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農林水産省

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特集1 食の未来を支える 食料自給率(4)

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自給率の低い作物の生産拡大に向けて

食料自給率向上の鍵は水田にあります


主食用の米はほぼ国内自給されています。
いま、特に生産拡大を目指しているのが、米粉用米や飼料用米といった主食用以外の米です。

自給率の低い作物の生産拡大に向けて

水田は貴重な農業資源
水田は日本の気候風土に適した農地であり、わが国の農業資源の根幹です。米が長い間、私たちの主食として安定的に供給されてきたのは、連作障害のない作物だからです。それには水田が持つ循環機能が大きな役割を果たしています。

主食用米の自給率は100%。国内生産だけで消費をまかなうことができる唯一の作物です。

しかしながら、その米の消費量は年々減っています。現在の消費量であれば、全国にある水田の6割の生産で主食用の米はまかなうことができるのです。水田でこれ以上主食用の米を生産すると、毎年余剰が増えていくことになります。そこで、残りの4割の水田を有効に活用することが重要です。

いま、その水田を活用して、大半を輸入に頼っている麦、大豆などや米粉用米、飼料用米といった自給率向上に貢献する作物の作付けが進められています。

水田の利活用 農家にとってはこんな利点
稲作農家にとって米粉用米・飼料用米を生産する利点は、
*転作作物用として排水があまり良くない水田やまだ整備できていない水田でも作付けが可能であり、農地を有効利用できます。
*田植えから収穫まで、通常の稲作と同じ栽培体系なのですぐに取り組めます。
*農機具など、新たな設備投資は必要ありません。
*麦や大豆などの連作障害を回避することができます。

一方、畜産農家にとって飼料用米を使用する利点は、
*輸入とうもろこしに替わる穀類として、配合飼料の原料に利用できます。
*長期保存が可能です。
*既存の配合飼料と同じ扱いで給餌できるので、特別な設備や手間は必要ありません。
*畜産物のブランド化による高付加価値化や耕畜連携による資源循環、地産地消推進の起爆剤になります。

食料自給率50%目標は政府全体の目標!

米粉用米の生産

小麦粉に替わる国産の粉
近年、米粉パンや米粉麺、米粉スイーツなど、米粉を使った加工品が続々と登場しています。

私たちが食べているジャポニカ種(日本型品種)は、かつてだんごやせんべい以外に用いることがなかなかできませんでした。本格的に米を使った新たな加工食品の開発が始まったのは、昭和53年頃、米が過剰供給になったことがきっかけでした。

研究開発が進むにつれて米の粉砕技術が発達し、製粉の新技術によって、より細かい米粉を作ることができるようになりました。

米粉は小麦粉に替わる粉として期待されていますが、製粉するにはそれに適した米粉用米としての特性(製粉性能)が求められます。

私たち日本人が好む主食用の米は、軟らかく粘り気がある米です。米粉パンにも粘り気がある米が適していますが、米粉麺には粘り気の少ない硬質な米が適しています。そこで、さまざまな用途に応じた米粉用米の品種改良が進められてきました。

米粉用米の品種開発
品種開発の研究を重ねた結果、米粉利用に適した新品種が多数誕生しました。

きわめて高い収穫量が見込める「タカナリ」、パンや洋菓子、麺用として小麦粉の替わりに使える製粉特性に優れた「ほしのこ」、麺に加工したときにからまりにくい「越のかおり」、倒れにくく収穫量が見込め、米粉用以外に飼料用にも向いている「ミズホチカラ」など、新たな米粉用品種がすでに栽培され、その米粉を使ったさまざまな商品が市販されています。

仮に小麦の輸入量500万トンのうち1割を米粉に置き換えるとすると、米粉用米が50万トン必要になります。水田面積にすると約10万ヘクタールです。食料自給率を向上させるためにも、米粉用米の生産拡大が望まれています。

飼料用米の生産

輸入飼料に替わる穀物として
米粉用米と同様に、飼料用米の生産も重要です。26%しかない飼料自給率を上げる方法のひとつが、飼料用米の生産拡大です。

低コストでの生産が可能で、収穫量が見込める「モミロマン」や「北陸193号」など、飼料用米の新たな品種も開発されています。これらは、水稲の平均収穫量が10アール当たり530㎏なのに対して、玄米の重量で10アール当たり700~800㎏と収穫量は大幅に上回っています。

現在、主食用米と識別しやすく、10アール当たり1トンを収穫できる飼料用米品種の開発も進行中です。

また、品種改良だけでなく、水田に直接種をまくための直播(じかまき)用播種(はしゅ)機など低コスト生産を実現する機械の開発に加え、収穫した飼料用米を輸入トウモロコシの代わりに家畜に与える給餌技術などの開発も行われています。

飼料用米をエサとして利用する動きはすでに各地で始まっています。飼料用米の生産は食料自給率の向上につながるだけでなく、稲作農家と畜産農家が互いに連携して稲作農家が生産した飼料米を畜産農家が使い、畜産農家が稲作農家に堆肥を提供する「耕畜連携」の強化にもなり、地域の活性化につながっています。今後さらに飼料用米の生産農家が増えることが期待されています。