ホーム > 報道・広報 > 2012年aff(あふ)5月号 > aff(あふ)バックナンバー > 11年11月号目次 > 農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ
| 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター(以下、北農研)は、食味が良く家庭での調理に向いたジャガイモの品種「はるか」を育成しました。「はるか」は煮崩れしにくく、煮物やサラダ、コロッケなどにお勧めのジャガイモです。 |
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害虫に強く、家庭の料理にも向いた品種を
ジャガイモは、さまざまな料理の材料になる使い勝手の良い食材です。しかし近年、外食や中食などを利用する機会が増え、自宅での料理を簡素化する傾向があることから、家庭調理用のジャガイモの消費は落ち込んでいます。またジャガイモの根に寄生し、収量が半減するほどの被害をもたらす害虫、ジャガイモシストセンチュウの汚染地域も年々拡大しています。このジャガイモシストセンチュウは、シストと呼ばれる膜でできた袋で卵を守っています。シストに包まれていれば、過酷な気象条件でも何年も卵が生き延びることができるので、完全に駆除するのが非常に難しい害虫です。 現在ジャガイモの主力品種「男爵薯」や「メークイン」は、この害虫への抵抗性がありません。 こうした背景のもと、ジャガイモの消費を拡大するために、皮がむきやすく、むいた後の変色が少ない、調理したときに煮崩れしにくいなど、家庭用にも業務用にも使いやすく、ジャガイモシストセンチュウに抵抗性を持った品種開発が望まれていました。これらの条件に沿うように育成されたのが「はるか」です。 研究者の目を惹き付けた魅力的な姿のジャガイモ
ジャガイモの品種開発をする研究者にとって、2大品種である「男爵薯」「メークイン」は偉大な品種として乗り越えるべき高い壁となっています。「この壁を乗り越え、2大品種を超えるような大品種を開発したい」というのは、研究者の目標です。そのためには多くの人を惹き付ける何かが必要だ、と研究者たちは育種に励んだそうです。しかし、ほ場で収穫した多数のジャガイモを選抜していても、形や目(芽の出るくぼみ)の深さなど多少の差はあっても、どれも類似したイモばかり。収量性が優れているから選抜されたイモはあっても、その魅力によって選抜された系統はなかなか出てきませんでした。 当時、育種に関わっていた研究者は、「『はるか』を見つけた瞬間のことを今でも鮮明に覚えている」と話します。思わず「これはいいね」と言葉がこぼれたそうです。 また、ほ場での選抜を担当していなかった研究員が、研究室内の「はるか」を見て「これは捨てちゃだめだよ」と、言ったことも記憶に残っているといいます。 研究者が惹き付けられたのは、表面の凹凸が少なく、目の周りがほんのり赤い個性的な姿です。 「はるか」は現在、まだ生産量は多くありませんが、この新品種をスーパーなどで見かけたら、ぜひ手に取って料理してみてください。 |