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農林水産省

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チャレンジャーズ 明日につなぐ夢 第63回

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大分県 漁村女性グループめばる

漁村のウーマンパワーで日本の魚食文化を盛りたてたい!

「漁村女性グループめばる」の正規メンバー

「漁村女性グループめばる」の正規メンバー(1名は残念ながら不在)。「めばる」の名はもちろん魚のメバルから。「目がパッチリしてグラマラス、私たちみたいでしょ」と、茶目っ気たっぷり。チームワークも抜群だ

まき網漁で県内有数の漁獲量を誇る鶴見港

まき網漁で県内有数の漁獲量を誇る鶴見港。桟橋そばには彼女たちの魚を入れる生簀があるため、いつでもとびきり新鮮な魚が使える

活動中に出会った農村の女性たちの頑張る姿を見て「漁村も負けられないと思った」というリーダーの桑原政子さん

活動中に出会った農村の女性たちの頑張る姿を見て「漁村も負けられないと思った」というリーダーの桑原政子さん



漁村女性グループめばる
TEL.0972-33-0274
港の新鮮な魚を多くの人に届けたい!
九州最東端にある鶴見半島。その北側にある鶴見港の一画で「漁村女性グループめばる」が結成されたのは今から8年前。「水揚げされた魚のうち、小さなものは市場で売れないものが多くてもったいない。魚の命を大切にいただかないと」という思いが募り、リーダーの桑原政子(くわはらまさこ)さんが近隣の漁師の妻らに声をかけ、活魚や鮮魚の移動販売を始めたのだ。国から補助を受けて手に入れたトラックに水槽をのせ、獲れたての新鮮な魚を地元佐伯市(さいきし)の朝市や大分の市街地で販売するのだが、そこでメンバーはカルチャーショックを受ける。町の人たちの多くが魚をさばけないのだ。「こりゃなんとかせないかんと思いました。このままでは日本の誇る魚食文化はどうなってしまうんだろうと不安になりましたね」と桑原さんは言う。

けれど、その場で「魚をさばけなきゃダメ」と怒ってもしょうがない。今は少しでも多くの人に魚のおいしさを知ってもらいたいと考え、鮮魚販売の他に、イカめしやアジ寿司など魚の加工販売を手掛けることにした。その代表作が、郷土料理の「ごまだしうどん」に使う「ごまだし」の瓶詰。試行錯誤の末、平成18年に販売にこぎつけた。

6年で目標額を達成
「ごまだし」とは、海で獲れるエソやアジを焼き、身をほぐしてゴマと醤油、みりんと合わせて加熱したペースト状のもの。茹でたうどんや冷奴などにそのまま載せて食べる万能調味料だ。佐伯市内でも30軒くらいの商店で製造しているという。その中でも彼女たちの作る「ごまだし」は魚の量が多くておいしいと評判を呼ぶ。また、天候に左右されやすい漁村に確かな収入をもたらしてくれる、頼もしい一面もある。初年度の売り上げは12万円だったが、その後、デパートの物産展への出店やインターネットなど販路が増え、6年で目標額の1,000万円を見事達成。これは静かな鶴見の港に、明るい話題をもたらした。「忙しい時は父ちゃんも手伝ってくれる。みんなが認めてくれているようでうれしい」という。

魚食文化の普及活動も本格化
「漁村女性グループめばる」の活動は、平成21年、第14回全国青年・女性漁業者交流大会で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。現在も月2回の移動販売や物産展への出品などを欠かさないが、3年前から、新たに佐伯市の若い母親を対象とした「めばるの料理教室」を始めている。これは「魚の3枚おろし」までをグループめばるが指導、その後の調理法は料理の専門家が教えるというもの。少しでも多くの人に魚の食べ方を学んでほしいという、活動当初から抱えていた思いが込められた活動だ。

めばるメンバーはたった6名(販売の応援メンバーは他に4名)。加工場で交わす「今度はこれ作ろうか」「こうするといいね」といったおしゃべりから、新しいアイデアが次々に生まれる。高望みはしない。「自分たちにできること」が信条だ。

「でもね、本音を言えば後継者が欲しいなあ。若い漁師の嫁さんとか、料理教室に来る元気な女性がスカウトできないかしら」と桑原さんはケラケラと笑って答えてくれた。

ごまだしうどん

茹でたうどんに「ごまだし」をたっぷりのせ、お湯(夏なら冷水)をかけていただく「ごまだしうどん」は2009年、農林水産省選定の「農山漁村郷土料理100選」に認定されている
加工場の倉庫は貨車車両のコンテナ2両を活用。経費を節約しながら働きやすい空間にしている

加工場の倉庫は貨車車両のコンテナ2両を活用。経費を節約しながら働きやすい空間にしている

ごまだしうどん

調理室ではイカめしの仕込中。水揚げのあった時に大量に作り、真空パックして冷凍保存し、移動販売や物産展に備えている

加工場の倉庫は貨車車両のコンテナ2両を活用。経費を節約しながら働きやすい空間にしている

人気商品「ごまだし」はエソ、アジ、タイを使った3種類。未開封時は常温で保存できる

ゴマダシーノ

この夏、発売予定の「ゴマダシーノ」。イタリア料理に使うアンチョビ風に仕上げた魚ペーストだ

地図

Photo:Koji Kinoshita

チャレンジャーズでは、農林水産分野で先進的、かつユニークな活動を行っている人々をご紹介します。