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MAFF TOPICS(2)

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affラボ きゅうりのモザイク病予防に高い効果 世界初の「植物ウイルス病ワクチン」の商品化に成功


農作物に重大な被害をもたらす植物ウイルス病。
京都府農林水産技術センターは宇都宮大学、株式会社微生物化学研究所と連携しズッキーニ黄斑モザイクウイルスが原因のきゅうりのモザイク病を予防する植物ワクチン※を開発、世界で初めて製剤化に成功しました。

きゅうり

製品化されたZYMVワクチン製剤

製品化されたZYMVワクチン製剤。コストは、1株のきゅうりから100本以上の果実が生産されるうち1~2本分程度がワクチン代に相当する

ワクチン接種「きゅうり」を植えた農家ほ場(左)。無処理(右)では枯れる株が多く、ワクチンの予防接種効果が高いことを実証している

ワクチン接種「きゅうり」を植えた農家ほ場(左)。無処理(右)では枯れる株が多く、ワクチンの予防接種効果が高いことを実証している

ワクチン接種したきゅうりの果実(左)と発病して凹凸になった果実(右)。凹凸のきゅうりは商品価値がないとみなされ廃棄処分される

ワクチン接種したきゅうりの果実(左)と発病して凹凸になった果実(右)。凹凸のきゅうりは商品価値がないとみなされ廃棄処分される

周辺の環境や生物、人にも安全な植物ワクチン
きゅうりの旬は夏ですが、ビニールハウスでも栽培していることから、通年食卓に上る身近な野菜のひとつとなっています。

きゅうりにはアブラムシを介して感染する「ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(以下、ZYMV)」が原因のモザイク病が多発しており、長年、生産農家を悩ませていました。年間に50億円以上もの経済損失が推定されるモザイク病は、葉が縮んだり果実が変形したり、株ごと枯れてしまうなどの被害を及ぼします。ウイルス病に効果がある化学農薬も実用化されていないため、ウイルスを媒介する害虫の駆除しか対策がありませんでした。

京都府農林水産技術センターは宇都宮大学、微生物化学研究所と連携し世界に先駆け、植物ウイルス病ワクチン「ZYMVワクチン製剤」を開発、製品化しました。ワクチンはZYMVの病原性を弱くしたもので、植物が一度感染したウイルスと同種類のウイルスには感染しなくなる「干渉効果」を利用しています。また、各種の試験を通し、周辺の環境や生物、人にも安全であることも検証されました。

各地の農家から届く高い実証効果
平成20年には農薬登録され、日本で初めて植物ワクチンとして市販化されました。接種方法はきゅうりの苗の子葉や本葉に、希釈したワクチンを脱脂綿などで塗布します。発芽して間もない苗に接種するのは、植物体が小さいほどワクチンを体内に取り込みやすく、また効果が現れるまで1週間ほどかかるので、ウイルス攻撃を受けにくい、ハウスなどの環境で育てるのが最適だからです。ワクチンはいったん植物内に取り込まれ、増殖をすれば効果はずっと続きます。 

ワクチン製剤を利用した全国の農家からは「前年はハウス全株がモザイク病に感染した。今年は近隣農家に発生していたが、私のハウスでは全く発生しなかった」「ワクチンを導入してから果実の凹凸や葉が激しくしおれる症状が見られなくなった」と効果の高さを実感する多数の声が上がっています。

京都府農林水産技術センター の小坂能尚(よしたか)さんは「ZYMV以外のウイルスにも効果のある新しいワクチンの開発、接種を効率化する実用的な機械の開発も進めています。農薬としてのワクチン製剤はまったく新しいものですから、一度使ってもらえればその良さは分かるはずです。これからはたくさんのきゅうり栽培農家に広めることが必要と考えています」と、今後の課題を話してくれました。