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農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ

イチゴなのに芳醇なモモの香り!?

新品種「桃薫(とうくん)」


普段私たちが食べているイチゴより淡い色で香りも異なる、全く新しい風味のイチゴの品種が育成されました。「桃薫」という名前の通り、果実はモモに似た芳醇な香りが特徴です。

ジューシーでさっぱりとした甘み。食べた後は桃のような残り香が。「果肉が従来のイチゴより柔らかいので硬さの面では改良の余地があります」と野口さん

ジューシーでさっぱりとした甘み。食べた後は桃のような残り香が。「果肉が従来のイチゴより柔らかいので硬さの面では改良の余地があります」と野口さん

収穫の旬は2月から3月。バレンタインデーや雛祭りなど、稀少性を生かしたギフトの用途などが期待される

収穫の旬は2月から3月。バレンタインデーや雛祭りなど、稀少性を生かしたギフトの用途などが期待される

栽培しやすく、収量も多い。通常のイチゴと並行して栽培する農家がほとんどだが、栽培面積は徐々に増えつつある

栽培しやすく、収量も多い。通常のイチゴと並行して栽培する農家がほとんどだが、栽培面積は徐々に増えつつある

美しいサーモンピンクのイチゴ
艶(つや)やかな赤い色で形がかわいいイチゴは、ケーキの材料やデザートとして人気があります。またイチゴは新しい品種の育成も盛んな果実です。

2011年に品種登録された「桃薫」は、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)野菜茶業研究所と北海道農業研究センターにより開発されたイチゴです。

ところでこのイチゴ、今までのイチゴのイメージをガラリと変えてしまうくらい、斬新な品種なのです。イチゴといえば誰もが思い浮かべるのは真っ赤な色ですが、「桃薫」は完熟してもサーモンピンク。本体からはモモのような、独特な甘い香りが強く漂います。

イチゴは赤いほど甘いというイメージがありますが、「桃薫」はサーモンピンクでも十分な甘さがあります。

「熟度と色は関係ありますが、それは同じ品種について言われること。完熟時の色は品種によってまちまちです」と農研機構 野菜茶業研究所 野菜育種・ゲノム研究領域 野口裕司(ゆうじ)さんは、果実の色と甘味の関係を説明してくれました。

イチゴの枠を超えた新しいフルーツのイメージ
「桃薫」の親は、「とよのか」にモモに似た香りを持つ野生種を掛け合わせた「久留米IH1号」という品種です。「久留米IH1号」は、イチゴの可能性を広げることを目的として、新しい遺伝子を取り入れるために野生種との交配を行い育成された品種です。この「久留米IH1号」は、「ももみ」「ピーチベリー」の商品名で苗として売られ、一部の愛好家たちには人気がありました。

しかし、見た目や収量、実の付き方が悪い、味が薄いなどの欠点があり普及には至りませんでした。

そこで2006年から、この香りの良いイチゴを多くの消費者に楽しんでもらえるよう、外観と収量性を改良する研究が始まりました。外観も良く栽培しやすい「カレンベリー」と野生種を交配してできたイチゴに「久留米IH1号」を掛け合わせ、収量、果実の外観、香りの優れた系統を選び「桃薫」を育成しました。「桃薫」の大きな特徴はそのピンク色の外観ですが、従来になかったイチゴゆえ品種登録出願の際には、果実の色が薄いため収穫時期の判断が難しいのではないか、外観が消費者に受け入れられないのではないか、といった意見も出たそうです。

現時点では「桃薫」は栽培農家が少ないので、一般市場にはまだ出回っていませんが、スイーツショップなどでは注目され取り扱っている店もあります。ショップなどで見かけたらぜひ試してみてください。

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