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お宝!日本の「郷土」食 14 [三重県御浜町]

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「年中みかんのとれるまち」のサマーフレッシュとさんま寿司


サマーフレッシュは400gにもなる大玉。皮の油分が少なく、むいた時に手がベトつかない

サマーフレッシュは400gにもなる大玉。皮の油分が少なく、むいた時に手がベトつかない

果肉はプリプリの弾力。心地良い酸っぱさ

果肉はプリプリの弾力。心地良い酸っぱさ

一面に広がるみかん畑。濃い緑色で埋めつくされる

一面に広がるみかん畑。濃い緑色で埋めつくされる

温暖多雨の御浜町。暖流黒潮の潮風が年中おいしいみかんを育てる

温暖多雨の御浜町。暖流黒潮の潮風が年中おいしいみかんを育てる

熊野駅前の果物店で。100g 30円と安価

熊野駅前の果物店で。100g 30円と安価

緑の小さな実が1年後には大きな黄橙色に変化。3~4年に1回、実のならない年も

緑の小さな実が1年後には大きな黄橙色に変化。3~4年に1回、実のならない年も

8月初旬の青くて小さいサマーフレッシュ。完熟とこれだけ違うと市川さん

8月初旬の青くて小さいサマーフレッシュ。完熟とこれだけ違うと市川さん

さんま寿司の開き方は背または腹と地域で異なる。薬味は和辛子、柑橘酢飯に不思議と合う

さんま寿司の開き方は背または腹と地域で異なる。薬味は和辛子、柑橘酢飯に不思議と合う

文・写真 山本洋子

みかんの新学期は、秋9月から始まります。極早生温州みかんでスタートし、10月から早生温州、12月から1月が高糖温州みかんの最盛期。年越しの一番手は伊予柑、そして2月から5月まで夏みかんが実り、その間にデコポンや清見(きよみ)やセミノールなどが旬を迎えます。夏みかんと言っても夏前に収穫が終わるので、全国的にみかんはハウスもの以外6月から夏休み。

ところが唯一、違う町がありました。黒潮の恩恵を受ける三重県御浜町(みはまちょう)では、夏に露地栽培の「サマーフレッシュ」が旬。1982年に品種登録された夏みかんと八朔の交配種で、収穫時期が最も遅い超晩生種。5月に花が咲き、実が熟するまで1年以上。

「サマーフレッシュは病害虫が少なく有機栽培向きです。農薬が必要なければ経費もかかりません」と話すのは、栽培歴8年の市川茂昭さん。サマーフレッシュ部会は15人で全員が農林水産省認定のエコファーマー。無農薬栽培に取り組む人も多数。

サマーフレッシュの果実は黄橙色(おうとうしょく)、果肉は淡い黄色で弾ける粒感。さわやかな酸味とさっぱりした甘味、八朔を思わせるほのかな苦みが特徴です。

「夏場の水代わりに最高のみかんです」。完熟した実は1個300~400gと大玉。「花と実、両方楽しめるからみかん狩りは2倍楽しいですよ」と市川さん。

お勧めの食べ方は「まとめて皮をむいて冷蔵庫か冷凍庫へ。食べたい時に、冷えたのをさっとパクッ。ほぐしてご飯に混ぜるとサマーフレッシュご飯で、これが寿司飯にもいいんです。甘くないのでサラダにもいいし、ギュッと搾って果肉ごと焼酎も最高です」

南紀では、伝統的に柑橘果汁がお酢代わりに愛用されてきました。発酵させず搾るだけの簡便さ。香りさわやか、酸味まろやか。寿司飯に柑橘果汁は定番です。そんな酢飯を使った名物さんま寿司は、軽く塩をしたさんまを、柑橘果汁に漬けてから寿司飯に載せる姿作り。神事や祝い事、祭に、このさんま寿司はかかせません。

紀州でも地域によっては流儀が違い、腹開きか、背開きのお頭付か。食べ方も作ってすぐに、一晩二晩おいてなれてから、熟成したのを焼いて食べる……と楽しみ方もさまざまです。

はしりのさんまは脂肪が多過ぎて、寿司には向きません。冷たい親潮に乗って南下したさんまは、温かい黒潮を泳ぐうち適度に脂が抜けるのです。一方、黒潮の潮風はおいしい柑橘を育みます。東北では脂がのってうまいさんまも、南紀では脂が抜けてこそ柑橘酢飯と好相性。食材が同じでも、土地によってうまさは千変万化。爽快感たっぷりで素朴な味わい、さんま寿司のおいしさ、夏が旬のみかんともに黒潮が洗う南紀ならではの気候風土の賜物です。

三重県御浜町
http://www.town.mihama.mie.jp/

JA三重南紀
http://www.ja-mienanki.jp/