだいたい同じくらいの栄養を摂取することになります。

カッテージチーズやクリームチーズにはカルシウムの含有量が少ないのですが、ほかのナチュラルチーズはカルシウムの含有量も多く、その吸収率も高い優良食品です。

そのうえビタミンAやビタミンB2も豊富です。ただし、ビタミンCや食物繊維は含まれていません。チーズと一緒に野菜やフルーツを食べることで、ビタミンCや食物繊維を補いましょう。

おいしいチーズはおいしい生乳から
名牛チーズ作りには質のよい乳を出す乳牛が欠かせません。乳牛といえば黒白模様のホルスタイン種を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。オランダのフリーネ地方やドイツのホルスタイン地方が原産のホルスタイン種。体が大きく乳房が発達していて乳量が多く、世界中で最も多く飼われています。性格は穏やかですが、寒さに強く、暑さに弱いのが特徴です。

日本でも個性豊かなチーズ作りのために、ホルスタイン種以外のジャージー種やブラウンスイス種などの生乳を使い分けているチーズ職人がいます。

ちなみに、ジャージー種は淡い褐色でやや小型の牛で、ホルスタイン種より乳量は少ないのですが、ホルスタイン種より乳脂肪率が高い品種です。またブラウンスイス種は、その名のとおりスイス原産で、体色が黒褐色からシルバーがかったブラウンの大型牛。ナチュラルチーズに適した濃厚なミルクを出す「アルプスの名牛」といわれています。


写真提供:社団法人中央酪農会議