このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ

  • 印刷

安心して刺身で食べられる

「沖締め凍結サバ」


サバは鮮度が落ちやすく、特に生食は食中毒を起こすとして敬遠されてきました。しかし生きたままの新鮮なサバを凍結処理することで、食中毒の要因が取り除かれ安心して刺身として食べられることが実証されました。

マイナス50℃で凍結されたマサバの水揚げ

マイナス50℃で凍結されたマサバの水揚げ

網を使って船内にマサバを取り込む

網を使って船内にマサバを取り込む

漁業調査船「北勝丸」。漁獲したマサバを船上でブライン凍結している

漁業調査船「北勝丸」。漁獲したマサバを船上でブライン凍結している

消費の拡大と漁業資源の保護のために
サバは刺身などの生食が敬遠され、塩焼きや味噌煮など加熱調理したものが一般的に食べられています。昔から「サバはあたりやすい」と言われてきましたが、サバによる食中毒は寄生虫のアニサキスに加えて、漁獲後の貯蔵中に細菌により生成されるヒスタミンが原因であることが近年解明されました。

独立行政法人水産総合研究センター開発調査センター(以下、開発センター)は、サバを凍結するとアニサキスが死滅することや、鮮度の保持でヒスタミンの生成が防げることから、漁獲直後のサバを生きたまま船上で凍結処理すれば食中毒の原因を解決できると考え、平成18年から「沖締め凍結サバ」の研究・実証に取り組み始めました。また、凍結処理で安心して生食できるサバを提供し、新たな消費の開拓や、付加価値を付け単価の向上を図り、従来の漁獲量より少なくても採算がとれることで、海洋資源の保護にもつなげるという目的もありました。

評価が高い「沖締め凍結サバ」
「沖締め凍結サバ」は漁獲したマサバを、生きたままマイナス20℃のブライン溶液(濃度の高い塩水)に入れ4~5時間凍結、その後、マイナス50℃の魚艙(ぎょそう)(※)に移して2日以上保冷します。このような処理で生産された「沖締め凍結サバ」は新しい消費者を増やし、通常方法で水揚げされたサバよりも品質の評価が高く、高値で取引されるなど当初の研究目的を達成しています。調査のためにまき網でマサバを漁獲しましたが、網の中にはマサバ以外の魚類も入ります。イカ混じりのマサバ群で、凍結サバを生産したらサバとサバの間にイカが混じり板のように固まって、販売できなかったなど、取り組み当初には、予想外のこともあったようです。現在、船上でのブライン凍結方式により「沖締め凍結サバ」を生産しているのは2隻のみです。これらのサバは寿司屋、居酒屋などの外食産業で取り扱われ、実際に食べた消費者や調理師からは、非常においしいと好評のようです。

「生食用のサバの取り扱いを敬遠する業者もまだ多いので、凍結サバの良さをきちんと理解していただける資料作りによって、もっと一般に生食を普及させたい」と開発センターの伏島一平さんは話してくれました。

寿司屋や和食屋などでサバの刺身を気軽に味わえるようになるのが楽しみです。

※魚艙:漁船の魚を保管する場所