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MAFF TOPICS(5)

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affラボ バイオエタノールの大量生産と実用化に前進

「砂糖・エタノール複合生産プロセス」を開発


バイオエタノールは、地球温暖化の原因とされるCO2を増加させる石油の代替として注目される一方、その原料の生産が食料生産と競合することが懸念されています。このようななか、従来のサトウキビに比べ 収量が多い新品種のサトウキビを用いて、これまでと同等の砂糖生産量を確保しながら 大量のバイオエタノールを生産できる「砂糖・エタノール複合生産プロセス」が開発されました。

2010年に品種登録申請された「高バイオマス量サトウキビ」のKY01-2044

2010年に品種登録申請された「高バイオマス量サトウキビ」のKY01-2044。従来のサトウキビに比べ原料茎重は約1.5倍、全糖収量は1.3倍。収穫後の地下株から再び出る芽を栽培し、何回も収穫できるので生産力が高く低コスト栽培も可能

沖縄県伊江島にあった開発当時のバイオエタノール実験プラント

沖縄県伊江島にあった開発当時のバイオエタノール実験プラント

写真提供:(独)農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター
高バイオマス量サトウキビの育成に成功
(独)農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター(以下、農研機構)とアサヒビール株式会社(本社・東京)は、「砂糖・エタノール複合生産プロセス」を開発、実験プラントでの実証に成功し、実用レベルに向けた検証を始めました。

共同研究は農研機構がサトウキビの収量が多い品種開発を、アサヒビールが製糖からエタノールの抽出・生産工程のプロセス開発を担当。品種開発は既存の製糖用サトウキビに比べ、単位面積あたりの収量が50%、糖収量が30%高い「高バイオマス量サトウキビ」の新品種の育成に成功。2010年に品種登録の申請をしました。

新品種を用いて今までの砂糖生産量を維持しながら、面積あたり5倍以上のバイオエタノール生産量が見込めることが沖縄県伊江島の実験プラントでの「砂糖・エタノール複合生産プロセス」により実証されました。

通常、砂糖を取りだす工程で3回の結晶化を行います。「高バイオマス量サトウキビ」は1回の結晶化だけでも、従来とほぼ同量の砂糖が確保でき、糖含有量が多い糖蜜を原料とすることで、大量のエタノール生成が可能になりました。

多様な品種や栽培方法の確立も今後の課題
「品種開発のため伊江島など、遠隔地のほ場に出向き調査をしました。通常より大きくて収量の多い高バイオマス量サトウキビは、収量調査等に多くの時間がかかり、作業が夜間まで及ぶこともしばしば。航空会社の路線の撤退で、移動に1日以上かかることもあり調査時間の確保には苦労しました。また試験ほ場付近はハブが多くいて、特大のハブが出たと聞いてゾッとしたこともありました」(農研機構サトウキビ育種ユニット長 寺内方克さん)

今後の課題を伺うと「高バイオマス量サトウキビを用いた砂糖エタノール複合生産を実用化するには、一つの品種だけではなく台風や干ばつに耐える品種、黒穂病などの病気に強い品種、早生の品種など多様な品種群を開発することが必要です。さらにこうした品種を低コストで生産する栽培技術の確立が必要です」とのこと。

また共同研究を行ったアサヒビール(株)豊かさ創造研究所主任研究員の小原聡さんは「資源争奪時代に入り、我々が開発しているような『低投入で土地の生産性を最大化する技術開発』は世界的に必要になってきます」と研究成果の意義を話してくれました。

今回のプロジェクトの成功は、温室効果ガスの削減のみならず、南西諸島のサトウキビ産業の活性化にも貢献すると期待が寄せられています。