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チャレンジャーズ 明日につなぐ夢 第62回

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NPO法人「農家のこせがれネットワーク」代表 株式会社「みやじ豚」代表取締役 宮治勇輔(みやじ ゆうすけ)さん

こせがれたちよ、実家に帰ろう!

かっこよくて、感動的で、稼げる農業で日本の元気を取り戻したい!

六本木農園前にて。宮治勇輔さん(右)と、7、8月に使われる食材、尾花沢スイカの打ち合わせに来た、山形県の「大山農芸」の大山哲哉さん(左)。

六本木農園前にて。宮治勇輔さん(右)と、7、8月に使われる食材、尾花沢スイカの打ち合わせに来た、山形県の「大山農芸」の大山哲哉さん(左)。全国の若手農家と、まめに情報交換。精力的な毎日だ



六本木農園

六本木農園
TEL.03-3405-0684
http://roppongi-nouen.jp/

今回撮影した「六本木農園」も彼が参加したプロデュースの1つ

今回撮影した「六本木農園」も彼が参加したプロデュースの1つ。月替わりで全国の生産者から届く旬の食材を使ったレストランは、地方農家の講演会やイベントもあり、一般消費者だけでなく、今都会で学んでいる農家のこせがれたちに、農業の魅力をアピールする格好の場所だ


株式会社みやじ豚
TEL.0466-48-2331
http://www.miyajibuta.com/

NPO法人「農家のこせがれネットワーク」
http://kosegare.net/
友人とのバーベキューで起業家から帰農者へ
宮治勇輔さんは、神奈川県藤沢市にある、株式会社「みやじ豚」の代表取締役とNPO法人「農家のこせがれネットワーク」代表を兼務する、農業界のニューリーダーである。しかし、10年前の彼の姿は、農業とはかけ離れた大都会にあった。慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、大手人材派遣会社に勤務しながら、起業を志す。実家の養豚業を継ぐ気持ちなど微塵もなかったという。

そんな彼の人生を激変させる大事件は、友人たちと楽しく過ごす週末のバーベキューの宴で起こった。実家から送られた豚肉をふるまうと、友人から「こんなにおいしい豚肉は食べたことがない。いったいどこで売っているの?」と尋ねられたのだ。

「一瞬、頭が真っ白になりました。あれ、うちの豚肉はどこで売っているんだ? いくらなんだと。気になって実家に尋ねたら、親父もまったく知らないんですよ」。

生産者が自分の生産物の値段も販路も知らないという現実。そこに、現代の農家の問題点を見出した彼は、自らその問題を解決するため、早々に会社を退職。実家に戻って農業のいろはを父親から学び、同時に「価格の決定権を持つ、主体的な農業」を目指して勉強に励んだのである。

ちょうど時を同じくして、弟が実家に戻ったこともあり、平成18年に株式会社「みやじ豚」を設立。おいしいと評判の「みやじ豚」はレストランなどへの直売やネット通販で順調に売れ行きを伸ばしていった。今では現場を弟に任せ、宮治さんは農業プロデューサーとして新たな活動にチャレンジしている。それが「農家のこせがれネットワーク」に代表されるプロデューサー業だ。

夢は、新3K農業を地方の基幹産業にすること!
宮治さんの理念は「親父が息子に胸を張って自慢できる農家を作ること」。具体的には、自分で作った生産物の価格の決定権を持つことと、生産者の名前を明記することの2つ。それが、後継者不足に悩む日本の農業を復活させる足がかりになると信じているのだ。

すると、宮治さんの元へ「僕も実家に帰れるだろうか」と都会に暮らす農家の息子など、様々な立場の人びとが集まるようになる。平成21年、NPO法人「農家のこせがれネットワーク」はごく自然な成り行きで設立された。朝晩のミーティングや講習会を開き、今後の農業のあり方、経営の手法などを勉強しあい、少しでも多くのこせがれを、実家に戻す「帰農中間支援組織」なのだという。

「こせがれの多くは、幼い頃から親に大学へ行け、農家じゃ食べていけないぞと、農業に対してマイナスなイメージを植え付けられています。でも都会に出て就職したって必ずしも将来が明るいわけじゃない。それより主体性を持って実家の農業に取り組めば、夢は大きく膨らむんじゃないか、大学で学んだ経営学なども農業に生かせるのではないかと、多くのこせがれに気づいてほしいんです」と宮治さんは言う。

実は、家業の「みやじ豚」の販路が安定し、収入が増えた時、宮治さんは、あえて「規模拡大」をしなかった。それより、帰農したこせがれとのネットワークを拡大し、日本の農業そのものをパワーアップさせる道を選んだのだ。

「農業って、地方の基幹産業になるんですよ。経営者の目を持つ農業者が登場すれば、かっこよくて、感動的で、稼げる3K農業になりますよ」と、宮治さんは最後まで目をキラキラさせながら語ってくれた。

宮治さんの帰農の原点であるバーベキュー大会

宮治さんの帰農の原点であるバーベキュー大会は、藤沢市の観光農園で今も月1回、欠かさず開催。様々な人が集まり、顧客やビジネスのきっかけも着実に増える
写真提供:みやじ豚.com

実家「みやじ豚」の豚舎では「腹飼い」といって、十頭前後の兄弟同じ部屋でのびのび育てるのが特徴

実家「みやじ豚」の豚舎では「腹飼い」といって、十頭前後の兄弟同じ部屋でのびのび育てるのが特徴。大麦をふんだんに使った特別なエサを与えて、味よくジューシーな豚を育てている
写真提供:みやじ豚.com







Photo:Eri Iwata

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