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MAFF TOPICS(2)

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affラボ 森林の生物多様性が農作物の生育に貢献

昆虫の多様性がソバの実りを豊かに


独立行政法人森林総合研究所は、森林や草地にはさまざまな種類の昆虫が多く生息しており、その地域のソバ畑ではソバの実の結実率が高くなることを明らかにしました。

ソバの実(イメージ)

ソバの実(イメージ)

まるまると大きな粒。糖度は18~19度ほどで巨峰と同程度だが酸味は少ない

森林に囲まれたソバ畑

ソバの花とニホンミツバチ

ソバの花とニホンミツバチ。ニホンミツバチは主に森林に生息して、数キロメートルを行動範囲として移動する
昆虫の媒介が必要なソバ
森林には多種多様な動植物が生息しており、生物多様性を保全する役割を果たしています。しかし一方で、生物多様性が私たちの生活にどのような形で具体的に貢献しているかなど、まだ知られていないこともあります。

そこで独立行政法人森林総合研究所は、ソバの実の結実率と生物多様性との関係を調査しました。

調査は茨城県の奨励品種「常陸秋ソバ」の種ソバを生産する、常陸太田市の農家の協力を得て、中山間地で栽培されている環境の異なる17カ所のソバ畑で2年間にわたり行われました。

ソバは茎の先端に白やピンクの花を多数つけます。花が実となるためには、雄しべから雌しべに花粉を運ぶことが必要です。ソバの花は、雌しべが雄しべよりも長い「長花柱花(ちょうかちゅうか)」と、雌しべが雄しべより短い「短花柱花(たんかちゅうか)」の2種類があります。

ソバは同じ種類の花同士では受精ができず、「長花柱花」が受精するには「短花柱花」の花粉を、また「短花柱花」が受精するには「長花柱花」の花粉をそれぞれ必要とします。また「長花柱花」と「短花柱花」の株は完全に分かれており、ひとつの株に両方の花が咲くということはありません。したがってハチ、アリ、ハエ、ハナアブなどの多種多様な昆虫に、花粉を運んでもらわなければ受精ができないのです。

森林・草地と結実率の関係
調査の結果、ソバ畑の周辺に森林や草地の面積が増えるほど、畑に飛来する昆虫の数が増えることが分かりました。

ニホンミツバチは、ソバ畑から半径3km圏の森林面積が広いほど個体数が多く、ミツバチ以外の昆虫は、半径100m圏の森林と草地の面積が広いほど個体数が多くなります。その結果、結実率もソバ畑の周りの森林と草地の面積が増えるに従い、高くなるということが判明しました。

この結果は、森林の持つ生物多様性を保全する機能が、農産物の生産に貢献しているということが実証されました。

野外調査はひと段落しましたが、データをもとにさらなる解析が進められています。

「農地周辺の昆虫の生息地として広葉樹天然林、針葉樹人工林、半自然草地などを比較し、どの種類の森林や草地が重要なのか、また、こうした調査をもとに、農地内での結実を良くするためには、それぞれの自然地が農地周辺にどれくらいの面積が必要かなどを明らかにしたい」と、同研究所森林昆虫研究領域の滝久智さんは、現在の課題を話してくれました。