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特集2 食材まるかじり(2)

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もっとおいしく安心して使うための砂糖の基礎知識


さとうきびは11月~3月の乾燥して涼しい時期に収穫される。収穫後は糖分が落ちないようすみやかに製糖工場へ運ばれる
さとうきびは11月~3月の乾燥して涼しい時期に収穫される。
収穫後は糖分が落ちないようすみやかに製糖工場へ運ばれる

北海道のような冷涼な地域で育つてん菜

北海道のような冷涼な地域で育つてん菜。一見大根のように見える太い根の部分にショ糖が貯えられる

沖縄など暖かい地域で栽培されるさとうきび

沖縄など暖かい地域で栽培されるさとうきび。節のある長い茎の部分に夏の間の活発な光合成によりショ糖がたっぷり貯えられる

収穫地で加工された「原料糖」

収穫地で加工された「原料糖」。船便などで全国各地の精製糖工場に運ばれ、外国産の原料糖と合わせて一緒に純度の高い砂糖へ精糖される
砂糖の原料とは
先にご紹介した砂糖は、国産原料としてはすべてさとうきび(甘しゃ)とてん菜(ビート、または砂糖大根)から作られています。

さとうきびは紀元前のインドで使われ、現在でも砂糖作りに世界中で最も多く利用されており、日本では主に沖縄県と鹿児島県南西諸島で栽培されています。強風でも倒れず、水不足でも立ち枯れない強靭な作物で、台風の通り道でありしかも、干ばつが起こりやすい離島であるこの地域にとっては、かけがえのない重要な作物です。同地では、糖度が高くなる冬にさとうきびを収穫し、製糖しています。

一方のてん菜は18世紀になって初めて製糖に成功した、歴史的には新しい砂糖の原材料です。世界的に見ると主に北ヨーロッパで栽培されています。日本では明治時代になって北海道で本格的に栽培を開始。同時に近代的な製糖工場も建てられました。今では北海道の広大な農地を生かす輪作体系(連作による障害を避けるため、同一耕地でじゃがいもや小麦など異なる作物を交代で栽培すること)に欠くことのできない重要な作物となっています。見た目は太い大根のようですが、実はほうれんそうの仲間です。

砂糖の作り方
砂糖はさとうきびやてん菜からどのように作られるのでしょうか?

さとうきびは収穫後、ただちに近くの工場に運んで搾り汁を煮詰めます。その後煮汁の中に含まれる不純物を遠心分離機にかけて除去します。こうして作られた砂糖の結晶は「原料糖(=粗糖)」と呼ばれるもので、この状態で消費地に近い精製糖工場へ運ばれます。精製糖工場では輸入原料糖と混ぜ合わせ、洗浄やろ過などの工程で不純物を取り除いたのちに、糖液を濃縮。最後に遠心分離機で砂糖の結晶と糖液を分け、純度の高い砂糖に仕上げます。

てん菜は、生産地と同じ北海道にある製糖工場に運ばれ、細かく刻んで温水につけて糖分を抽出。丁寧に不純物を取り除いたのち、きれいになった糖液をさらに煮詰めて濃縮し、砂糖の結晶を作ります。最後に遠心分離機にかけて砂糖と糖液に分離します。

さとうきびは生産地の製糖工場と消費地に近い精製糖工場で、てん菜は北海道の製糖工場のみで加工されるのが大きな違い。それでも出来上がるのは全く同じ成分を持つ砂糖です。なんだか不思議な気がしますね。

砂糖をとりまく素朴なギモン

我が国における砂糖供給量

我が国における砂糖供給量
(平成21年10月~平成22年9月)

Q1.日本ではどれくらい作られているの?
日本で消費される砂糖の量は年間約210万トン。約4割は国産のてん菜とさとうきびから、残りの約6割は海外から輸入された原料糖(粗糖)が利用されています。国産原料の割合はてん菜が約8割、さとうきびが約2割となっています。


白い砂糖は漂白をしているの?

Q2.白い砂糖は漂白をしているの?
砂糖は本来無色透明の結晶です。色がついている砂糖は、その表面にごくわずかな不純物などが混じっていたり加熱によって変色をするから。上白糖やグラニュー糖のように真っ白になるまで精製するのはなんにでも使える万能派の調味料にするためです。一般に砂糖が白く見えるのは、結晶の表面で光が乱反射するからで、雪や、透明な氷からできるかき氷が白く見えるのと同じ原理で、漂白されているからではありません。


砂糖に賞味期限はあるの?

Q3.砂糖に賞味期限はあるの?
上白糖、グラニュー糖、角砂糖などは長期保存しても変質しないため、JAS法でも賞味期限を表示する必要のない食品に定められています。黒砂糖も賞味期限を示す必要はありませんが、精製度が上白糖などに比べて低く、色が濃くなったり風味が落ちることがあるのでなるべく早く使い切りましょう。またどの種類の砂糖も湿気や乾燥など水分の変化でカチカチに固まってしまう性質があります。保存するときは蓋のある容器に入れて外気と遮断しておきましょう。


三温糖は上白糖よりミネラルが豊富でヘルシー?

Q4.三温糖は上白糖よりミネラルが豊富でヘルシー?
黄褐色の三温糖は白い砂糖に比べてカルシウムなどのミネラル分が高いと思われがちですが、色が濃いのは上白糖に比べて精糖時の加熱回数が多く、ショ糖が分解して色がつくため。ミネラルなどの成分は上白糖とほとんど変わりません。人が1日に使う砂糖の適量を20gとすると、全部を三温糖にしても含まれるカルシウムは約8mgにしかなりません。ですから砂糖からカルシウムを多く摂るという発想ではなく、むしろそれらを多く含む魚介類や牛乳、野菜からバランスよく摂りましょう。


取材協力/精糖工業会、独立行政法人 農畜産業振興機構
参考資料/「砂糖の知識」(砂糖を科学する会)、「砂糖の本」(精糖工業会)

気になっていませんか?砂糖と健康の関係
「砂糖を食べると体に悪い?」 という俗説の真偽を 浜松医科大学名誉教授の 高田明和先生にお伺いしました。

我が国における砂糖供給量

砂糖を食べると虫歯になりませんか?
虫歯は砂糖などの糖分が長時間口の中に残っていることで細菌(ミュータンス菌)が繁殖し、歯の表面のエナメル質を溶かす物質を出すことによって発生します。すなわち砂糖の摂取が直接、虫歯に繋がるわけではなく、口内にいる細菌、食物中の糖分、細菌が繁殖する時間の3つの要件(それと生まれつきの歯質)が重なり合って発生するものなのです。

虫歯予防のためには長時間食べかすを残さないことが大切です。そのためには、食事やおやつは時間と量を決め、ダラダラと食べないこと、そして口内を清潔にする時間を長くするように心がけましょう。

砂糖を食べると太りませんか?
「肥満」は摂取カロリーが消費カロリーを上回ったときにおこるもの。エネルギーの需給バランスの悪さが主な原因です。またエネルギー源となるものにはタンパク質、炭水化物、脂質がありますが、1gあたりのエネルギーはタンパク質、炭水化物が4キロカロリー、脂質が9キロカロリーです。砂糖は米などと同じ炭水化物(糖質)ですからエネルギーもほぼ同じであり、「砂糖が他の食品と比較して極端に高カロリーである」という考え方は正しくありません。肥満防止には、日ごろから意識的に体を動かす習慣やバランスの良い食生活を送ることが大切です。

砂糖は糖尿病の原因になりませんか?
糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが悪くなったり、分泌のパターンが障害されておこる病気です。インスリンがきちんと作用しないと、血液中のブドウ糖(血糖)を体の中にうまく取り込めず、血液中のブドウ糖が尿に漏れ出てしまい、逆に体そのものはブドウ糖が不足する状態となります。そのため、糖尿病の患者さんはブドウ糖不足を補うために甘いものをほしがることになります。

しかし、糖尿病は遺伝的素因に肥満、過食、運動不足、ストレスなど複数の因子が発症に関連している病気で、砂糖の摂取が直接関与するわけではありません。どちらも「糖」という字がつくことからそのような誤解が生じているようです。ちなみに、この病名に「糖」という字がつくのは日本語だけ。英名では「diabetes mellitus」(蜜の溶液がサイフォンのように尿に出ることからきています)、中国語ではのどが渇く症状から「消渇」と呼ばれています。