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MAFF TOPICS(2)

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affラボ オリエンタル系のユリの強い香りを抑制する方法を開発


大輪で優雅な花を咲かせるオリエンタル系のユリ。
濃厚な芳香が特徴ですが、その香りゆえ敬遠されてしまうこともありました。
(独)農業・食品産業技術総合研究機構花き研究所(以下、農研機構)は花や葉の形状と美しさはそのままに、強い香りを抑制する方法を開発しました。

オリエンタル系のユリの代表「カサブランカ」

オリエンタル系のユリの代表「カサブランカ」。品種改良により香らないユリも作られているが、オリエンタル系のユリのような華やかさを持つ、香らない品種はほとんどない

カノコユリ

ヤマユリ

カノコユリ(上)やヤマユリ(下)など日本原産のユリがオリエンタル系のユリの品種の親となっている

ユリの需要拡大のために
ユリは切り花類のなかで3番目に産出額の高い品目です。

ユリのなかでも「カサブランカ」など、日本原産のユリを親に持つ品種であるオリエンタル系は甘く強い香りが特徴で、見た目の豪華さから生け花の花材として高い人気を誇っています。しかし、レストランや結婚式場といった、食事を提供する場所などでは、香りが強すぎると敬遠されがちでした。

こうした事情から、需要拡大のために大輪の花はそのままに、強い香りのみを軽減する方法はないものか、という声が、ユリの栽培農家から上がっていました。

農研機構は、ユリの切り花がつぼみの状態のときに香りを抑制する薬の水溶液に生けるだけで、香りを大幅に軽減する方法を開発しました。

切り花を薬剤に生けるだけで香りを軽減
ユリの花の香りは、芳香族化合物やテルペノイドなどの化合物群で構成されています。それらの化合物は、素となる物質から数々の段階を経て作られています。その一つひとつの段階に酵素が関わっています。  

いくつかの段階では、酵素の働きを抑える薬剤が判明しており、それらの薬剤を用いることで生成される化合物量が減少することが判明しています。そうした薬剤の中で、芳香族化合物の生成段階のひとつに働くフェニルアラニンアンモニアリアーゼという酵素の阻害剤をユリに用い、効果を試してみました。その結果この薬剤は、芳香族化合物だけでなく、テルペノイドの香り成分の発散を抑えることがわかりました。

香りを抑える処理の方法は、第1花が開花する前日に、切り花をこの薬剤を主成分とした水溶液に生けるだけです。処置をしたユリの香り成分は、通常のユリに比べ8分の1程度になります。開花後には香り成分の生成が始まってしまうので、つぼみのうちに処理することが重要です。薬剤を十分吸収させれば第2花、第3花にも効果があります。

「香りに限らず、成分分析は同じ作業を3回以上繰り返し行ってデータを取り、その平均値を公表します。誤差が大きいと信頼性に欠けるので、データを取り直す必要があります。花の香り成分の量は、同じ品種でも、栽培地や季節により異なります。また同じ畑のユリでも、開花日や時間によって変化するので、香り成分の採取の仕方によってはデータの誤差が大きすぎることがありました。花の条件を合わせ信頼性の高いデータを取ることには苦労しました」(農研機構花き研究所 大久保直美さん)

近い将来の実用化に向け、ユリの主要産地の研究機関や試薬会社などと協力し、現在さらなる試験が行われています。

香りを抑える原理