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農林水産省

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お宝!日本の「郷土」食 19[秋田県山本郡]

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とっちゃが獲って、かっちゃが漬ける

八森ハタハタ2年熟成しょっつる


2年間の発酵期間を経たきれいな味の八森しょっつる

目の前であがった新鮮なハタハタをすぐ加工。2年間の発酵期間を経たきれいな味の八森しょっつる。原料はハタハタと塩のみ。120ml 800円

山本友文さんと、無農薬無化学肥料栽培の「酒こまち」で醸造した純米吟醸『山本』白ラベル

山本友文さんと、無農薬無化学肥料栽培の「酒こまち」で醸造した純米吟醸『山本』白ラベル

運びやすく混ぜやすいよう小さな樽で仕込む。月に1度底から混ぜ返す。「この作業が大切」と岡本リセ子さん

運びやすく混ぜやすいよう小さな樽で仕込む。月に1度底から混ぜ返す。「この作業が大切」と岡本リセ子さん

熟成が進むと身はほとんど溶けてしまう

熟成が進むと身はほとんど溶けてしまう。残るは骨と卵の膜のみ。この後、布や濾紙を使って何度も漉し、美しく仕上げるのがひより会流

秋田県漁協北部総括支所女性部ひより会
代表/岡本リセ子
秋田県山本郡八峰町八森字門の沢124
TEL&FAX.0185-78-2629

山本合名会社
秋田県山本郡八峰町八森字八森269
TEL.0185-77-2311
http://www.shirataki.net/

文・写真/山本洋子
「♪秋田名物、八森(はちもり)ハタハタ、男鹿で男鹿ブリコ…」と秋田音頭で歌われる八森は県内でも有数のハタハタの産地。

ハタハタは漢字で書くと「鰰」。「神の魚」と書きます。雪深い秋田の貴重な冬のタンパク源で、さまざまな食べ方が工夫されました。保存食の三五八漬(さごはちづ)け、飯寿司(いずし)。そして、しょっつる鍋など。他の魚介類が手軽に入る現在でも、秋田県人には欠かせない郷土魚です。

そのしょっつる鍋に必須の調味料が、ハタハタで作った魚醤=しょっつる。ハタハタと塩だけで発酵、熟成させた風味豊かな調味料。独特の野趣あふれる香りと、複雑で濃いうまみが特徴です。昔はどこの家でも手作りが当たり前で、かっちゃ(母さん)の味が自慢でした。醤油が出回るようになってから、だんだん作られなくなったのです。

「明治のかっちゃが作ってたしょっつる。今のかっちゃでなくしちゃいけない。八森の伝統の味を次世代へつなぎたい」と漁師のかっちゃたちが奮起し『ひより会』を結成、しょっつる作りをスタートさせました。「天気がよくなる予兆『ひより風』から名づけました」と代表の岡本リセ子さん。

とっちゃ(父さん)が獲った新鮮なハタハタを小樽で塩漬けし、待つこと2年。その間、月に1回、底から混ぜて様子をチェック。熟成したら、麻布で骨と卵を濾し取り、60度と80度にて2回殺菌。「最初の良い香りが維持できる」とリセ子さん。それを冷凍保存して脂を取り除いた後、布袋で漉してタンクに入れ、3週間以上静置。その上澄みを濾紙で漉して、ようやく瓶詰め。手間暇かけたしょっつる。その色と味はまことクリア。

「これがあれば、しょっつる鍋は超簡単。具は魚とネギだけで十分おいしい」と太鼓判。鍋、汁、炊き込みご飯から、ドレッシングまでなんでもOKの魔法のひと瓶。「イカにつけて焼くと、香りと味がたまらないから」焼き始めると、香ばしい良いにおい。すぐに隣にいたとっちゃがお燗を準備。しょっつるがきいた汁とイカに燗酒。海に感謝のゆるやかで豊かな時間が食卓に広がりました。

「冬場のしょっつる料理と純米酒は最高の相性です」と八森唯一の酒蔵『白瀑(しらたき)』の蔵元兼杜氏山本友文さん。「酒造りは米作りから」が信条。自ら酒米を栽培する『栽培醸造家』です。クリアで米の豊かな味がする純米酒は、しょっつる味を引き立てると言います。

世界遺産白神山地からわき出る、栄養たっぷりの水が田んぼで米を育て、その水と米が純米酒を作る。海に流れれば、いい漁場がハタハタを育て、しょっつるを作る。八森生まれのしょっつると純米酒が相性いいのは当たり前。根っこが同じ自然の発酵食品同士。シンプルな素材の組み合わせは、奥深い食の幸せを生むのです。

明るく楽しいラテン系!? なひより会メンバー

明るく楽しいラテン系!? なひより会メンバー。「しょっつるは鍋や炒め物、煮物、炊き込みご飯、焼きそば、ラーメン何でもうまくなる!」
うまみ成分が多いしょっつるはイカも極上の味に

うまみ成分が多いしょっつるはイカも極上の味に。イカにしょっつるをかけてしばしおいてから網焼きすると、酒のお友に最高! ひより会では「しょっつる焼きイカ」の商品も

しょっつる鍋
しょっつる鍋の作り方(4人分)

●材料
ハタハタ8尾またはタラ半身
ネギ2本
しょっつる大さじ2~3

●作り方
鍋に水(または昆布だし)4~5カップ、しょっつるを入れて加熱する。沸騰したらハタハタまたはタラを入れる(ぶつ切りにし、骨つきから先に加える。肝臓を入れると味がよい)。魚に火が通ったら最後にネギを加える。酒を加えるとなお美味。豆腐や白菜を加えて寄せ鍋風にも