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農林水産省

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明日を担う若い力 チャレンジャーズ 第59回

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「株式会社れんこん三兄弟」

プロとしてより良質なレンコンを作り続けたい

茨城県稲敷市(いなしきし)

長男・貴夫さん(右)が営業担当で外回り。次男・昌治さん(中)が経理担当。三男・昭良さんが生産研究と現場担当。
長男・貴夫さん(右)が営業担当で外回り。次男・昌治さん(中)が経理担当。三男・昭良さんが生産研究と現場担当。
分担はそれほど深く考えなかったが、お互いに「あうん」の呼吸で決まった

両親だけで栽培していたときは2ヘクタールだった蓮田も、現在は7ヘクタール。社員も除々に増やしながら蓮田も広げる予定

両親だけで栽培していたときは2ヘクタールだった蓮田も、現在は7ヘクタール。社員も除々に増やしながら蓮田も広げる予定

手探りで土中のレンコンを探す。収穫は天候に関わらず行う。「雨の日はみんな寡黙、雪の日は修行しているようです」

手探りで土中のレンコンを探す。収穫は天候に関わらず行う。「雨の日はみんな寡黙、雪の日は修行しているようです」

レンコンの収穫は水掘り。大量の水を使うが霞ヶ浦周辺は水に恵まれていること、品種的にも機械掘りより適しているため、この地区では水掘りが主流

レンコンの収穫は水掘り。大量の水を使うが霞ヶ浦周辺は水に恵まれていること、品種的にも機械掘りより適しているため、この地区では水掘りが主流

レンコンは収穫されボートに積まれていく

レンコンは収穫されボートに積まれていく。風の日は水から上げたレンコンが乾いてしまい、洗浄するときに泥が落としにくくなるので湿らせた布をかけておくという

収穫されたレンコンは作業場へ運ばれ、くびれの部分の根を包丁で取り除く「ひげそり」という作業のあと洗浄される

収穫されたレンコンは作業場へ運ばれ、くびれの部分の根を包丁で取り除く「ひげそり」という作業のあと洗浄される


3兄弟の強みを生かして農業に新風を
レンコンの生産量日本一を誇る茨城県。そのほとんどが霞ヶ浦と北浦の沿岸で生産されている。霞ヶ浦の南に位置する稲敷市で、レンコン栽培を行っているのが宮本貴夫(たかお)さん(34歳)、昌治(まさはる)さん(33歳)、昭良(あきら)さん(32歳)の3兄弟だ。種レンコンを育てる種田を含めて7ヘクタールの蓮田(はすだ)で、年間80~100トンものレンコンを生産している。

学校を卒業後、それぞれ別の仕事に就いていた3人が父親の後を継ぎ、就農したのは10年前になる。

「農家の息子たちは家業を継ぐもの、という旧来の考えに反発していた時期もありました。就職してみたら、自分たちを育ててくれた農業が、世間からは辛いとか大変だとか思われている。両親の働いている姿は辛そうじゃなかったし、世間の持つ農業のイメージって変じゃないか。3人一緒に農業に飛びこんだら、兄弟ならではの強みを発揮して、なにか変えられるんじゃないか。そんな思いを兄弟で話し合って、それぞれ仕事を辞め就農することにしました」と貴夫さん。

始めの3年間は父親からレンコン栽培を学び、5年目には両親は稲作中心に、3兄弟はレンコン栽培に専念し、経理もそれぞれ分けることにした。2年前には法人化して社員やパートの採用もしている。

「冬場の収穫は午後から」ということで、蓮田へ同行した。7月から3月までが収穫期間となる。現在、広い蓮田は大半の収穫が終了しており、水を湛えて春の植え付けを待っている。

収穫は蓮田にひざまずきレンコンを手で探る。貴夫さんいわく「僕らは土の中のレンコンが透視できます。触った瞬間おおよその大きさと、生えている方向が分かるので余計なところは掘らず、短時間で収穫できる」のだそう。

実際に腕を蓮田に入れて、水圧を使って水中からレンコンを掘り出すまであっという間だ。ボートには次々と収穫したレンコンが積み上げられていく。収穫量は1日平均400キロ前後。年末にはおせち料理や煮しめ用に需要が増えるので、1日で1,000キロもの収穫を行うこともあるという。

蓮田では早生(わせ)、中手(なかて)、晩生(おくて)といった収穫時期が異なる品種と、もっちり、シャキシャキなど食感が特徴的なレンコン6品種を栽培している。土壌分析を行いレンコンが育ちやすい環境を整える工夫も怠らない。

「プロのレンコン農家として、栄養価と味がしっかり数値で表せるような、より良質で内容のある商品を作り続けること」が日々の課題だ。

販路は直売所と飲食店が25%ずつ、食品加工会社に10%、市場出荷が40%。直販を増やすなど理想の割合には改善の余地もあるが、複数の販路でリスクの分散を行う。

レンコンを使った商品の開発、輸出など今後の目標は多々あるが、将来はレンコンの消費量増加のため、東西の産地が販売促進などあらゆる面で協力し、海外からの輸入レンコンにも対抗できる強い組織の全国レンコン連盟を作りたいそうだ。

れんこん三兄弟のキャッチフレーズは「レンコンの穴から未来が見える」。穴の先には大きな夢と展望が広がっているようだ。

れんこん三兄弟のレンコンは肌が白く、キメが細かいのが特徴

主にレストラン向けには箱に入れて出荷する
れんこん三兄弟のレンコンは肌が白く、キメが細かいのが特徴。レンコンは夏場は成長途中を収穫するので水分が多くシャキシャキ感が強い。冬場は成長を終えて身を引き締めている時期なのでホクホクとした食感   主にレストラン向けには箱に入れて出荷する

地図

「株式会社れんこん三兄弟」
http://www.renkon-kyoudai.com

Photo:Shuichi Kasahara

チャレンジャーズでは、農林水産分野で先進的、かつユニークな活動を行っている人々をご紹介します。