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農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ

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大豆の収穫ロスを減らすために

莢(さや)がはじけにくい大豆の研究


国内で生産されている主要な大豆品種は、自然に莢がはじけたり、コンバインでの収穫時に実がこぼれ落ちたりするなど、収穫時の損失が20%近くになるものもあります。そこで、莢がはじけにくい大豆の研究が進められています。

コンバインによる大豆の収穫の様子

コンバインによる大豆の収穫の様子

従来の品種(上)と、その品種に戻し交雑法で「ハヤヒカリ」の難裂莢性を取り込ませた品種(下)(※いずれも成熟後1ヶ月)

従来の品種(上)と、その品種に戻し交雑法で「ハヤヒカリ」の難裂莢性を取り込ませた品種(下)(※いずれも成熟後1ヶ月)

従来の品種(上)と、その品種に戻し交雑法で「ハヤヒカリ」の難裂莢性を取り込ませた品種(下)(※いずれも成熟後1ヶ月)
大豆は収穫ロスが多い
収穫時期を迎えた大豆畑に足を踏み入れると、あちこちから「パチンパチン」という乾いた音が聞こえてきます。これは大豆の莢がはじける音で、乾燥した実をはじき飛ばし、子孫を残そうとする大豆の性質なのです。

しかし、この自然の摂理が大豆の収穫量に影響があるということをご存じですか。収穫前に莢がはじけて実が落ちてしまうと必然的に収穫量が減ってしまうのが大豆栽培の難点なのです。

また近年、農地の集約化が進み、大規模な大豆栽培を行う農家が増えていることから、コンバインによる大豆収穫が主流となりつつあります。もともと莢がはじけやすい大豆ですが、コンバインによる収穫時にも実がはじけ飛んでしまうことも多く、こうした収穫ロスを減らすための研究が進められています。

莢がはじけにくい大豆の品種改良に向けて
アメリカなど、コンバイン収穫が主流となっている国や地域では、莢がはじけにくい性質「難裂莢性(なんれっきょうせい)」を持つ大豆の品種が多く栽培されています。

わが国においては、地域に合ったさまざまな品種の大豆が栽培されています。機械化が先に進んだ北海道では「ハヤヒカリ」や「ユキホマレ」などの難裂莢性を持つ新品種の開発に成功しています。しかし、本州以南で栽培されている多くの大豆品種は、難裂莢性を持っていません。

そこで、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構  作物研究所  畑作物研究領域・大豆育種研究分野(旧・大豆育種研究チーム)では、『戻し交雑法』を使って、「ハヤヒカリ」の持つ難裂莢性遺伝子のみを従来の大豆品種に受け継がせる品種改良を進めています。

『戻し交雑法』とは、難裂莢性を持つ「ハヤヒカリ」と、難裂莢性を取り込ませたい従来の大豆品種(反復親)とを交雑(交配)し、生まれた子どもに再び反復親を交雑することをいいます。この交雑を5~6回行うことによって“「ハヤヒカリ」の難裂莢性の特徴を受け継いだ、反復親とそっくりの大豆品種”を作ることができるのです。

現在、この研究から生まれた難裂莢性を持つ大豆品種の中には、種苗登録の申請をし、実際に農家で栽培できるまでになっているものもあります。小さな大豆の実をめぐる大きな研究成果に、今後も期待が高まっています。

戻し交雑法


独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/
nics/2009/nics09-02.html