このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

お宝!日本の「郷土」食 16[神奈川県海老名市]

  • 印刷

地大豆と酒米で仕込む

日本酒蔵の酒肴(しゅこう)な吟醸味噌


「いづみ橋 吟醸味噌」

「いづみ橋 吟醸味噌」
400g 588円、1kg 1,260円

山田錦でつくった米麹と津久井在来大豆

山田錦でつくった米麹と津久井在来大豆。この後、すりつぶして樽に入れ冷温倉庫で約1年間熟成

大海酒造の山下さん(右)と杜氏の大牟禮さん(左)。1999年からその年で一番いい出来の焼酎に年号をつけ「海からの贈りもの」の名で販売

季節毎に代わるトンボシリーズ。冬の卵から夏のヤゴ、秋のトンボへと成長が描かれる

泉橋酒造株式会社
神奈川県海老名市下今泉5丁目5番1号
TEL.046-231-1338
http://www.izumibashi.com/

文/山本洋子 
写真/山本洋子・泉橋酒造
「酒屋の手前味噌を流行らせたいんです」と泉橋(いずみばし)酒造・社長の橋場友一さん。酒や米、食材にこだわる居酒屋は多いものの、味の決めてとなる調味料となると? 日本酒と食文化を語るなら、伝統調味料が要。「それなら酒蔵が味噌蔵になったらいいと思ったんです」。

友一さんが蔵を継いだのは17年前。まず手がけたことは、日本酒全量を純米酒にすること(日本酒の8割は醸造用アルコールを添加した酒。純米酒は2割)。混ぜ物のない純米酒には力強い地の米が必要と、自ら酒米栽培をスタート。近所の農家にも栽培を依頼し、今は蔵から10㎞圏内の地元・海老名産で全量醸せるまでになりました。

次は酒をおいしくする調味料づくりへ着手。まずは味噌から。ちょうど地元で『津久井(つくい)在来』という地大豆が見つかりました。

酒蔵が仕込む味噌だから、日本酒の技を生かしたい。そう考えた友一さんは、味噌の麹米に酒造好適米の山田錦を使用。しかも70%精米。麹は日本酒用の黄麹(きこうじ)を選択。

「味噌で『吟醸』と名乗るには、等級を受けた大豆を使って、麹米は7%だけ削れば(93%精米)いいのですが、吟醸酒に近い精米歩合にしました」。

橋場家愛用の味噌を造る、近所の味噌造り名人、有山久子さんに教えを乞い、あとは独学。試行錯誤の結果、麹歩合は10割(大豆と麹を1対1)。塩分は10%に決定。「子どもから大人まできき酒ならぬ、きき味噌の繰り返しで(笑)」。

そうして出来上がった味噌は、豆の甘みを感じる上品できれいな味と好評。県内外の酒屋、居酒屋から注文が入るようになりました。

「味がきれいなのは日本酒と同じ麹だからと思います」

そんな吟醸味噌のお勧め料理をたずねると「けんちん汁」と。一説に神奈川県鎌倉市の禅寺・建長寺に由来した精進料理の汁で、動物性たんぱくは使いません。昆布や椎茸でだしをとり、具は豆腐やこんにゃく、根菜類。「植物性の滋味深い汁にはこの味噌がぴったり合います」と奥様の由紀さん。体をほっと温める味噌味のけんちん汁は、お酒を飲む前、飲みながら、飲んだ後にもうってつけ。

「酒つくりと味噌つくりは、つくり手の体調が何より重要。だから蔵の食事はすべて手づくりです」

ご飯は自家栽培の無農薬コシヒカリ、農家が分けてくれる野菜に海藻、麩を入れた具だくさん味噌汁が定番。

「発酵は日本の食文化を支えてきました。春の田植えに始まって、秋は稲刈り、冬に酒を醸す。合間に大豆で味噌を仕込む。そんな酒蔵の二毛作が実現できました。地大豆を使って味噌のおいしさを伝え、消費を増やすことで自給率向上にもつながって。なによりおいしい味噌があれば酒がさらにうまくなるのがミソ!」

泉橋酒造のトレードマークはトンボ。田んぼには品種を示す看板が

  こちらは原生種の亀の尾(かめのお)。ワイルドな芒(のぎ)が特徴

  契約栽培の津久井在来大豆。甘みがあり煮豆や味噌に使われてきた

泉橋酒造のトレードマークはトンボ。田んぼには品種を示す看板が

  こちらは原生種の亀の尾(かめのお)。ワイルドな芒(のぎ)が特徴

  契約栽培の津久井在来大豆。甘みがあり煮豆や味噌に使われてきた

この田んぼの山田錦は、1反当たりの収量は4俵と少ないものの高品質。80%精米のお酒になる

  豆腐、野菜たっぷりのけんちん汁。吟醸味噌のおいしさがしみじみと分かる

  創業154年の泉橋酒造は友一さんで6代目。「この味噌があるとお酒が進むんです!」

この田んぼの山田錦は、1反当たりの収量は4俵と少ないものの高品質。80%精米のお酒になる   豆腐、野菜たっぷりのけんちん汁。吟醸味噌のおいしさがしみじみと分かる   創業154年の泉橋酒造は友一さんで6代目。「この味噌があるとお酒が進むんです!」