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農林水産省

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お宝!日本の「郷土」食 11[富山県滑川市]

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定置網漁はわらの網で

海と田の技が詰まったホタルイカ料理


生のホタルイカ。

生のホタルイカ。
左がオス、右がメス

茹でたホタルイカ

茹でたホタルイカ

素干しのホタルイカ

素干しのホタルイカ

文・写真 山本洋子
数あるイカの中で、全長約6cmと小さなホタルイカ。富山湾に北アルプスの雪解け水が流れ込む3月から6月が旬。普段は水深200m以上の深海にすみ、産卵時期になるとメスが海岸近くまで大群で押し寄せ、体から青白い光を放つのが特徴です。

普通のイカはスルメから塩辛まで加工方法が多種多様。では小さなホタルイカは、どう食べられ加工されているのでしょう。そこで富山県滑川へ、ホタルイカの料理名人を訪ねました。滑川漁協女性部の倉本禮子さんはホタルイカの魅力を伝えるべく各地で料理教室を開催。

まず最初にお刺身の作り方を教わりました。「竜宮」というスタイルで、内臓に潜む寄生虫を避けるため、背骨(軟骨)を抜いて内臓をはずして水洗い。頭と足に分けて盛り付けます。フラガールのスカートのような足は「竜宮そうめん」の愛称が。薬味はわさびではなくおろし生姜。いただいてみると清涼感ある、つるんときれいな味わいです。

倉本さんは「丸ごとおいしく生かす」が信条。刺身ではずした卵や軟骨は捨てずに調理。命をムダにせずゴミを出さない工夫が随所にあります。例えば軟骨は炒めて食感パリッのカルシウム満点料理。卵は弱火で加熱しおろし生姜をプラス。ふんわりしてうまみもたっぷり。ホタルイカのパーツ単独を食べるのは初めてでしたが、部分もおいしいことを知りました。

そして見せてくれたのが「ワタごと干して2~3日で乾きます」という素干し。干せば保存がきき、あぶれば香ばしく、噛むほどに味がしみでて酒肴に最適。ふぐのヒレ酒ならぬ、熱燗に入れてホタルイカ酒で楽しむ人もいるとか。このほかにも炊き込みご飯、沖漬け、麹漬け、昆布巻、餃子と楽しみ方をいっぱい教わりました。ホタルイカは茹でて酢味噌が定番ですが、それだけじゃもったいない!

思わず一杯欲しくなるホタルイカ料理。それに合うお酒をたずねると「地元の米と水で醸す千代鶴酒造」の名が。この蔵の仕込み水は3種類。メインは地下水。そして名水百選の穴谷の霊水と、滑川海洋深層水の脱塩水。蔵元の黒田一義さんに聞くと「同じ純米吟醸でも、地下水仕込みは雑味の少ないきれいな味で、深層水仕込みは若干濃いめの味わいです」。

飲むとどちらもするりなめらか。前者はお刺身に、加熱した料理には後者が相性良好。やはり地の魚には地の酒がしっくりきます。

天然のおいしさたっぷりのホタルイカ。滑川では漁法にこだわりが。資源が枯渇しないよう一網打尽の底引き網ではなく、沖合に浮かぶメスだけを穫る定置網漁。効率は悪いものの乱獲になりにくい自然共生型漁業です。そして網はビニール製ではなく、わらを編んだ特製わら網。毎年編み直しが必要でお金も手間もかかるものの、ホタルイカを傷めず、海底に沈んだときも自然に分解され、海を汚さないそうです。

旬の時期、必要な量だけを海からいただく。昔ながらの技を生かした海と田んぼの連携プレー。そしてホタルイカを慈しみ、大切にいただく知恵いっぱいの料理、それをおいしく支える純米酒。ホタルイカの小さなボディには滑川が育んだ食の技が詰まっています。

竜宮仕上げの刺身。
  軟骨のから煎り。   卵のあっさり煮。

竜宮仕上げの刺身。
 
軟骨のから煎り。
 
卵のあっさり煮。

酢味噌あえ
  千代鶴酒造、海洋深層水仕込みの酒。   倉本さん、エプロンもホタルイカ柄

酢味噌あえ。ワカメとネギを入れるのが定番。「昔は田んぼの土手にはえるアサツキを入れたものです」と倉本さん。
 
千代鶴酒造、海洋深層水仕込みの酒。
 
倉本さん、エプロンもホタルイカ柄

『ホタルイカの炊き込みご飯』  
『ホタルイカの炊き込みご飯』
【材料】
茹でたホタルイカ200g、米3合、生姜(せん切り)30g、白炒りごま大さじ2、三ッ葉1束、昆布8cm、酒カップ1/4、A(醤油大さじ1/2、砂糖大さじ1/2、塩小さじ1/4)

【作り方】
(1) ホタルイカの目玉をとる。
(2) 鍋に酒を入れて煮立てAを入れ、ホタルイカを加えてさっと煮る。
(3) ボールにザルをのせ(2)を入れてホタルイカと煮汁に分ける。
(4) 炊飯器に米と煮汁を入れ、水を足して昆布、生姜を入れて炊く。
(5)炊けたら昆布を取り出し、ホタルイカを入れ、5分ほど蒸らす。三ッ葉をざく切りにして混ぜる。茶碗に盛りごまをふる。


ほたるいかミュージアム
http://www.hotaruikamuseum.com/

千代鶴酒造
http://www.chiyozuru.com/