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お宝!日本の「郷土」食 13 [秋田県能代市]

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わらも大豆も地元育ち 塩で縦まぜがうまい! 桧山納豆


大豆もわらも水も人もすべて地元パワー。まさに地納豆。80g入り160円と安価

大豆もわらも水も人もすべて地元パワー。まさに地納豆。80g入り160円と安価

前社長・14代目、西村庄右衛門さん80歳。毎日、現場に立つ

前社長・14代目、西村庄右衛門さん80歳。毎日、現場に立つ

能代産の「あきた白神大豆」はふっくら中粒

能代産の「あきた白神大豆」はふっくら中粒

大豆60kgを圧力鍋で90分間しっかり蒸す

大豆60kgを圧力鍋で90分間しっかり蒸す

わらの編み手、大ベテランの笠井カツエさん(左)と加賀英子さん

わらの編み手、大ベテランの笠井カツエさん(左)と加賀英子さん

わらは自然乾燥したあきたこまちの稲。毎年、田んぼ3~4ヘクタール分を確保

わらは自然乾燥したあきたこまちの稲。毎年、田んぼ3~4ヘクタール分を確保

わらを舟の形に編み、蒸し大豆を入れ、その上からわらでふたをして発酵させる

わらを舟の形に編み、蒸し大豆を入れ、その上からわらでふたをして発酵させる

文・写真 山本洋子

「♪秋田名物 八森はたはた 男鹿で男鹿ブリコ 能代春慶 桧山納豆 大館曲げワッパ♪」と、民謡・秋田音頭で唄われる桧山納豆。安土桃山時代から続く、直接わらに包んで納豆菌で発酵させる昔ながらの作り方。香ばしい大豆の風味と濃厚な味わいが特徴です。聞けば、地元産の大豆「あきた白神大豆」に、ご近所の農家に頼むあきたこまちの自然乾燥わらとか。

桧山納豆作りの朝8時は、大豆を圧力鍋で蒸す真っ最中。ふたを開けた瞬間、辺り一面湯気がもうもう、甘く香ばしい大豆の香りが広がります。元祖檜山納豆、15代目社長の西村庄右衛門さんから、大豆を1粒いただくと、その味の濃さにびっくり。何もつけなくてもおいしい。力のある大豆だからこそ、納豆にしてもおいしいと納得。

「わらで包んで発酵させることで、噛み応えと粘りが出るんです」と西村さん。

一番好きな食べ方を西村さんに聞くと「塩!」と即答。そして混ぜ方は西村家に代々伝わる「縦まぜ」。普通は箸をぐるぐる回して粘りを出すところ、納豆を箸でつかんで高~く持ち上げ、離して落とす上下運動。すると空気が入ってふっくら。醤油ではなく塩なので、軽さとふんわり感が出るのです。ふくよかな大豆の味もくっきり。塩だけで十分なのも、うまみの濃い大豆ならでは。主役を張れる納豆なのです!「だから酒の肴にもいいですよ(笑)」と西村さん。

桧山納豆の味の決め手であるわらづと作りはすべて手作業。ご近所のオーバー70の秋田美人コンビが担当です。発酵中にほどけたり、変形するとうまく発酵できません。わらを編んで半世紀以上という2人は、ひとり1日200個以上作るそうです。

そうして出来た舟形のわらは、高温蒸気で蒸して殺菌。その後、くぼみ部分に蒸し大豆を入れ、わらふたをして発酵へ。そのわらふた担当も80を筆頭とする色肌ツヤ良しの秋田美人たち。「毎日納豆食べてるから!」と皆さん元気いっぱい。

わらで舟形を作り、わらでふたをし、わらで縛る。わらだけで出来たパッケージは、納豆菌育ても兼ねた一石二鳥素材。ほどくのがもったいないほど見事で芸術的。稲わらからできる納豆が、稲からできるお酒やご飯と抜群の相性なのは当たり前です。

日本人の主食である米。その稲わらは俵やわらじ、時には漁の網になり、檜山では納豆に生かされてきました。海にも土にも自然に帰るわら。昔から続く、人の体にいいものとは、実は環境にも優しく、未来永劫持続出来るのです。サスティナブルは当たり前。日本人が代々引き継いできた食文化として、秋田名物どころか日本の名食としてうたわれるのも近い!?


元祖檜山納豆(株)
http://www.hiyama710.com/
秋田県能代市檜山字檜山町19-1
TEL&FAX.0185-58-5046